無人島に生きる十六人 (新潮文庫)

著者 : 須川邦彦
  • 新潮社 (2003年6月28日発売)
3.78
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  • レビュー :208
  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101103211

作品紹介

大嵐で船が難破し、僕らは無人島に流れついた!明治31年、帆船・龍睡丸は太平洋上で座礁し、脱出した16人を乗せたボートは、珊瑚礁のちっちゃな島に漂着した。飲み水や火の確保、見張り櫓や海亀牧場作り、海鳥やあざらしとの交流など、助け合い、日々工夫する日本男児たちは、再び祖国の土を踏むことができるのだろうか?名作『十五少年漂流記』に勝る、感動の冒険実話。

無人島に生きる十六人 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 漂流物ってなんでこんなに面白いのか。この小説が異質なのは、こういう筋書きでありがちな内紛や派閥争いが無いこと。リーダーシップを執る船長の台詞が剛直果敢で、メンバーの士気も否応無しに高まる。マネジメントの見本書。アザラシとの交歓シーンも萌える。

  • 生きる知恵とは、この本に出てくる出来事に詰まっている気がする。
    絶対的なピンチにおける船長のコトバ、行動。そして乗組員の知恵と逞しさ。この話が事実であることが、同じ日本人として勇気をもらえた。
    最後の椎名誠の解説が素晴らしい。
    「本物の漂流記は、絶望と死とその隙間からほんの少し顔を覗かせている精神的な希望の光を、なんとかたぐりよせていこうとする慟哭と葛藤の連続している世界なのだろう」

  • 面白かった。リアルだし。
    海の描写は美しくて、心が洗われる。そう思えるように、皆生きたのだろう。

    ・あかつきの空には、星がきらめき、島も海も、まだ暗い。私は、すぐに海にはいって、海水をあびて、身をきよめた。つれだった三人も、無言で、私のするとおりに海水をあびた。
    水浴がすむと、四人は深呼吸をして、西からすこし北の日本の方を向いて、神様をおがんだ。それから、島の中央に行って、四人は、草の上にあぐらをかいてすわった。
    私は、じぶんの決心をうちあけていった。
    「いままでに、無人島に流れついた船の人たちに、いろいろ不幸なことが起こって、そのまま島の鬼となって、死んで行ったりしたのは、たいがい、じぶんはもう、うまれ故郷には帰れない、と絶望してしまったのが、原因であった。私は、このことを心配している。いまこの島にいる人たちは、それこそ、一つぶよりの、ほんとうの海の勇士であるけれども、ひょっとして、一人でも、気がよわくなってはこまる。一人一人が、ばらばらの気もちではいけない。きょうからは、げんかくな規律のもとに、16人が、一つのかたまりとなって、いつでも強い心で、しかも愉快に、ほんとうに男らしく、毎日毎日はずかしくなく、くらしていかなければならない。そして、りっぱな塾か、道場にいるような気持ちで生活しなければならない。この島にいるあいだも、私は、青年たちを、しっかりとみちびいていきたいと思う。君たち三人はどう思っているかききたいので、こんなに早く起こしたのだ」
    …私は、ことのきから、どんなことがあっても、おこらないこと、そして、しかったり、こごとをいったりしないことにきめた。みんなが、いつでも気もちよくしているためには、こごとは、じゃまになると思ったからである。

    ・われわれが、この無人島にいた間、さびしかったろう、たいくつしたろう、と思う人もあるだろう。どうして、どうして、そんなことはなかった。
    空にうかぶ雲でさえ、手をかえ品をかえて、われらをなぐさめてくれた。雲は、朝夕、ひにはえて、美しい色を、つぎつぎに見せてくれた。とりわけ、入道雲はおもしろく、見あきることがなかった。

    ・「インキがほしい」と、私がいった。
    水夫長が、万年灯にたまった油煙をあつめて、米を煮たかゆとまぜて、インキのようなものをつくった。そして、海鳥の太い羽で、りっぱな羽ペンはできたが、インキは役にたつものではなかった。
    漁業長が、カメアジの皮を煮つめて、にかわをつくって、水夫長の陰気にまぜて、とうとうりっぱなインキができあがった。このインキは、水に強く、帆布に文字を書いて海水にひたしても、消えない。

