華麗なる一族(中) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (640ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101104133

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    中巻を読み終えて・・・・
    徐々に鉄平と大介の対立が深まっていき、また鉄平に不運の事態が次々と訪れる。
    父子の対立には、鉄平の出生に関する疑惑があるようで、読んでいくうちに大介の鉄平に対する態度が本当に冷たくなっていくのが分かる。
    また、本物語で特にイイ味を出しているのが美馬ですね。
    大介の懐刀でありながらも、どこか悪だくみをしている様子がありありと見て取れた。
    鉄平の高炉建設の説明を聞く箇所がありましたが、「大介は不気味なほど無表情に、美馬はプラモデルでも見るような無感動な顔付で、鉄平の説明を聞いていた」といった風に、大介と美馬の態度は読んでいて本当に戦慄が走りました・・・・

    下巻でどのようにこの物語が終結するのか、ワクワクしますね。


    【あらすじ】
    阪神特殊鋼の専務万俵鉄平は、米国企業からの増注契約をキャンセルされて危機に陥る。
    旧友である大同銀行の三雲頭取が多額の融資を了承してくれるが、その矢先、熱風炉が爆発するという事故が出来──。
    一方、万俵家の次女二子は、総理の縁戚と見合いをしながらも、鉄平の部下である一之瀬に惹かれていく。
    万俵家に同居する大介の愛人・高須相子が企む華麗な閨閥づくりの行方は……。


    【メモ】
    p323
    「窮地に立っている子会社に、親会社の阪神銀行としてあまりに冷た過ぎる…」
    「そうでしょうか?銀行家たる者は、それでいいのじゃないでしょうか。僕だって、その程度にしか、お貸ししないかも知れませんよ」

    はっとするような冷たさで云った。それは今日の夕方、父が自分に向かって投げつけた冷たさと酷似していた。
    鉄平の脳裡に、太平スーパーを冷酷極まりないやり方で潰し、流通部門を持っていない万俵商事に吸収してしまった銀平のやり方が思い浮かび、銀平が老獪冷徹な銀行家の父と重なった。

    「お前は、いつも銀行は嫌だと云っているが、どうしてどうして、見事なものだよ」
    鉄平は、自分と弟の間にある大きな距離を感じ、グラスをテーブルに置いて立ち上がった。


    p523
    「あなたって人は、流産で子どもを亡くしても、全然平気でいられるのね」
    詰るように言うと、
    「最初から子供はいらない、堕した方がいいと言っていた僕だからねえ」
    銀平は無感動に答えた。
    「まあ、なんて酷いことを言うの。私が流産したのもあなたのせいよ」
    「君が流産したのが、どうして僕のせいになるんだい?勝手に養生しなかっただけのことだろう。迷惑だよ、そんな言い方は」


    p592
    鉄平はこの一年あまり、全力を傾け、今一息もいうところに迫った高炉建設現場を一つ一つ愛おしむような熱っぽさで説明した。
    しかし石橋からの高炉建設現場は豆粒ほどにしか見えず、大介は不気味なほど無表情に、美馬はプラモデルでも見るような無感動な顔付で、鉄平の説明を聞いていた。

  • 2007年のドラマでは長男の鉄平が主人公で描かれていたので、原作でも父である大介よりも鉄平寄りで読んでいます。中巻は阪神特殊鋼への次から次へと襲いかかる危機に何もここまで...とすら思ってしまいます。家族の歪みがあちこちで軋んできている印象を受けます。大介の野望はどうなるのか...下巻に続きます。

  • ドロドロとした動きが激しくなってきたなーと思いました。
    崩れていく予感がしています。
    どう崩れていくのか、立て直せるのか…
    どれもタイミングがすごく悪い長男だなぁ…と思っています。

  • この作家は万俵大介のように冷徹な人だな。話は面白いのだけど、好きになれそうな人物が出て来ない。鉄平や三雲は比較的好人物に描かれているけど、山崎節に感化されると何だか青臭いように見えてしまうから不思議だ。

  • 自分の銀行のためなら、長男の会社でさえ見放す冷徹な銀行家、万俵大介の態度は、そら恐ろしい。
    仕事に対する暑い想いを通そうとする長男の鉄平を心のなかで応援しつつ、ハラハラしながら読み終えた。

  • 200505.上巻に引き続き。
    案の定苦境に立たされる鉄平。苦境への道筋がうまい。
    多方面に気を配っているつもりでも、さらに大きなコングロマリットや、事故といった災害など、力及ばない角度から突いてくる。
    大介側も、いろいろと苦慮しつつも状況を踏まえた上での一手を打ってきた感じが、ちゃんと物語をして積んできているなーという感じ。
    次が最終。どんなどんでん返しの結末になるのか楽しみ。

  •  ワンマンオーナー銀行、大蔵省、日本銀行。大蔵省と不即不離の政治家。一方、銀行子会社たるメーカー、これを支配コントロール下に置く通商産業省。特ダネ欲しさに情報操作の片棒を担ぐマスコミ(新聞)。あるいはこれらから超然とした検察・警察。企業小説の醍醐味を存分に見せつけながら、大介と鉄平、銀平夫婦、そして、万俵一家をかき回す相子の存在と、古風な家族小説の臭味も存分に。これは凡百の作家では描けない、著者ならではかな。◆また、人間の善性は企業人の成功を意味しないという、著者の意地悪な視線も其処彼処に。実に面白いなぁ。
    こういうのを読むと、一方の記号的描写が横溢する作品の底の浅さを感じてしまうのは止むを得ないかな。勿論、好き嫌いはあるんだろうが…。

  • 上巻はかなりのスピード感を持って読み進めることができた。しかし、中巻は下巻への布石の意味もあって、大介と鉄平の間の埋まらない溝が阪神銀行と阪神特殊鋼という会社同士の摩擦にまで発展していく様子がじりじりと描かれていて、鉄平にどうしても肩入れしてしまう自分としては読んでいて辛い部分も多くあった。

    血も涙もない怪物ばかりが登場する山崎豊子作品に親しんでいるといわゆるふつうの小説を読んでも主人公が青臭すぎて、冷ややかな視線しか送れなくなってしまうのは副作用としか言いようがない笑

  • すごい熱量

  • 2018年2月10日、読み始め。
    2018年2月25日、読了。

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著者プロフィール

山崎 豊子(やまざき とよこ)
1924年1月2日 - 2013年9月29日
大阪府生まれの小説家。本名、杉本豊子(すぎもと とよこ)。 旧制女専を卒業後、毎日新聞社入社、学芸部で井上靖の薫陶を受けた。入社後に小説も書き、『暖簾』を刊行し作家デビュー。映画・ドラマ化され、大人気に。そして『花のれん』で第39回直木賞受賞し、新聞社を退職し専業作家となる。代表作に『白い巨塔』『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』など。多くの作品が映画化・ドラマ化されており、2019年5月にも『白い巨塔』が岡田准一主演で連続TVドラマ化が決まった。

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