沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101104263

作品紹介・あらすじ

広大なアフリカのサバンナで、巨象に狙いをさだめ、猟銃を構える一人の男がいた。恩地元、日本を代表する企業・国民航空社員。エリートとして将来を嘱望されながら、中近東からアフリカへと、内規を無視した「流刑」に耐える日々は十年に及ぼうとしていた。人命をあずかる企業の非情、その不条理に不屈の闘いを挑んだ男の運命-。人間の真実を問う壮大なドラマが、いま幕を開ける。

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    主人公はアフリカ駐在の職員。
    アフリカ象のハンティングから始まり、そもそもこれって一体何の物語なのかと思案した。
    どうやらエリート中のエリートである職業である航空会社の社員ながら、僻地であるアフリカで働いている主人公。
    何か左遷の雰囲気が漂っているが、一体なにがあったのだ??
    と、気になるところから物語はスタート。

    東大卒のエリートなのに、何があってこのような事態に陥ったのか?
    同期である行天とは何があったのか?
    そう感じていると、物語は急に回想シーンへと移り変わってゆく

    まずは労働組合会議という闘いの熾烈さ。
    そもそも何度も辞退したリーダーに勝手にされた不運さは可哀相。
    そしてやるからにはと頑張って行なった活動が、結果自分の首を絞めてしまうことに・・・
    その組合会議で、堂本という謎の男との出会い。(堂本とは一体何者?)

    結果、組合では活躍したものの、報復人事を受けてパキスタン・カラチに。
    パキスタンでの凄まじい生活環境、カースト制、荒んだ職場環境と人間

    2年間の流刑という言葉を信じ、壮絶な環境でも仕事をこなしていく恩地。
    しかし、その約束は決行される事無く、イランへの赴任が決まる・・・

    主人公・恩地は稀に見る正義漢で、労働組合という望んでもいない与えられた仕事にすら実直に取り組み、それが原因で不当人事の身にあうという悲惨な男。
    おそらくスペックは非常に高く、期待されていた人間だったのだろう・・・
    不器用で、まっすぐだけど、確かに管理職からしたら面倒くさい存在だろうなあ。
    実際こんな奴と一緒に働きたくねぇし。笑
    こういう人がトップだったらイイ組織で非常に楽しいんだろうけど。

    そもそも、労働組合ってこんなに血気盛んな場なんだなと改めて実感。
    「アカ」とか「共産党」という言葉に時代を感じるが、日本の昭和後期はリスキーでブラックで面白そうな時代なんだな!


    全5巻というコンパクトさからも、今後に期待が高まる1作!


    【あらすじ】
    広大なアフリカのサバンナで、巨象に狙いをさだめ、猟銃を構える一人の男がいた。
    恩地元、日本を代表する企業・国民航空社員。
    エリートとして将来を嘱望されながら、中近東からアフリカへと、内規を無視した「流刑」に耐える日々は十年に及ぼうとしていた。
    人命をあずかる企業の非情、その不条理に不屈の闘いを挑んだ男の運命――。
    人間の真実を問う壮大なドラマが、いま幕を開ける!


    【内容まとめ】
    1.主人公は東大卒エリート、しかし今は訳あって流刑に処される・・・
    2.航空業界、昭和ならではかもしれないが、こんなにドス黒い業界なのか。
    3.行天、堂本との今後の争いに期待が高まる!!(てゆーか、行天は簡単に堂本にしてやられすぎ。)


    【引用】
    p309
    夫から、郷に入れば郷に従えと口酸っぱく云われているが、親子4人の家庭に6人もの使用人がいることは、子供の教育上からも好ましくない。


    p335
    行天のサンフランシスコ支店赴任の内示
    サンフランシスコ支店は、将来のニューヨーク路線を踏まえたアメリカ最重要拠点の支店であり、これ以上の栄転はない。
    かつての組合委員長をカラチへの懲罰人事で左遷し、組合と袂を分かった副委員長は陽にあたるサンフランシスコ支店へ抜擢…
    これほど明暗を分けた人事はない。


    p394
    あと2ヶ月で任期を終えるはずが、突如としてイラン・テヘラン支店開設委員という内示が出ようとは…

    それを桧山社長自宅直送で抗議文を出したがなしのつぶて…
    結局内示は変わらず。

  • ●若かりし頃、人事部で労働組合窓口を担当し、労使関係を学びました。それもあり、五巻を読破しました。
    ●主人公は労働組合幹部を勤めたばかりに、会社からひどい仕打ちを受けます。そんな会社が存在するとは、意外です。会社と労働組合は、Counter partner として、相互牽制により、社員の幸せに繋がる施策を推進する事が使命です。勿論、お客様第一は言わずもがです。
    ●他にも、御巣鷹山篇は航空事故の悲惨を考えさせます。是非とも一読を‼️

