沈まぬ太陽〈4〉会長室篇(上) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101104294

感想・レビュー・書評

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  • 国民航空再建のため、総理の要請を受けて関西紡績の国見正之が新会長に就任した。
    空の安全を確立するため、4つに分裂した組合の統合が何よりの急務であると熱く語る国見の姿には、恩地と同じく僕も胸を打たれた。
    これまで労使双方のことを本当にちゃんと考えてくれる経営者がこの会社にはいなかったから。
    国見さんがあと1年早く国民航空に来てくれていたら、あの事故は起こらなかったのではないかと思う。

    飛行機に乗る側にとれば(2回しか乗ったことないけど)離着陸が成功するなんて当たり前のことだけど、機長、副操縦士、航空機関士をはじめ、それに携わる人たちは極度の緊張状態の中で仕事をしているのだということを知った。
    パイロットの仕事のきつさを知るためコックピットに搭乗した国見会長は本当に立派な人だと思う反面、扉1枚開ければ出来ることをしてこなかった今までの役員は一体何なんやろうと思った。
    山崎豊子さん、本当にコックピットの中に入って取材をしたのかな?

    大きな目的を達成するために新たに会長室を設立した国見さんは、そこの部長に恩地を招いた。
    10年間海外の僻地を盥回しにされてきた恩地がようやく日の目を見ることができ、国民航空も良い方向へ動いて行きそうだなと思ったら、どうやら一筋縄では行かなさそうだ。
    政治家、官僚、会社の重役がみな私腹を肥やすことに専心し、国見さんの邪魔をしようとしている。
    次から次に不正が暴かれ、人間の汚い部分を散々見せつけられて、ウンザリしたし怒りが込み上げてきた。
    この会社は腐っている(フィクションであると信じたい)。
    こんな大人には絶対になりたくない。
    国見さんも恩地さんも、自分のことしか考えていない愚かな連中に負けず王道を進んでほしい。
    □□□□
    レビュー400件到達!
    やったね☆
    500件、1,000件を目指して、これからも続けていきたい。

  • 腐りきった組織。でももし自分が同じ環境にあったら正義を貫けるだろうか。

  • # 4巻は文庫版で読む

  • 「空の安全」をないがしろにし、利潤追求を第一とした経営。御巣鷹山の墜落は、起こるべくして起きた事故だった。政府は組織の建て直しを図るべく、新会長に国見正之の就任を要請。恩地は新設された会長室の部長に抜擢される。「きみの力を借りたい」。国見の真摯な説得が恩地を動かした。次第に白日の下にさらされる腐敗の構造。しかし、それは終わりなき暗闘の始まりでしかなかった……。

  • 御巣鷹山の日航機話

  • 前巻で史上最悪な飛行機事故を起こしてしまった、国民空港。
    特殊法人な故に、総理大臣ご指名の別会社の会長が、
    国民空港の会長に就任し、腐りきった社内改革のために奮闘する話。

    4巻では、会社の役員やグループ会社の役員の
    利権に溺れている様や、癒着の様子、金策の様子など
    事故を起こした会社とは思えぬ腐敗っぷりをたっぷり披露する1冊となっています。

    会長室に呼ばれ、組合統合に奮闘する恩地さん、
    海外から戻ってきても、色々苦労続きの話が続きます。

    4巻は5巻に向けた前ふりの一冊であったかもしれません。
    正直何も進展しないのが本作です。

    でもそのため最終巻がどう終わるのかが非常に気になります。

  • 3巻位からぐいぐい引き込まれ、4巻も私にしては早めに読破。
    大会社及び政治家の世界って本当に黒い。
    魑魅魍魎。

    今も変わらずなんだろうな~。と
    政治資金不正の話がTVで花盛りなだけに、思ってしまう。

    今、本当にクリーンな政治家なんて1人でもいるのだろうか??

  • 沈まぬ太陽5巻のうち、腐敗しきったシロアリ会社役員に関する巻。日本の大企業やサラリーマンなんて、東電の腐敗が明るみに出る何十年も前からこんな体質だったのだと実感。バレずにもらえるものはもらう(着服する)。社員の給料から少額ずつちょろまかした金で高いもの飲み食いして豪華客船に乗ってハッピー。正しいことを考えて実際に実行する人なんておそらく半数以下だろう。会社員だけじゃなくて高級官僚もこの調子なのだから、かつても、今も、日本は「美しい国」などでは全くないと思う。基本的に正直、でもテレビ見すぎ・大手新聞社信じすぎの平民はもう何十年も騙されてきたのだ。なにしろ、この巻にありありと描かれているように、ニュースは会社役員が新聞社を高額接待して「作られる」んだから。

    細かな調査に基づいて書かれているものの小説中の「利根川総理」の日航123便事件に対するスタンスと現実のそれにはかなりの乖離がある気がする。ひょっとしたら山崎さんはちゃんと知りつつも、意図的にそういう設定にしたのかもしれない。気になる方は中曽根元総理にまつわる疑惑について調べてみるとよいと思う。

    企業による接待でズブズブの大手新聞社と対照的に、真実を書こうとする姿勢を見せる「中央新聞社」は今日では「東京新聞」に近い気がする。

  • 御巣鷹山事故後の再建に踏み出した日本航空。
    そこで設けられた会長室で国見会長に召集され、腐敗し切った組織に挑む恩地さん。

    一筋縄ではいかない、底知れぬ闇のような人間の私腹、保身、偽善、不条理。
    読んでいて体力を奪われるほどのリアリティで切り出す山崎豊子さんはすごいです。

    だからこそ、恩地さんや国見会長の正義に純粋に感動します。
    現実は、理想論や観念論では動かない。
    きれいごととして書かれてはいないのです。

    これぞ、ヒューマニズムではないでしょうか。

    会長室篇•下巻が沈まぬ太陽シリーズ最終巻となります。
    日本航空、そして恩地さんがどこに辿りつくのか、早く読み届けたく思います。

  • ようやく目の黒い経営者が現れ、いよいよこの腐り切った組織の構造改革に乗り出す。
    なんとかしてこの腐敗を断絶してくれと祈りながら最終巻へ思いを託す。
    恩地がんばれ

著者プロフィール

山崎 豊子(やまざき とよこ)
1924年1月2日 - 2013年9月29日
大阪府生まれの小説家。本名、杉本豊子(すぎもと とよこ)。 旧制女専を卒業後、毎日新聞社入社、学芸部で井上靖の薫陶を受けた。入社後に小説も書き、『暖簾』を刊行し作家デビュー。映画・ドラマ化され、大人気に。そして『花のれん』で第39回直木賞受賞し、新聞社を退職し専業作家となる。代表作に『白い巨塔』『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』など。多くの作品が映画化・ドラマ化されており、2019年5月にも『白い巨塔』が岡田准一主演で連続TVドラマ化が決まった。

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