    ・はじめて「鯨とび」を見たときは、うれしかったね。せなかにひれのあるいわし鯨が、なんべんも、つづけてとんだのを見た人は少ないだろう。15メートルもある、あの大きなのが、頭を上に、ほとんどまっすぐに、海面からとびあがって、尾を海から高くはなしたな、と見るまに、大きな曲線をえがいて、頭の方から海にどぶうんとはいって、またとびあがるのだ。すばらしいなめし革のような白い腹には縦に幾筋も、大きな深いしわがある。灰色のせなかには、ちょっぴり三角のひれ。鯨ぜんたいが、日光にきらきらするのだ。

    ・おいらが31歳のとき、明治8年に、ボーニン島が、日本の領土となって、日本小笠原諸島とはっきりきまったのだ。おいらの生まれた島だ。なつかしい島だ。日本の領土となったのだから、おいらも日本人だ。そうだろう。それで帰化して日本人となった。フロスト・ウィリアムスが、日本名まえにかわって、島の名をそのままもらって、小笠原島吉。どうだ、いい名だろう。
    漁夫の範多のことも、ちょっといっておこう。範多のおやじは、捕鯨銃の射手から、ラッコ猟船の射手となった。鉄砲の名人だったよ。射手のことを、英語でハンターというのだ。ハンターのせがれの、エドワーズ・フレデリックが帰化して、おやじの職業のハンターをそのままつけて、範多銃太郎となったのだ。

  • ロビンソン・クルーソーなど無人島漂流記などと同じノンフィクションものが日本の明治時代に実際に存在したのを知り感動した。一気に読み終わった。

  • 無人島で遭難してしまった船乗り16人の話。熟練した船乗りだけあって、生活する上で使う知恵(特に水を得る方法、持ち物の節約法)が多く、勉強になると同時に臨場感が増します。
    自分の手元にあるもの、島から得られるものだけで生活しようという掟のもとに16人が知恵を出し合う事に感動しました。

    これ以降はネタバレになりますが、


    実話なのにこれだけ完璧なハッピーエンドを迎えるのはすごいです。
    ラストの助けが来る場面では鳥肌が立ちました。アザラシも助かって本当に良かった!

  • 大嵐で船が難破し、僕らは無人島に流れ着いた!明治31年、帆船・龍睡丸は太平洋上で座礁し、脱出した16人を乗せたボートは、珊瑚礁のちっちゃな島に漂着した。飲み水や火の確保、見張り櫓や海亀牧場作り、海鳥やあざらしとの交流など、助け合い、日々工夫する日本男児たちは、再び祖国の土を踏むことができるのだろうか?名作「十五少年漂流記」に勝る、感動の冒険実話。

  • うそっ?この話明治時代とかの話ですよ。しかも実話ベースの。日本男児は、これを読んで、性根を入れ替えよっ!
    いかなる状況下に於いても、このような素晴らしい精神と規律を持ち続けられる人に成りたいと奮い立たされる物語。

  • 海難事故に遭遇した乗組員十六人がいかにして無人島で生きながらえたのか。 規律ある生活、役割分担して仕事をし、そんな中で若い船員を教育をしていったという実話。 さすが本物の海の男たちである。

  • 作者である須川邦彦氏が東京高等商船学校の実習学生であった1903年(明治36年)に教官であった中川倉吉氏からきいた漂流体験談を元に書かれた本。

    漁業調査を目的に、明治31年12月28日に東京を出帆した龍睡丸は1月17日から1週間ほど吹きすさんだ大西風により錨を失い、帆柱は折れ、水タンクも破れたが、無事ホノルルへ避難。修繕を行い4月4日にホノルルを出帆した龍睡丸は5月20日に再び嵐にあい...。

    本書はおおむね中川氏の一人称視点で書かれている。46年前に一度聞いたきりの話にも関わらず、その描写は非常に細かく、かつ、生々しい。実話の形をとったフィクションのようにもみえるが、椎名誠氏によるあとがきによると、『冒険実話 りゅうすりゅうすゐ丸漂流記』(大道寺謙吉著)という本が1906年に出版されており、その本には商船学校教授による序文などが書かれていることなどから、この本の内容は(多少のデフォルメや誇張はあるかもしれないが)実話と考えてよさそうである。

  • 漂流記でも、とても爽やかな話。
    16人が力を出し合って支え合って、無人島生活を社会的に過ごします。
    ルールを守って秩序を乱す者がいないため、
    すごく気持ちよくさっぱりとしていて、好感が持てます。

    「竜宮城の花園」という章がお気に入り。
    とてもきれいな島の風景が書かれています。

    最後、船を発見したとき鳥肌が立つほどぞくぞくしました

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