小川未明童話集 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 309
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101100012

感想・レビュー・書評

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  • ああ〜
    こういうのを読むと
    日本人に生まれて
    ホンマ良かったなぁ〜って
    しみじみ思うんよなぁ(笑)


    豊かな情景描写と
    美しい日本語で綴られた文章、

    ロマンチックで詩的な世界観と
    子供たちへのあたたかな眼差し。

    童話でありながら
    大人が読んでもハッとさせられる人間の業や
    社会風刺や
    メッセージ性の込められたストーリー。


    日本のアンデルセンと呼ばれたバラエティーに富んだ多作家でありながら
    童話を単に子供のための読み物ではなく、
    大人にも通じる
    永遠の童心に訴える文学として捉えたところが
    小川未明のスゴさであり、
    今なお読み継がれている理由でもあると思います。


    本書に収録された25篇の短編の中で
    自分のお気に入りは、

    酒井駒子の絵本でもお馴染みの
    「赤いろうそくと人魚」、

    月夜の晩に
    一人暮らしのお婆さんの身に起こった
    不思議な出来事を描いた
    「月夜と眼鏡」、

    飴チョコの箱に描かれた
    天使の視点で社会を風刺した
    「飴チョコの天使」、

    長年苦労を共にした年老いた牛を
    お金のために手離した男の悲劇…
    「百姓の夢」、

    本当に大切なことは
    スタイル(形)や見映えではないことをユーモラスに説いた
    「殿さまの茶わん」、

    切なく美しく胸を締め付ける
    夢のように儚い代表作
    「金の輪」、

    口笛の上手い盲目の弟と
    弟思いの美しい姉。
    しかし姉は有名な大金持ちに声をかけられ…
    「港に着いた黒んぼ」

    かな。


    同じ童話作家でも
    宮沢賢治が「太陽」なら、
    小川未明は「月」。

    哀切的で叙情的な作風、
    そして文字通り
    夜や月に関する童話が多いのも
    自分が惹かれる理由なのかも。


    月が、花が、鳥が、虫が、レールが
    密やかに囁き合う声を聞きたくなる度に
    夜毎読み返してしまう、
    詩的で幻想的な逸品です。

  • 『とうげの茶屋』
    とうげの中ほどにある、気のいいおじいさんの茶屋は大人気。しかしもうすぐそこにバスが通る事になり、おじいさんは複雑な気持ちになる。
    「世の中が、便利になれば、一方に、いいこともあるし、一方には、わるいこともある。しかしそこは頭の働かせようだ。」おじいさんも、せがれの家族がバスに乗って会いに来てくれればと、いい事を考えるようになった。いい人だ。

    その他『野ばら』『月夜と眼鏡』『眠い町』『小さい針の音』『二度と通らない旅人』が好き。

  • 子供の頃、ハッピーエンドで終わらない絵本を読み終えると、部屋の隅やガジュマルの木の上で、「なんでかなあ」と一人思い悩んだ記憶があります。なんで、「めでたし、めでたし」じゃないんだろう?この話ってもしかして、ちゃんと終わってないんじゃないかな、と不安になったものです。

    お姫様は王子様と結婚するし、
    悪者は勇者に打ち倒されるし、
    全知全能の存在は良き人の行いに報い、悪しき者の罪に罰を与える。
    それが世の道理で、あるべき世界の姿だと思っていた幼少の私がもし、小川未明の作品に出会っていたら……トラウマものだったでしょうな(((((´・ω・`)))))ぶるぶる

  • 25編の物語。

    一昔前の、みな貧しかったころの日々の暮らしを包むような、
    ちょっと不思議な感じの物語や、
    それでいてちっとも説教臭くなく、
    ほうっとするお話もあれば、哀しくてしようがないお話もある。
    そのなかで、一番気にいったお話というのは、
    「とうげの茶屋」というお話だ。

    おじいさんが一人、とうげで茶屋を営んでいる。
    女房は先に逝き、ひとり息子は都会に働きにでて、お嫁さんをもらった。
    おじいさんはいつもニコニコして、みんなから好かれている。
    しかし時代の流れには逆らえず、不安に心が揺れたりもしたが、
    ある母子をもてなしたあとに思う、
    おじいさんの心持がなんともすがすがしく、
    最後の5行には、こういうものこそ、
    生きている者がもつ「宝」なのだと思った。

