小川未明童話集 (新潮文庫)

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  • / ISBN・EAN: 9784101100012

感想・レビュー・書評

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  • 今、心臓が うずいている。
    どんな本も、読めそうも無いが。
    小川未明の童話を再読したくなった。
    やさしさでいっぱい。こどものこころにもどれるかな。
    切なさと怖さもいっぱい。こどものときに観たアニメーション 「日本昔ばなし」みたい。

    文章が、美しいので、声に出して読みたくなった。

    • りまのさん
      湊川晴斗さん
      こんばんは
      コメントを頂いて、小川未明の童話集を、本棚から引っ張り出して、読んで見ました。とても短い物語ばかりですが、忘れてい...
      湊川晴斗さん
      こんばんは
      コメントを頂いて、小川未明の童話集を、本棚から引っ張り出して、読んで見ました。とても短い物語ばかりですが、忘れている話も多くて、読んでいて、新鮮でした。不思議できれいなお話。
      2021/11/03
  • 「児童文学の父」「日本のアンデルセン」と呼ばれる小川未明。ずっと気になっており、やっと読むことができた。
    多彩な物語で読後感もそれぞれに異なるが、どれも美しく幻想的で、夜の静けさを感じる文章が心地よい。
    短編ながら奥行きを感じる。童話だが、大人だからこそ深く味わうことのできる物語のように感じた。
    表題作『赤いろうそくと人魚』の他、『月夜と眼鏡』『飴チョコの天使』『眠い町』『野ばら』が好みだった。
    きっとまた読みたくなるときがくるだろうなぁ。素敵な物語だった。

  • ああ〜
    こういうのを読むと
    日本人に生まれて
    ホンマ良かったなぁ〜って
    しみじみ思うんよなぁ(笑)


    豊かな情景描写と
    美しい日本語で綴られた文章、

    ロマンチックで詩的な世界観と
    子供たちへのあたたかな眼差し。

    童話でありながら
    大人が読んでもハッとさせられる人間の業や
    社会風刺や
    メッセージ性の込められたストーリー。


    日本のアンデルセンと呼ばれたバラエティーに富んだ多作家でありながら
    童話を単に子供のための読み物ではなく、
    大人にも通じる
    永遠の童心に訴える文学として捉えたところが
    小川未明のスゴさであり、
    今なお読み継がれている理由でもあると思います。


    本書に収録された25篇の短編の中で
    自分のお気に入りは、

    酒井駒子の絵本でもお馴染みの
    「赤いろうそくと人魚」、

    月夜の晩に
    一人暮らしのお婆さんの身に起こった
    不思議な出来事を描いた
    「月夜と眼鏡」、

    飴チョコの箱に描かれた
    天使の視点で社会を風刺した
    「飴チョコの天使」、

    長年苦労を共にした年老いた牛を
    お金のために手離した男の悲劇…
    「百姓の夢」、

    本当に大切なことは
    スタイル(形)や見映えではないことをユーモラスに説いた
    「殿さまの茶わん」、

    切なく美しく胸を締め付ける
    夢のように儚い代表作
    「金の輪」、

    口笛の上手い盲目の弟と
    弟思いの美しい姉。
    しかし姉は有名な大金持ちに声をかけられ…
    「港に着いた黒んぼ」

    かな。


    同じ童話作家でも
    宮沢賢治が「太陽」なら、
    小川未明は「月」。

    哀切的で叙情的な作風、
    そして文字通り
    夜や月に関する童話が多いのも
    自分が惹かれる理由なのかも。


    月が、花が、鳥が、虫が、レールが
    密やかに囁き合う声を聞きたくなる度に
    夜毎読み返してしまう、
    詩的で幻想的な逸品です。

  • 短編童話集
    月や雪、野山など美しい自然とともに人間の美醜、善悪を描いていて、悲哀に満ちた結末のものもあれば、ほっこりする内容の物語もある。

    『野ばら』戦争で分断された二人を想うときに白いばらの花がいい香りを運んでくれる
    『しいの実』セーターをのせる汽車が雪の中走る風景
    『千代紙の春』こいの生命力豊かで売り手と買い手の心理戦、美代子さんが家族の談笑の中で元気を取り戻す
    『小さい針の音』生徒らの純粋さ、先生への想い、苦学時代を思い出すさまが、自分にも重なってじんっときた
    『赤いろうそくと人魚』善人だった人々も強欲で愚かなものになりうる、信じるものを間違うとどうなるのかということを教えてくれるよう 美しく哀しい、誰も救われない話

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ベルガモットさん
      欲張り猫ですから、、、

      猫は小川未明に惹かれる部分があるのですが、どうしても素直に好きにはなれない。なので、いつも...
      ベルガモットさん
      欲張り猫ですから、、、

      猫は小川未明に惹かれる部分があるのですが、どうしても素直に好きにはなれない。なので、いつも挿絵から入ります。。。



      2022/07/04
    • ☆ベルガモット☆さん
      猫丸さん

      なるほど、挿絵をちゃんとおさえるのも良いですね~
      本の楽しみ方が増えました!
      猫丸さん

      なるほど、挿絵をちゃんとおさえるのも良いですね~
      本の楽しみ方が増えました!
      2022/07/04
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ベルガモットさん
      > 本の楽しみ方が増えました!
      深みに嵌ると、猫のように泥沼?から抜けられなくなるかも。。。
      ベルガモットさん
      > 本の楽しみ方が増えました!
      深みに嵌ると、猫のように泥沼?から抜けられなくなるかも。。。
      2022/07/05
  • 小川未明さんの、動植物やモノにもそっと命を吹き込んでロマンチックに仕上げるところが好き。

