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本 ・本 (672ページ) / ISBN・EAN: 9784101104126
感想・レビュー・書評
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【感想】
結論から申し上げますと、やっぱり山崎豊子は凄まじく面白い!!
この一言に尽きます(笑)
本作者の「不毛地帯」や「沈まぬ太陽」など他作品も共通して言えること。
小説の域を軽く超えている業界・企業・社会の緻密さが描かれている点。
また、人間関係の感情であったり打算であったりなどの生々しさ。
書き物でここまでリアルに表現することが出来るのは、山崎豊子の辣腕あってこそなのでしょう!!
山崎豊子の作品は読むのにかなり体力を要しますが、「白い巨塔」など、彼女の他の作品も今後読んでいきたいな~
さて、「華麗なる一族 上巻」のレビューについて。
タイトル通り、銀行創業者の一族の浮世離れした華々しさや晴れやかな様子が描かれているが、中々どうして、タイトルとは違って一族1人1人の人間臭さや泥臭さ、、、
いや、表現がやや違う。
ドロドロとした人間模様や、人の持つ残忍さ・冷酷さも事細かに描かれている。
この点に関して、もはや全然華麗ではない(笑)
作中、銀平の妻である万樹子の台詞で、
「ご立派で、お上品なのは表面ばかりで、中身は下劣そのもの、まんまと高須相子の口車にのせられたわ!」
という一節があった。
個人的に、この台詞が本作を一番端的に表しているな~と読んでいて感心しました。
物語は、父である大介や長男・鉄平、次男・銀平、妻・寧子、大介の妾である相子など、章によって物語の主人公が変わり、視点や価値観も変わっていく。
それぞれの主観や思惑をもって物語が進んでいき、「華麗なる一族」の陰の部分が段々と暴かれていく様は見事としか言いようがない。
この本の見所は、「華麗なる一族」の、ある種低俗な「人間臭さ」が紐解かれていくところなのかも・・・
ただ、銀行の仕組みやら慣習、業界ルールや事情についてもかなり事細かに書かれてはいるが、その点は読んでいて理解が追い付けなかった・・・
時代背景が昭和中期とやや古く、お金の価値も現代とやや異なるのも難読になる要素の1つなのかも。
まぁ、読んでいてベラボウに面白いです!!!
上・中・下巻となかなか長編だが、続きがかなり楽しみな作品。
【あらすじ】
業界ランク第10位の阪神銀行頭取、万俵大介は、都市銀行再編の動きを前にして、上位銀行への吸収合併を阻止するため必死である。
長女一子の夫である大蔵省主計局次長を通じ、上位銀行の経営内容を極秘裏に入手、小が大を喰う企みを画策するが、その裏で、阪神特殊鋼の専務である長男鉄平からの融資依頼をなぜか冷たく拒否する。
不気味で巨大な権力機構〈銀行〉を徹底的に取材した力作。
【メモ】
p446
「鉄平さん、お父さまに何ということをおっしゃるの」
相子が窘めるように云った。
途端、鉄平の精悍な眼がぎょろりと相子に向いた。
「君は黙ってろ。親子が争っている時、口を出せるのは母親だけだ」
p447
「世間では品行方正で、冷厳な頭取として通り、一歩家庭へ入れば妻妾同居の生活を営んでいるお父さんは、世間を騙している偽善者ですよ!そういうお父さんの生活が、銀平を妙にニヒルな性格にしたんでしょう!」
心の中にどろどろと堆積していた怒りをぶちまけるように言い、相子の方を見、
「君もそろそろ自分自身の将来を考えるべきじゃないか」
と決めつけた。
「私にはまだ、私が育て教育してきた二子さんと三子さんの結婚問題が残っておりますわ。それに私はお父さまをお愛ししております。ある意味ではあなたのお母様以上に」
静かな声であったが、そこには何者にも動じない強靭さがあった。
p448
「銀平、お前もこの際、何か言うことはないのか!」
「兄さん、お父さんと争うなんて無駄なことですよ。企業家としての識見、財力、社会的地位。すべての点で何一つ、僕たちはお父さんにかなうものがない。勝てっこありませんよ」
p531
「何が今日はフランス語、明日は英語で晩餐ですか!ご立派で、お上品なのは表面ばかりで、中身は下劣そのもの、まんまと高須相子の口車にのせられたわ!」 -
今夏、結婚することになりました。
不満不安がないといえば嘘になりますが、銀平と万樹子の愛のない結婚には、何やら励まされました。
あの銀平でさえ政略結婚に甘んじているのだから。
がんばれ、わたし。
「三四郎」と「細雪」をもって、読書旅行に出かけよう。
◇
大介と鉄平、阪神銀行と高炉、合併の行方など、ぜんぶ気になりますが、より気になるのは高須相子の行く末。
ほぼ全員に嫌われている高須相子ですが、わたしは嫌いじゃないです。
鉄平が彼女を黙らせるシーンにはスカッとしましたが(笑)
彼女が最終的にどんな生き方を選択するのか、非常に興味があります。-
突然のコメント失礼します。
僭越ながらあかねさんの読んでいる本のジャンルや、書かれる感想がとても好きで、いつもワクワクしながら読んでいます(...突然のコメント失礼します。
僭越ながらあかねさんの読んでいる本のジャンルや、書かれる感想がとても好きで、いつもワクワクしながら読んでいます(⑅•ᴗ•⑅)
新しい門出、心から心から応援しています!!