    わたしもこういう老人になりたい。
    このおじいさんを、とても尊敬している。

  • 『野ばら』とか『殿さまの茶碗』とか好きだった。この人の童話は、変に説教じみてたり、安易なハッピーエンドだったりしないのが、すごく素敵。

  • かつて少年少女だった大人のための童話集のように感じる。比喩的な表現を用いて、結論を出さない終わり方をしてるので、様々な読解ができる。

  • 「赤いろうそくと人魚」他、全25編を収録。

    弱い者が必ずしも救われるわけじゃない。
    信心深い老夫婦が、恐るべき守銭奴の一面を覗かせることもある。
    死ぬのは年取った順番とは限らなくて、子どもだって病で命を落とす。

    そんな人生の「当たり前」を淡々と語りながら、それでいて美しいものもちゃんと見せてくれる。なんて力強い童話、と感じました。このお話たちを自然に受け取っていたであろう、子ども達もまた頼もしい。

    いつか子どもに読ませたい。そして子どもと話をしたい。名著です。

    (「児童文学を軽視してると吾国は亡びるかもよ」って坪田譲治の解説がまた熱いんだコレが。)

  • 全部で25篇の掌編童話を収録。「赤いろうそくと人魚」以外は初読。こうして全体を俯瞰してみると、小川未明の童話群の中にあって「赤いろうそくと人魚」は意外にも例外的なものだったことが分かる。すなわち、未明童話の主流はプロレタリア童話ともいうべき趣きのものなのである。未明が社会主義運動に身を投じていた経歴からも、それはあるいは当然であったのかもしれない。我々読者の側からすれば、人魚の哀しみを、蝋燭の光と幻想の中に描き出してゆく「赤いろうそくと人魚」のような作品を望むのだが。

  • 地元の作家さんであり、だいすきな作家さんでもあります。地元の浜辺に建つ『赤いろうそくと人魚』の像が夕日を眺めている様は幻想的の一言。『飴チョコ』がキャラメルのことを指していると知ってからは、キャラメルと呼ばずに飴チョコと呼ぶようにしています。

  • 陰の世界に属する童話。翳りがあり、美しくも、どこか淋しい。月が地上を照らすように、哀しむ者を見つめている。救いの手を差しのべるでもなく、かといって見放すわけでもなく、ただ、静かに見つめている。――そういう印象を受けた。

  • ハッピーエンドではなく、人間のエゴを思い知らされるオチで終わる短編集。
    ずっと小川未明は女性だとばっかり思っていました。
    男性なのね

  • 新著文庫にまとめてあるおかげで童話集とはいえ、大人でも手に取りやすいのがいい。何度読み返しても、読み返した分、心に残る素晴らしい本。

  • 小学生の頃、親から買い与えられた初めての本が、小川未明の童話集でした。もちろん、子供向けに大きな字で挿絵もあったように思います。買ってもらったのが嬉しくて何度も何度も読み返しました。めでたしめでたしで終わらない童話が新鮮だった記憶があります。一つ一つの話が深いです。登場する人間・ものが、悲しみをたたえています。また読み返すと思います。

  • 作家の本棚に小川未明が多かったので初めて読んだ。
    偶然知り合いも同じの手に取っててすごいねーって言い合った思い出(^^)

    童話集だけど、子供向けでもなくて教訓も言ってなくて、ただただなんかほっこりするなあ、と感じた。
    ラストではこうなるだろう、と思ったエンドにはならなくて、なんで最後の一行はそうなったんだろう?何を伝えたんだろう?

  • 童話って、子供むけのようで、子供だけのものじゃあないよね。
    もちろん、決してハッピーエンドばかりじゃあないし
    人間の温かさのみならず、愚かさや醜さも、ちゃんと表現しているし。

    小川未明。
    写真だけを見ると、なんだか気難しそうなおじいさんだけれど(実際、短気だったらしい)
    彼の作る童話は、なんだか、あたたかくて丸い、という印象を受けた。
    登場人物は、かなりリアルに「人間」で、
    愚かなことも、勝手なことも、冷淡なことも、してしまう。
    もちろん、そういった人間たちは、一種の罰のようなものをこうむるのだけれど
    完全に否定をされているわけでもない、と感じた。