  •  登場する会社名は国民航空となっているが、話の展開から恐らく日本航空を描いた作品であることは察しがつく。大会社の内情とそれに翻弄されながらも自らの信念を貫く一社員の格闘を描いた全5冊の巨編小説。本書はその1冊目。
     アフリカ篇となっているが、本書は主人公が何故にアフリカに派遣されたのかをそこに至る経緯を中心に描かれている。アフリカ在中を現在として、過去を振り返る形をとっている。
     労働組合と大会社の対立、それに対する非情なまでの報復人事。その一方で、それを利用してうまく立ち回る人々もいるのも事実。報復人事をまともに喰らった主人公はいかにするのか。そこまでして会社に居残る理由は?働くことの意味合いを考えてしまう。

  • WOWOWでドラマがスタートして第1話観たら面白くて、原作も気になって読み始めたっていう単純な理由(笑)

    主人公の恩地さんは間違ってないんだよな(愚直で融通が利かないのが、あれだけれど)業績が右肩上がりの会社、だけれどもそれ故に現場で勤務している人間に強いられる勤務環境、給金もろもろ。。。これ、今でいうブラック企業に近いよなぁ。
    この時代から現在に至るまで、変わってるようで根底は変わってないんだな、この国の労働環境って。

    しかも、上に逆らえば僻地に飛ばされたり閑職につかされたり。逆に上に上手く取り入ったり、金で解決させて昇進したり。。。
    この1巻でも、上の人間の汚い、醜い部分がえぐり出される様に描かれていて私まで、腹立たしさで地団駄踏みそうな勢いになった。
    恩地が不遇の道を歩まされる事が読んでてとても辛いのだがこの先、彼がどの様な生き様を描いていくのか気になるので引き続き2巻も読む予定。

  • この作品は数年前に図書館で借りて読んでいるが、恥ずかしいことに物語がどう完結するかを覚えていない。もちろん85年の日航機墜落事故を題材にしたくだりは強烈に印象に残っている。しかしその後のストーリー展開についての記憶がなく、何かの事情で読破に至らなかった可能性は十分にある。いずれにしてもこれだけの大作に対して非常に面目ないことだ。改めて最初から読み直してストーリー全容を今夜こそ記憶にしっかりと焼き付けたい。

  • 長編は苦手なのですが、ノンフィクションに近い内容で読み応え凄く、あっという間に読破してしまいました。

  • 最も危険な動物は人間。
    一人一人の欲望が積み重なってできた組織は、かくも簡単に真摯な人間を踏みつぶし、多数の犠牲を伴ったとしても生まれ変わることなく、生き残り続けられるものなのか。
    御巣鷹山日航機墜落事故が、この小説のとおり企業内モラルの崩壊があったとするなら、また、事故以降もモラルの崩壊が続いたのであれば、ご遺族の「二度殺された」という言葉はとても重く、心すべき言葉だ。

    この小説を書くにあたり、日本航空だけでなく、ご遺族の中からも作者山崎豊子に対する厳しい意見はあったように聞く。
    伝えなければならないこと、書かなければならないことを見据え、全てを受け止め、しょい込みその重みを自覚して書く。
    これが本当の小説家の仕事なのだと思う。

    素晴らしい小説と出会うことができた。
    ありがとうございました。

  • J○Lがモデルと言われている小説。組織って恐ろしい…。興味深かったです。
    すべてが真実とは思わないけれど、今の状況を見るに、だいぶ真実と近かったんだろうなとは思う。
    航空機用語やら、政治用語やらがいっぱいで難解ではあるけれど、ある程度は読み飛ばしても話の内容はわかります。

  • いうまでもなく山崎豊子の作品は膨大な資料と
    念密な取材の上に成り立っていますが
    実在の人物を超える芯に迫る迫力があり
    取りつかれたように読み進むうち
    作者も取りつかれたように筆が止まらなかったのだと実感します
    社会を動かすのは組織ではなく
    一人の志であってほしい あるべきだと背筋を伸ばしました
    全巻読破いたします

  • ドラマから観てあまりに感銘を受けたので原作を読み始めました。今では考えられないことが昔はあったんですね。そしてそれに仲間のために耐える恩地に感動しました。家族のことを思うとあれですが、ブレない精神がすごいです。あとアフリカのサバンナの風景も文章から伝わってきます。後世に残る大作です。

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著者プロフィール

山崎 豊子(やまざき とよこ)
1924年1月2日 - 2013年9月29日
大阪府生まれの小説家。本名、杉本豊子(すぎもと とよこ)。 旧制女専を卒業後、毎日新聞社入社、学芸部で井上靖の薫陶を受けた。入社後に小説も書き、『暖簾』を刊行し作家デビュー。映画・ドラマ化され、大人気に。そして『花のれん』で第39回直木賞受賞し、新聞社を退職し専業作家となる。代表作に『白い巨塔』『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』など。多くの作品が映画化・ドラマ化されており、2019年5月にも『白い巨塔』が岡田准一主演で連続TVドラマ化が決まった。

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