華麗なる一族(上) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 3451
感想 : 298
  • Amazon.co.jp ・本 (672ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101104126

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    結論から申し上げますと、やっぱり山崎豊子は凄まじく面白い!!
    この一言に尽きます(笑)

    本作者の「不毛地帯」や「沈まぬ太陽」など他作品も共通して言えること。
    小説の域を軽く超えている業界・企業・社会の緻密さが描かれている点。
    また、人間関係の感情であったり打算であったりなどの生々しさ。
    書き物でここまでリアルに表現することが出来るのは、山崎豊子の辣腕あってこそなのでしょう!!

    山崎豊子の作品は読むのにかなり体力を要しますが、「白い巨塔」など、彼女の他の作品も今後読んでいきたいな~

    さて、「華麗なる一族 上巻」のレビューについて。
    タイトル通り、銀行創業者の一族の浮世離れした華々しさや晴れやかな様子が描かれているが、中々どうして、タイトルとは違って一族1人1人の人間臭さや泥臭さ、、、
    いや、表現がやや違う。
    ドロドロとした人間模様や、人の持つ残忍さ・冷酷さも事細かに描かれている。
    この点に関して、もはや全然華麗ではない(笑)

    作中、銀平の妻である万樹子の台詞で、
    「ご立派で、お上品なのは表面ばかりで、中身は下劣そのもの、まんまと高須相子の口車にのせられたわ!」
    という一節があった。
    個人的に、この台詞が本作を一番端的に表しているな~と読んでいて感心しました。

    物語は、父である大介や長男・鉄平、次男・銀平、妻・寧子、大介の妾である相子など、章によって物語の主人公が変わり、視点や価値観も変わっていく。
    それぞれの主観や思惑をもって物語が進んでいき、「華麗なる一族」の陰の部分が段々と暴かれていく様は見事としか言いようがない。
    この本の見所は、「華麗なる一族」の、ある種低俗な「人間臭さ」が紐解かれていくところなのかも・・・

    ただ、銀行の仕組みやら慣習、業界ルールや事情についてもかなり事細かに書かれてはいるが、その点は読んでいて理解が追い付けなかった・・・
    時代背景が昭和中期とやや古く、お金の価値も現代とやや異なるのも難読になる要素の1つなのかも。

    まぁ、読んでいてベラボウに面白いです!!!
    上・中・下巻となかなか長編だが、続きがかなり楽しみな作品。


    【あらすじ】
    業界ランク第10位の阪神銀行頭取、万俵大介は、都市銀行再編の動きを前にして、上位銀行への吸収合併を阻止するため必死である。
    長女一子の夫である大蔵省主計局次長を通じ、上位銀行の経営内容を極秘裏に入手、小が大を喰う企みを画策するが、その裏で、阪神特殊鋼の専務である長男鉄平からの融資依頼をなぜか冷たく拒否する。
    不気味で巨大な権力機構〈銀行〉を徹底的に取材した力作。


    【メモ】

    p446
    「鉄平さん、お父さまに何ということをおっしゃるの」
    相子が窘めるように云った。
    途端、鉄平の精悍な眼がぎょろりと相子に向いた。
    「君は黙ってろ。親子が争っている時、口を出せるのは母親だけだ」


    p447
    「世間では品行方正で、冷厳な頭取として通り、一歩家庭へ入れば妻妾同居の生活を営んでいるお父さんは、世間を騙している偽善者ですよ!そういうお父さんの生活が、銀平を妙にニヒルな性格にしたんでしょう!」
    心の中にどろどろと堆積していた怒りをぶちまけるように言い、相子の方を見、
    「君もそろそろ自分自身の将来を考えるべきじゃないか」
    と決めつけた。
    「私にはまだ、私が育て教育してきた二子さんと三子さんの結婚問題が残っておりますわ。それに私はお父さまをお愛ししております。ある意味ではあなたのお母様以上に」
    静かな声であったが、そこには何者にも動じない強靭さがあった。


    p448
    「銀平、お前もこの際、何か言うことはないのか!」
    「兄さん、お父さんと争うなんて無駄なことですよ。企業家としての識見、財力、社会的地位。すべての点で何一つ、僕たちはお父さんにかなうものがない。勝てっこありませんよ」


    p531
    「何が今日はフランス語、明日は英語で晩餐ですか!ご立派で、お上品なのは表面ばかりで、中身は下劣そのもの、まんまと高須相子の口車にのせられたわ!」

    • yhyby940さん
      こんばんは。おっしゃる通り山崎豊子さんの作品を読むのは体力がいりますね。私には読み切る自信がありませんが。さすが、元新聞記者らしい切り口、す...
      こんばんは。おっしゃる通り山崎豊子さんの作品を読むのは体力がいりますね。私には読み切る自信がありませんが。さすが、元新聞記者らしい切り口、すごいですよね。「大地の子」は読まれましたか。中国残留孤児を主役にした物語です。原作は恥ずかしながら見ていないのですが、30年近く前にNHKでドラマ化されたものを夢中で見ました。
      2021/02/24
    • きのPさん
      コメント有難うございます!
      「大地の子」、まだ読んでおりませんがこれも山崎豊子の代表作の1つという評判は存じております(^^)
      テーマだけだ...
      コメント有難うございます!
      「大地の子」、まだ読んでおりませんがこれも山崎豊子の代表作の1つという評判は存じております(^^)
      テーマだけだと中々暗そうで、読むのに結構な体力が必要かな〜と思っていますが、覚悟が出来次第チャレンジします♪