    「愚かよのぅ。しかたがないのぅ。これが、人間よのぅ」
    そういう、未明の声が聞えてきそうな気がした。
    人間を見る、どこか冷めた視線と、あたたかい眼差しと。
    彼の童話は、人間というものに対する、彼の祈りでもあるのかもしれない。
    なあんて、ふと、感じた。

    特に、「小さい針の音」を読んでいるとき、ちょっと泣きそうになってしまった。

  • 小川未明(1882-1961)、童話作家。冒頭の「赤いろうそくと人魚」は今から90年前の作品です。
    短い20以上の童話が収められています。

    言葉づかいに時代がでたり、かくあるべし、といった修身めいたものもあるものの、さまざまな匂いをたてる童話たちです。

      星たちは、騒がしいことは好みませんでした。
      なぜというに、星の声は、
      それはそれはかすかなものであったからであります。

    こんな一節をふくむ「ある夜の星たちの話」は、静かで繊細な世界です。

    「千代紙の春」は、おばあさんが買おうとしたら逃げ出してしまった鯉にお金を払わされたことから端をはっする物語。
    ひとつのことも観ようにより感じるとものがちがってくる様を描いています。

    「負傷した線路と月」は、ふだんみんなから顧みられることのほとんどない、レールや、汽車の車輪や、汽車の積荷の箱といった、いわば時代の脇役、縁の下の力持ちたちの苦労に視線を向けた物語です。

    おとなになって童話を手にして、子供の時分にどこかに置きっぱなしにした忘れ物を見つけたような気分です。
    おとなも童話、"あり"です。

  • 甘く、寂しく、心地のよい春の夜。
    小川未明さんが描くのは、そんな童話です。

    「赤い蝋燭と人魚」が有名なのはもちろん、
    「野ばら」も「金の輪」も昔、どこかで、聞いたことがある気がします。
    誰に話してもらったんだろう?
    懐かしくて寂しくて、そして、ほんの少しだけ怖い。

    前述の二作と、あと「飴チョコの天使」がお気に入り。

    ふと思い出して、あれはどんなお話だったかな?と
    もう一度開きたくなる一冊です。

  • なんとも美しくて寂しげなお話たちでありました。
    あたたかく優しい心の持ち主と、利益を追求するあまり優しさを忘れた人びと。

    「野ばら」と「しいの実」「とうげの茶屋」しみじみ、心に染み入るようであります。
    人待ちをしている2時間のあいだに繰り返し読み。

  • 悲しくて、優しくて、言葉や情景がとても美しい童話集。

    娘を産んでから読み返してみたら、すごくよかった。


    子をなくしたアザラシのお母さんを月が優しく慰めたり、目の見えない坊やが白鳥になって暖かい南の国に旅立ったり、あ、赤いろうそくと人魚も入ってます。

    娘がもう少し大きくなったらぜひ読んであげたいな。

  • 本屋さんで数年前に目にして以来ずっと読みたくて、でも確か『ぞくっとする怖さをはらんだ本』と紹介されてあったので手が出せなかった。
    実際は、匂い立つような日本語の繊細さ、美しさに溢れた本だと思いました。怖いっていうのとちょっと違う気がする。幻想的。上手く言えないけど、日本画の繊細な筆遣いを彷彿させるような。なんとなく、古本でほしいなあと。
    解説も面白かった。

    ・赤いろうそくと人魚
    ・野ばら
    ・月とあざらし
    ・月夜とめがね
    ・千代紙の春
    ・港に着いた黒んぼ
    ・負傷した線路と月
    ・ある夜の星たちの話

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著者プロフィール

小川未明(オガワ ミメイ)
1882年新潟県高田(現上越市)に生まれる。坪内逍遥や島村抱月から指導を受け、ラフカディオ・ハーンの講義に感銘を受ける。卒業後、早稲田文学社に勤務しながら、多くの作品を発表する。1925年に早大童話会を立ち上げ、翌年、東京日日新聞に「今後を童話作家に」と題する所感を発表し、童話専念を宣言する。1946年に創設された日本児童文学者協会の初代会長を務め、1961年没。童話の代表作としては「月夜と眼鏡」のほか、「金の輪」「赤い蝋燭と人魚」「野薔薇」などがあげられる。

「2019年 『月夜とめがね』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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