しぶちん (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.58
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本棚登録 : 196
レビュー : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101104058

作品紹介・あらすじ

"しぶちん"とは大阪弁でケチン坊のことだが、ケチが陰にこもらない開放的な言い方である。19歳で伊勢の沢庵売りから大阪の材木問屋に奉公して財をなした山田万治郎は、"しぶまん"と呼ばれながらも、昭和初年に、商工会議所の議員に推薦される。大阪商人の金銭への執念を捉えた表題作の他、大阪富商の町、船場に憧れと執念をもやした女の一生を描く『船場狂い』など、全5編を収録する。

感想・レビュー・書評

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  • やっぱり山崎豊子はすごい!

  • 長編作家、山崎豊子氏による短編集。長編はずっしりと重いテーマの作品が多いが、短編はどんな小説になるか、興味深かった。収録されている5編はどれも昭和33年ごろに書かれ、文藝春秋などに掲載されたもの。
    短編はすべて大阪が舞台となっている。関西出身でないと書けないであろうという、かなりディープな大阪弁で語られている。『船場狂い』では、船場という戦前栄えた商家が並ぶ地域の慣わしなど、面白かった。また、『遺留品』には、二十年後に彼女が手掛けることになる大作『沈まぬ太陽』を予想させる箇所があり、驚いた。読後、ほのぼのと感じる人もいるだろうが、私は強烈に胸が痛んだ。
    どの作品も、読み始めると先が気になって本を置けなくなる。

  • 山崎豊子短編集

  • 浪速の意地

  • 全5編、いずれも読み切り小説ならではの軽妙さと爽快さが込められている。

  • 「しぶちん」とは大阪弁でケチン坊のこと。19歳で伊勢の沢庵売りから大阪の材木問屋に奉公して十数年、お金を貯めに貯めて財をなした山田万治郎は、「しぶまん」と囁かれながらも、ついには商工会議所の議員に推薦される。大阪商人の金銭への執念は、哲学と呼べるほど深い。

    表題作の他 4編

    『白い巨塔』『大地の子』『沈まぬ太陽』など、社会派小説にて知られる筆者の、初めての短編集。

  • 船場のかつての位置づけが、わかった。

  • 2013/10/20-26

  • どの短編も話がうまく、簡潔で読後感が良かった。

  • 山崎豊子さんの短編集。
    短編は、はじめて読んだけど、やっぱこの人の作品は、短編じゃないほうがいい。長編のほうが彼女ならではの取材力や力作感があって、読み応えがある。
    ◆船場狂い
    船場育ちに憧れ、船場にこだわり、娘をつかってでも船場住まいを手に入れた久女の話。船場の地図があって、地形がわかりやすかった。

    ◆死亡記事
    豊子さん自身の私小説だとか。新聞社の学芸部員として勤めた「私」が、死亡記事を通して、空襲でも冷静に正義を徹した大畑氏を偲ぶ話。

    ◆しぶちん
    大阪では、ケチン坊のことをしぶちんと言うが、ケチを蔑みながらもどこか評価するような、笑いにかえるような、開放的な言い方らしい。
    そんなしぶちんで財を築く山田万治郎の話。

    ◆持参金
    紡績商の四男・民四郎が、家付き持参金付きで、船場の富豪の怪しい次女を嫁にもらうが、実は痘痕だらけで、ドウランでそれを隠していたという話。豊子さん自身は、「殺人のないスリラー」な小説と位置づけている。

    ◆遺留品
    阪和紡績社長の樺山正資が、永年連れ添ってきた子のない妻のために、猫のプレゼントを企んだが、出張先からの帰りに飛行機事故で死んでしまう。遺留品から、ドライミルクの缶が見つかり、実は妾がいたんじゃないかと醜聞が出回る。新卒からずっと秘書として仕えてきた瑛子は、尊敬していた社長の疑いをはらすべく密かに調べていたが、最後に子猫のためのドライミルクだったことがわかる。
    私は、この短編集の中では、この「遺留品」が一番好きな作品で、最後のほうの一文がすごい印象的だった。
    「一人の人間の評価は、たまたま起こった一つの事柄や事件によって、そうたやすく塗りかえられるものではない」。
    おそらく日航機墜落事件がモチーフになっているから、「沈まぬ太陽」の布石になっていたのかもしれない。

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