白い巨塔〈第1巻〉 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 245
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101104331

感想・レビュー・書評

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  • 医療と法律において素人である著者が、どうしてここまで緻密な医療裁判を描けるんだろう。とにかくディテールの細かさにいちいち驚かされ、全5巻に渡る大長編で少しも緩みがない。どうしたらこんな小説が生み出せるのか、ただただ驚愕だった。

    しかし、完全無比な作品であるものの、時代背景の古さから現代から見ると違和感のある描写も少々ある。際立っているのが、癌医療あるいは終末医療における患者への告知に関してだ。患者が命の危険に気づいていても、何が何でも隠し通そうとする医師の態度は、今の考え方からすると非情に理不尽なものに映る。死を絶対的に避けるものとしてしか描かれていないので、その点ではクライマックスにかけて、ドラマ版の方が現代的で見応えがあった。

    財前と里見、真逆の人生観をぶつけ合う中で、どちらも一切妥協せず自分の信念を貫いて生きていることが明らかになる。それぞれ考える理想像に近づくためには犠牲を厭わない性格で、その人生への真摯さにはとりわけ感銘を受けた。どちらも生き方として決して正しくないし間違えてもいない、それでも人並み外れた情熱をもって生きる人の姿に心打たれてしまう。

  • 医学界を題材に人間の本質を描いた傑作小説。
    医療現場・職場の人間関係・友情・家族・恋愛・人間の生き方が巧みに描かれている。

  • 山崎豊子の代表作。医学・学会・業界・患者。様々な思惑が絡む中出世を何より目指す財前と対照的な生き方をする里見の生きようを描く。

  • 山崎豊子作品で気になっていた最後のシリーズ。
    これは、ただの病院ものと言うより、色々な人格の人がいて、それぞれの人物の心の描写が素晴らしい。

    私は、中学生の時に、実際に正しい事をして、女子高で仲間はずれにされたことがある。女子高での一人でのお弁当や移動は辛い。ロッカーにごみが入っていたこともある。
    自分の行動を悔いることはないが、里美先生の様に、正しい事をすると世の中はこういう目にあうから、それなりの覚悟をしてからの行動を勧める。だけれど、最後に敵対していた財前が最も信頼したのが里美先生で、悪意ではなく、最後に人の心に通じるのは誠実さであると思う。

    今の私は、大河内先生を目標にしたいと思う。
    もう一人気になったのが柳原。5巻の258ページでの発言。彼は最後まで小心者だが、強くない人間の気持ちもわかるので、何とも言えず読んでいたが、彼は最後まで善意ではなく、自分の立場の方を考えていた事に驚く。

    現在、私の知り合いが、きつい会社の同僚と一緒に、もう一人の同僚をのけ者にする行為をしている。私は、それを非難することで、知り合いから嫌われてしまった。自分を里美先生とすごく重ねた。だけど、里美先生の、相手に対する優しさがなかった点を反省する。そして、私の知り合いの同僚は財前。それは明らかだが、私の知り合いが誰かと重ねながら読んだが、決定しかねた。柳原でないこと、そしてこの物語の様に、最後には私の誠意に気づいてくれる事を祈って、感想文の筆をおきます。

  • 2012/11/30

  • 何度もドラマ化された本書。いま読んでも、全く色あせない。大学という組織、それも国立大学、さらに数ある学部の中でもいまだに別格扱いの医学部、そのなかでも絶大な権限・権力・お金を握り続けているのが外科。そして、弱腰の厚生労働省の体質と姿勢。こうした状況は、本書が書かれた頃、いまだ何も変わっていない実態といべきか。
    現在、山崎豊子氏が再度本書を書くとすれば、どんな主人公像になるのだろうか。やはり、国立大学医学部教授のポストに固持していくのか、それとも海外に飛び出し、さらに高みを目指していくのか、そんなことを思いつつ1巻から5巻まで一気に読み直した。

  • どろどろ。地位や名誉が何になる。
    これが男の世界か。世の現実か。
    佐枝子に幸せになってもらいたい。

  • ドラマを残念ながら見れずに、三浦しをんのエッセーから興味を持って全部読んだ。

    すごくドロドロすぎる。

    でも、財前君、偉くなって威張りたくなる君の気持ちも分かるよ。
    今だったらCTぐらい速攻できるのに・・・

    最期の鵜飼教授への「用はない、あっちへ行け」と解剖時への遺書は涙が出てきた。

  • 面白い!山崎豊子の小説は古いものは古びず、新しいものは古びている(運命の人のひどさよ!)
    この教授選のドロドロっぷりね たまらん!
    全面的にドラマのキャストが頭に浮かぶがほぼ全てはまり役であるように思う

  • 第一回の選考委員会ぐらいまで。
    おれが大好きで観てたのが唐沢の白い巨塔なんだよね、だから登場人物がみんなそのメンツで想像されてしまう。ただ時代が全然違うけどね。

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著者プロフィール

山崎 豊子(やまざき とよこ)
1924年1月2日 - 2013年9月29日
大阪府生まれの小説家。本名、杉本豊子(すぎもと とよこ)。 旧制女専を卒業後、毎日新聞社入社、学芸部で井上靖の薫陶を受けた。入社後に小説も書き、『暖簾』を刊行し作家デビュー。映画・ドラマ化され、大人気に。そして『花のれん』で第39回直木賞受賞し、新聞社を退職し専業作家となる。代表作に『白い巨塔』『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』など。多くの作品が映画化・ドラマ化されており、2019年5月にも『白い巨塔』が岡田准一主演で連続TVドラマ化が決まった。

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