- Amazon.co.jp ・本 (640ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101103068
感想・レビュー・書評
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600ページを超える長編だけれど新聞連載だったこともあり、すいすい読める。前半は日本版『大きな森の小さな家』シリーズのように家族の成長をたどり、しかもお父さんの女人幻想がバクハツしていて甘い薄焼き菓子を食べている気分。そして後半は失敗した結婚が壊れるまでを執拗に追いかけて(よくある話なのだけれど)目が離せなかった。平四郎はなんとも奇妙なお父さんだけれど、節度をもって妄想しまっすぐに愛情を注いだおかげで、娘は健やかに育ったのだった。
杏子は平四郎の思い通りの美人にはならなかったかもしれないけれど(「美人に育てたい」って無茶である)、背筋のぴんとしたいい女になったのだから、平四郎の勝ちなのだろう。でもいい女であることと駄目な男に引っかかることは別なのが、なんとも平四郎向きに仕上がった杏子さんだった。父親が素敵すぎるのも考え物。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私生児であったのも驚きだけど、生まれてすぐ、ごうつくばばあに育てられるのも、明治生まれの常識なのかな。しかし、室生犀星が侍の子であることは確からしいし、それが文筆の才や娘の美貌に繋がってるのかな、と思う。
やっぱり、血筋、遺伝なのだろうな。 -
結婚生活において女性に使役を課すことを当然と考える男たちと、それに抵抗し続ける女達。後半の、犀星自身がモデルである父親の超然ぶりが面白かったです。
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題名からは、少女の成長を想像したが、相反して特に後半は、夫婦の愛憎劇。とても子供向けの小説ではない。父親の傍観を装いながらも愛情もって娘を見守る姿が痛々しくも幸せそうである。2020.10.27
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かわいかった。これは友情かな。
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平四朗が娘(杏子)の交際相手の親から、もう付き合わないように娘に言ってほしい、と言われ、激高してある行動とるのが一番印象に残った。親ゆえの業であろうか。結局娘も息子も結婚に失敗してしまう。自らも私生児であったのも因果なのだろうか。興味深かったのがこの時代、男が無職で女が仕事していて結婚できたことである。
著者プロフィール
室生犀星の作品





