白い巨塔〈第1巻〉 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 245
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101104331

作品紹介・あらすじ

発行部数累計600万部の大ベストセラー!

癌の検査・手術、泥沼の教授選、誤診裁判などを綿密にとらえ、
尊厳であるべき医学界に渦巻く人間の欲望と打算を迫真の筆に描く。

国立大学の医学部第一外科助教授・財前五郎。食道噴門癌の手術を得意とし、
マスコミでも脚光を浴びている彼は、当然、次期教授に納まるものと自他ともに認めていた。
しかし、現教授の東は、財前の傲慢な性格を嫌い、他大学からの移入を画策。
産婦人科医院を営み医師会の役員でもある岳父の財力とOB会の後押しを受けた財前は、
あらゆる術策をもって熾烈な教授選に勝ち抜こうとする。
初出「サンデー毎日」1963-1965年、1967-1968年。
半世紀経ってもまったく色褪せない、不朽の名作。全5巻。

感想・レビュー・書評

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  • 2019年4月21日、読み始め。

    作品が書かれた時期を確認しておく。
    「白い巨塔」は、1963年より連載されたとのこと。
    著者は1924年生まれなので、40歳になる前に書かれたという感じか。

    2019年4月30日、読了。

  • これは面白い。国立大学医学部教授の椅子を狙って、一癖も二癖もある面々がドロドロの駆け引きを繰り広げる。羨望の的である「お医者様」も、腹の中では野心と欲望が渦巻いており、一挙手一投足にひりつくような微妙な駆け引きの閃光が走る。

    国立浪速大学の医学部第一外科助教授・財前五郎。食道噴門癌の手術を得意とし、マスコミでも脚光を浴びている彼は、当然、次期教授に納まるものと自他ともに認めていた。
    しかし、現教授の東(あずま)貞蔵は、財前の傲慢な性格を嫌い、他大学からの移入を画策。
    産婦人科医院を営み医師会の役員でもある岳父・財前又一の財力とOB会の後押しを受けた五郎は、あらゆる術策をもって熾烈な教授選に勝ち抜こうとする。

    登場人物たちがとても人間くさい。燃えるような野心を滾らせる財前五郎。彼の傲岸を嫌い、金沢大学の菊川昇を推薦しようとする、一見紳士な東貞蔵。財前を推すことによって将来の実験を握ろうとする医学部長の鵜飼(うがい)良一。教授戦からは距離を置き、直向きに医療に邁進する里見脩二。
    野心、名誉欲、矜恃、嫉妬、見栄…醜い感情どうしがぶつかり合う人間ドラマがつまらないはずがない。

  • 山崎豊子(やまさき とよこ)氏著書『白い巨塔(一)』です。

    主人公の財前五郎(ざいぜんごろう)は、食道手術を得意とする国立大学の第一外科助教授で、第一外科の東(あずま)教授の定年に伴い、次期教授の椅子を狙っています。
    婿養子として財前家に迎えられ、義父が大学教授になれなかった経緯や自身が苦学生を経験したことから、なんとしても教授選にて勝ち、地位と名誉を手に入れる必要があります。

    一方で、東教授は、財前の野心家で我が強い性格や医者としてのセンス、知名度に嫉妬心をいだき、定年が近づくに連れて、本当に次期教授が主人公でよいのか、疑問を持つようになります。

    一巻では、財前助教授が教授選に向けて、局員や近親者に働きかけ味方につけていく姿と、東教授の葛藤から決断する瞬間までが描かれています。

    なにかを達成しようとするときやチャレンジするときには、障害や壁がつきものですね。本心では、来てほしくないのですが(笑)
    財前助教授の場合は人間関係が壁になったように、解決すべき課題は人によって違いますが、必ず自身を成長させるものだと思っています。
    本書を通して、私自身も乗り越えていく度に成長し、変わってきたことを思い出しましたし、今も目標に向けて日々楽しんでチャレンジしています。

    二巻はどのような展開になっていくのでしょうか(^^)
    楽しみです♪

  • ハイボールがよく出てくる。

  • 唐沢×江口のドラマ再放送に触発されて、初・山崎豊子。
    話の流れも結末も知っているのに、こんなに続きが気になって、ワクワクするなんて。すごいなっ(興奮)
    登場人物は皆少しずつドラマとはイメージが違うけれど、これはこれで、時代背景を感じられてイイ。
    医者という職業、大学病院という場所、特別で高尚だと想像してしまう世界だからこそ、生々しく人間臭い欲望が静かに渦巻いている様が、非常に興味深い。
    何が正義なのか、正義なんていうものが存在しうるのか…さぁ、二巻読もう。