      ご推薦ありがとうございます!
      2021/02/24
    • yhyby940さん
      とんでもないです。いいねを頂きありがとうございます。私には体力的に自信がありませんが、是非トライして、ご感想をコメントしていただけたら嬉しい...
      とんでもないです。いいねを頂きありがとうございます。私には体力的に自信がありませんが、是非トライして、ご感想をコメントしていただけたら嬉しいですね。
      2021/02/24
  • WOWOWドラマに長年応援しているアイドルが出演するということで気になっていた作品です。
    母親が昔から好きらしく、たまたま家にありました。

    ドラマをみてから読んだのでストーリーはスムーズにはいってきましたが、登場人物が多く、知らなかったら混乱したかもと思います。

    知らない世界なのであぁ、ありそう…
    とおもってしまいます。
    苦手なキャラ、好きなキャラできてきました。

    はやく続きを読みたいです

  • 以下、上中下巻で同じ感想です。

    最近、「近過去」のドキュメンタリーや小説が面白い。
    人間の織りなすドラマの本質は古今東西いつも変わらないのかもしれないが、舞台設定として、いわゆる「ザ・昭和」は実は1950-60年代、すなわち昭和30年代前後であり、もちろん、働き方や家庭生活など今ではありえないようなことも多いが、同時にやっぱりいまだに、ということも多い。そしてテーマとなる政治や経済のトピックが、これまた日本はこの数十年間何をしていたのか、というくらい共通なのである。

    「華麗なる一族」の物語は、行政の手厚い保護と支配の元にあった銀行の経営統合という壮絶な戦いを縦糸に、昭和な家長制と血縁の闇を横軸に進む。

    一番の迫力は、ここで取り交わされるさまざまな会話。一歩間違えれば追い込まれる神経戦の連続。経済に関する記述も非常に正確で、企業乗っ取りといえば流行りものを含めそうとう雑なものも多い中、リアリティは今なお色褪せない。

    スカッとしないことこの上ない読後感ではあるが、だからこその読み応え。

  • 金融界、官僚、政治家などを巻き込んだ万俵一族の物語。筆者もインタビューで答えているが、執筆当時の金融界は新聞も書けなかった聖域だったとか。 主人公、万俵大介は様々な策を練り自身の野望を果たすために周囲の人々を利用してゆく。家族も然り。頭取である銀行の合併がどうなるかは次巻に続く。

  • ドラマでは大介と鉄平の確執を中心に他の兄妹についてはあまり触れてなかったが、原作は弟の銀平や妹のニ子などの輪郭がはっきりして面白い。政財界の大物から末端の銀行員まで粒さに描かれているので、頭が混乱しそうだけどスケールの大きさは感じた。

  • こんな世界があるのか。。。

    あるのか?? 空想なのか??

    と妄想・想像しながら読みました。

    産まれた瞬間から将来が決まっている環境で育つ不自由さ、だけど、財力・社会的地位・人脈などは圧倒的に確立されている家族。

    貧乏だけど自由。はたまた、金持ちだけど不自由。

    一体、私達にとって「幸せ」とはなんなのか?考えさせられる作品。お金に縛られない生き方が1番の理想だよなー。と再度自分が置かれている環境に感謝の意が芽生えた

  • 半沢直樹の先駆け。

    銀行や家族のしがらみの凄まじさを感じる名作です。即座に中と下も買いました。

  • 読み終えるのに2週間くらいかかった。阪神銀行をより太く大きくするために閨閥を利用していく万俵家の物語。上流社会ではこのようなことが実際行われているのだろうか。今はもう廃れた文化なのだろうか。知る由もないが、知らないのも幸せ?

  • 所謂クソ業態、あまりに醜いね

  • 200501.面白い。文書がうまい。引き込まれる。
    ボリュームはかなりあるが、読まされる内容。
    描写に言葉遣いに、多種多様な格式に対してもよくここまで表現できるなーと。
    登場人物は多いが、一族の名前が分かりやすいのも良い。鉄平に銀平、女性の扱いは軽いのか、一二三。このまま王道路線で行くなら、銀平の嫁なり、美馬なりからのスキャンダル漏れから、大介銀行は三雲さんに取り込まれの、鉄平は二転三転苦行を超えながらの成功。祖父と母の関係発覚からの葛藤なんたら。二子は幸せ結婚。銀平は円満離婚か円満エンド。
    どうまとめるのか、どんでん返しはあるのか?

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著者プロフィール

山崎 豊子(やまざき とよこ)
1924年1月2日 - 2013年9月29日
大阪府生まれの小説家。本名、杉本豊子(すぎもと とよこ)。 旧制女専を卒業後、毎日新聞社入社、学芸部で井上靖の薫陶を受けた。入社後に小説も書き、『暖簾』を刊行し作家デビュー。映画・ドラマ化され、大人気に。そして『花のれん』で第39回直木賞受賞し、新聞社を退職し専業作家となる。代表作に『白い巨塔』『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』など。多くの作品が映画化・ドラマ化されており、2019年5月にも『白い巨塔』が岡田准一主演で連続TVドラマ化が決まった。

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