    個人的には、

    線路を負傷させた犯人を月が追っていく
    『負傷した線路と月』

    有名な陶器師に殿さまが〝本当に大切なもの〟を説く
    『殿さまの茶わん』

    おしの母親を亡くした息子の半生を描く
    『牛女』

    かつて小学校で教師をしていた青年が、都で出世し多くの富を得て、お金では買えない大切なものを忘れていってしまう様子を描く
    『小さい針の音』

    が好き。

    童話でありがちな無理矢理ハッピーエンドにねじ込むことなく、自然に全体をまとめ上げていたのが印象的。

  • 陰の世界に属する童話。翳りがあり、美しくも、どこか淋しい。月が地上を照らすように、哀しむ者を見つめている。救いの手を差しのべるでもなく、かといって見放すわけでもなく、ただ、静かに見つめている。――そういう印象を受けた。

  • 姉の本棚に置いてあった本作、小川未明童話集を拝借して読んでみました。

    こちらの本は、星野源さんや蒼井優さんがおすすめの本として紹介されていたようです。

    内容に関してはかなり独特なまったりとしたテンポと世界観になっており、大人のリラックスにも良いと感じた一方、子どもへの読み聞かせにも最適だとも思いました。

    そしてこの作者はあらゆるモノに命を吹き込む技法が多く、感情を悟るのが得意なんだなと感心させられました。

  • 子供の頃、ハッピーエンドで終わらない絵本を読み終えると、部屋の隅やガジュマルの木の上で、「なんでかなあ」と一人思い悩んだ記憶があります。なんで、「めでたし、めでたし」じゃないんだろう?この話ってもしかして、ちゃんと終わってないんじゃないかな、と不安になったものです。

    お姫様は王子様と結婚するし、
    悪者は勇者に打ち倒されるし、
    全知全能の存在は良き人の行いに報い、悪しき者の罪に罰を与える。
    それが世の道理で、あるべき世界の姿だと思っていた幼少の私がもし、小川未明の作品に出会っていたら……トラウマものだったでしょうな(((((´・ω・`)))))ぶるぶる

  • そもそも童話ってなんだろう?

    goo辞書によると
    『子供のために作られた話。昔から語り伝えられてきたおとぎ話や伝説・寓話  などを含む』

    なんてなってます。

    じゃあこの小川未明童話集は?
    確かに子供のための物語なんでしょうけど、非常にシビアなんですよね。
    けっして子供向け・子供だましで終わらず、大人が読んでも楽しめる作品集になっているなと。
    そしてだからこそ子供にも響くんだろうなと。
    教訓めいた作品というよりも、現実をシビアに描いた厳しさがそのままメッセージになってしまっているというような印象を受けました。

    でももちろん厳しいだけじゃなくて、物語の奥からは優しさや愛情がしっかりと伝わってくる、そんな作品集でした。


    ※ネタバレ無しでの感想ですが、ここからあえて一作品のネタバレをします※
    ※気になる方や、何よりめっちゃ長くなるのでそういう方はご注意※

    『ある夜の星たちの話』というお話なのですが、ざっと説明すると……

    深夜、お星さまたちが地上の暮らしを覗いています
    そこには、母一人、子供三人の家族が
    下の子はまだ乳飲み子で、夜中に何度も起きて母はその世話を
    姉と兄は幼いながらも働きに出て家計を支えています
    それを見たお星さまは、せめて夢の世界では楽しくありますようにと祈るのです
    翌朝、早くから目覚めた家族は、それぞれを思いやりながらまた厳しい毎日に向かってゆくのです

    というお話。

    もう読んでびっくりしちゃって!
    おとぎ話的な劇的な大逆転なんて何もなくて、あるのは「いい夢が見られますように」という祈りだけ。
    朝にはまたこの現実を生きていく、という終わり。

    でもそこから感じる温かさ、身を寄せ合う家族愛の美しさといったら!!
    正直、前半に書いた感想分も、この一編の感想にかなり引っ張られているかなという部分もあります(笑

    全編を通して小川先生の芯を感じる作品集、とても面白かったです。

  • 25編の物語。

    一昔前の、みな貧しかったころの日々の暮らしを包むような、
    ちょっと不思議な感じの物語や、
    それでいてちっとも説教臭くなく、
    ほうっとするお話もあれば、哀しくてしようがないお話もある。
    そのなかで、一番気にいったお話というのは、
    「とうげの茶屋」というお話だ。

    おじいさんが一人、とうげで茶屋を営んでいる。
    女房は先に逝き、ひとり息子は都会に働きにでて、お嫁さんをもらった。
    おじいさんはいつもニコニコして、みんなから好かれている。
    しかし時代の流れには逆らえず、不安に心が揺れたりもしたが、
    ある母子をもてなしたあとに思う、
    おじいさんの心持がなんともすがすがしく、
    最後の5行には、こういうものこそ、
    生きている者がもつ「宝」なのだと思った。

    わたしもこういう老人になりたい。
    このおじいさんを、とても尊敬している。

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著者プロフィール

明治・昭和時代の小説家・児童文学作家。新潟県出身。「日本児童文学の父」と呼ばれ、『赤い蝋燭と人魚』『金の輪』などの名作を多数創作。

「2018年 『注文の多い料理店/野ばら』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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