  • ドラマ(唐沢さんのときの)を見てました。面白いと思ったのに、原作の巻数に圧倒されて手を出せずにいましたがついに読み始めてしまいました。まだ一巻しか読んでないですが、すでに面白い。続きが楽しみです。個人的には時代を感じさせる医療用語が興味深い。基本的にドイツ語なのですね。また、老人病という表現があったり、病院でスパスパ煙草を吸っていたり、現代とのギャップが面白いです。それでも、今読んでも生々しさを感じられるのだから山崎豊子さんの表現力には感服させられます。

  • とにかく物凄く質量のある文章である。そして物凄く質量のある作品である。

    文章の構成が立体的で、文の裏にその一文を立証する複数の文があるよう。そして一文一文が樹形図のようにつながっていると思えた。その「厚み」は元新聞記者であるところの作者の取材力が成し得たものだと思うのだけれど、そのボリュームが半端じゃない。だからこそ「白い巨塔」が圧力を持ったものとして立ち憚る姿を読者が感じられるのであって、この作品を最近の小説でよく見かけるペラペラの文章で書いたら張りぼての「白い巨塔」になってしまうと思う。(勿論ペラっとした作品には共感しやすいとか、別の良さがあるが)

    その読者と同じように聳え立つ白い巨塔を目前にしているのが柳原先生だと思う。他の登場人物が良かれ悪しかれ背筋をピシリとしているのに対して柳原先生は何ともフニャフニャである。だからこそ終盤での柳原先生の決断が裁判で証言以上に大きな意味を持っていると思う。私は彼が正しい証言をしたことに拍手を送ったが、同時に
    「え?君はそれで大丈夫?」と、フニャ部分がなくなったことでこの人はやっていけるのかとも思った。

    話の結末で彼は無医村に行くという選択をする。里見先生がいうようにそれは何百人の命を両肩にそのまま預かるようなことで、生易しいことではない。彼が法廷上で正しい証言をしたことが「医者としての倫理観」を通すためのワンステップだとするなら無医村での診療はそこから2ステップ3ステップ……ずっと先まで続く険しい道だと思う。

    正直、それまでの彼は頼りない人という印象があったけれど「無医村に行く」というストイックな選択は(たとえ大学病院に残れないという消極的な理由が一部あるにしろ)私にはできないなあ……。読み終えたあと、そんなことを考えながらよく見たら「そもそも私は医学部に入れる頭がない」とか、白い巨塔が立ちふさがる以前の問題が山積していることに気づいたのだった。

  • 再々々読。作品の発表が昭和40年というのに、時代を感じさせないことに驚きです。人間の本質とは変わらないものなんだと実感。東教授の嫉妬に端を発した、教授選。周囲の人々の、いかに自分の立場を有利にするか奔走する姿。大学病院とはかくあるものか?一側面ではあるにしても、医学界の閉鎖性、権力争いの構造の問題点が、海堂氏の描くシリーズとも接点があるようです。

  • 山崎豊子、得意の腹黒い連中が暗躍する弱肉強食の世界。
    序盤からこんなにドロドロした展開。
    これからどんな腹黒くドロドロした奴らが出てくるかと想像しただけでニヤけてしまう。
    山崎豊子の描く世界は、中毒性が高くハマってしまう。

  • 今まで、主に池井戸潤作品を読んできて、大抵正義感溢れる主人公に慣れてきていた。この作品は、悪というか、目的のためには手段を選ばない主人公を描いている。全5巻。50年前の話で、医学はこの間に長足の進歩を遂げたであろうが、教授選などは、さほど変わっていないのだろうなと思う。第一巻:1~7章

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著者プロフィール

山崎 豊子(やまざき とよこ)
1924年1月2日 - 2013年9月29日
大阪府生まれの小説家。本名、杉本豊子(すぎもと とよこ)。 旧制女専を卒業後、毎日新聞社入社、学芸部で井上靖の薫陶を受けた。入社後に小説も書き、『暖簾』を刊行し作家デビュー。映画・ドラマ化され、大人気に。そして『花のれん』で第39回直木賞受賞し、新聞社を退職し専業作家となる。代表作に『白い巨塔』『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』など。多くの作品が映画化・ドラマ化されており、2019年5月にも『白い巨塔』が岡田准一主演で連続TVドラマ化が決まった。

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