きっと楽しいことだけじゃないですが、これからどんなことがあっても、今までと同じように、素晴らしい本たちがあかねさんのそばに居て助けてくれるんじゃないかなあと思います。
すでに読まれているかもですが、宮本輝さんの「錦繍」という本も素敵なので読んでみてください!あかねさんの好みに合うかわかりませんが、自分が人生の節目でいつも読んでいる本です。
私も「三四郎」と「細雪」大好きなので、再読してみようと思います(^^)2023/05/24 -
わ、わ、茉央さん、
とっても素敵なコメントをありがとうございます!!(*ToT)
全文を額に入れて飾っておきたいくらい、どれもこれも嬉しす...わ、わ、茉央さん、
とっても素敵なコメントをありがとうございます!!(*ToT)
全文を額に入れて飾っておきたいくらい、どれもこれも嬉しすぎる言葉ばかりです。
とくに、「今までと同じように、素晴らしい本たちが そばに居て助けてくれる」という言葉。
もう何回も何回も読み直して、目に焼き付けています。
優しい茉央さんの心のこもった言葉たちこそが、これからの励みになります、本当にありがとうございます!!
宮本輝さんの「錦繍」、茉央さんの大切な本なんですね。
読んだことがないので、今度絶対に読みます!
おすすめしてくれて、ありがとうございます!2023/05/25 -
2023/05/25
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上、中、下巻の感想です。
作品名のとおり、華麗なる一族の話。
途中で想像した結末とは大分違う終わり方でした。
豪華な世界も良いけど、ドロドロとした部分も多くあり、自分は庶民がたまに贅沢するくらいがあってるなと。 -
山崎豊子『華麗なる一族』。
残っていた山崎豊子作品。ほぼ最後。
都銀10位の阪神銀行・頭取・万俵大介。
都市銀行再編の動きがある中で、上位行からの吸収合併を逃れるべく、娘婿・美馬を通じ、他行の状況を探る。
『小が大を喰う』合併を模索する…
万俵財閥をさらに強固なものとするため、次男・銀平、次女・二子の閨閥結婚も進めていく…
一方、グループ会社・阪神特殊鋼・専務・長男・鉄平は高炉建設を計画、融資を阪神銀行に依頼するが、父・大介は…
昭和40年代前半、高度経済成長期の神戸の街。
万俵一族をさらに強固なものに動く、大介と妾・相子。
父・大介と長男・鉄平の関係が…
鉄平と祖父・敬介…
万俵一族の長・大介を中心に動いていく。
阪神銀行は吸収合併を逃れるのか…
大を喰う合併ができるのか…
阪神特殊鋼の未来は…
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以下、上中下巻で同じ感想です。
最近、「近過去」のドキュメンタリーや小説が面白い。
人間の織りなすドラマの本質は古今東西いつも変わらないのかもしれないが、舞台設定として、いわゆる「ザ・昭和」は実は1950-60年代、すなわち昭和30年代前後であり、もちろん、働き方や家庭生活など今ではありえないようなことも多いが、同時にやっぱりいまだに、ということも多い。そしてテーマとなる政治や経済のトピックが、これまた日本はこの数十年間何をしていたのか、というくらい共通なのである。
「華麗なる一族」の物語は、行政の手厚い保護と支配の元にあった銀行の経営統合という壮絶な戦いを縦糸に、昭和な家長制と血縁の闇を横軸に進む。
一番の迫力は、ここで取り交わされるさまざまな会話。一歩間違えれば追い込まれる神経戦の連続。経済に関する記述も非常に正確で、企業乗っ取りといえば流行りものを含めそうとう雑なものも多い中、リアリティは今なお色褪せない。
スカッとしないことこの上ない読後感ではあるが、だからこその読み応え。 -
WOWOWドラマに長年応援しているアイドルが出演するということで気になっていた作品です。
母親が昔から好きらしく、たまたま家にありました。
ドラマをみてから読んだのでストーリーはスムーズにはいってきましたが、登場人物が多く、知らなかったら混乱したかもと思います。
知らない世界なのであぁ、ありそう…
とおもってしまいます。
苦手なキャラ、好きなキャラできてきました。
はやく続きを読みたいです -
初めての山崎豊子作品として、本作を選び、あっという間に読破する。時代設定は昭和中期頃であり、読み始める前には、現代とのGAPを感じるかと思っていたが、全くそんなことはなかった。
今の時代にも通じる処世術であり、父子の関係が丹念に描かれていて、非常に楽しむことができた。
最初と最後の対比が、ゴッドファーザーにも通じる描かれ方になっており、最後まで楽しむ事が出来る作品です。次は白い巨塔です。 -
感想は最終巻に
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金融界、官僚、政治家などを巻き込んだ万俵一族の物語。筆者もインタビューで答えているが、執筆当時の金融界は新聞も書けなかった聖域だったとか。 主人公、万俵大介は様々な策を練り自身の野望を果たすために周囲の人々を利用してゆく。家族も然り。頭取である銀行の合併がどうなるかは次巻に続く。
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檜垣澤家の炎上を読み、俄然読みたくなった華麗なる一族!
いつもの書店に上巻がなく、手に入るまで少し時間がかかりました。
登場人物が多いので、家系図、相関図があるとありがたい。
万俵家の娘たちの名前が一子、二子、三子なのはシンプルすぎて不憫になるくらい。
万俵家の家庭教師兼執事の相子が峰不二子っぽくて面白い。美貌に才覚まで兼ね備えている実質万俵家の女主人。
どろどろした人間関係、銀行統合、政治も絡みこれからどうなるか益々楽しみです。
著者プロフィール
山崎豊子の作品






「大地の子」、まだ読んでおりませんがこれも山崎豊子の代表作の1つという評判は存じております(^^)
テーマだけだ...
「大地の子」、まだ読んでおりませんがこれも山崎豊子の代表作の1つという評判は存じております(^^)
テーマだけだと中々暗そうで、読むのに結構な体力が必要かな〜と思っていますが、覚悟が出来次第チャレンジします♪
ご推薦ありがとうございます!