- 新潮社 (2002年11月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784101104355
みんなの感想まとめ
正義とは何かを問いかける医事紛争裁判が描かれる本作は、大学病院の闇に迫る緊迫したストーリーが展開されます。主人公たちの葛藤や対立を通じて、読者は医療の現実と倫理について深く考えさせられます。特に、財前...
感想・レビュー・書評
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裁判が始まり終わった。
財前側の勝訴に終わり、里見が病院を去る。
正義とは何なのだろうか。
さあ、先へ進もう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【感想】
何とか教授選を勝ち切り、無事教授になった財前でしたが、その慢心ゆえに、同期である里見の助言を全て無視し、挙句の果てには患者を死に至らしめて訴訟されるという大きなミスを犯してしまう。
ただ、この本の胸糞悪いところは、裁判に関わる医者たちの殆どが、その専門的な知識を駆使して患者やその遺族ではなく、財前や自分たちの立場を守るといった愚行に走った事でしょう。
そして、正しいことをしているはずの里見が大学病院を追われ、罰を受けなければならない財前が何食わぬ顔で病院内でのさばり続ける・・・
本当に読んでいて胸糞悪くなりました。
この本を読んで分かる腐敗した世界観は、正直なところ現代ではかなり改善されているのではないかと思います。
僕自身、仕事で大学病院などに訪問したり院内の色んな医師とお話をしますが、コンプライアンスにうるさい今日、国立病院では接待は基本NG、会社からの寄付でさえ上限金額が決められるなど、むしろ医師にとってかなりウマミがなくなってきているのが現状かなと思います。
また、これは病院や診療科などその医局によって異なるかもしれませんが、上下関係はあるとはいってもフランクな医師も多く、総じてみると封建的な印象なんてあまりないようにも感じます。
少なくとも、この小説のように、患者にとってここまで傲慢な医師なんていないと思います(笑)
なんなら、「ブラックジャックによろしく」のような院内の雰囲気すら、現代の病院にはないと思います。
(しかし、医師や医療従事者の人材不足はコロナ前からずっと課題としてありますが・・・)
ただ、現代でも医療事故は減ったとはいえ起きており、被害者によっては泣き寝入りを強いられる事はあるようです。
その構図は段々と良くはなっているとはいえ、根深い問題として残っているのかもしれませんね。
こういった改革は、何も医師たちを虐げる為にやるわけではありません。医師や医療従事者の方達は、本当に尊敬に値する存在です。
また医師や医療従事者のワークライフバランスもしっかりと確保した上で、医療事故を極力防止し、より良い医療がこれからも受けられる世の中であってほしいと願います。
さて、「白い巨塔」も5分の3を読み終えました。
ただ、正直今のところは胸糞展開ばかりで、読んでいてあまり面白いと感じておりません(笑)
残り2巻、"名作"である所以をしっかりと僕に魅せて頂きたいですね!!(何様)
【あらすじ】
財前が手術をした噴門癌の患者は、財前が外遊中に死亡。
死因に疑問を抱き、手術後に一度も患者を診察しなかった財前の不誠実な態度に怒った遺族は、裁判に訴える。
そして、術前・術後に親身になって症状や死因の究明にあたってくれた第一内科助教授の里見に原告側証人になってくれるよう依頼する。
里見は、それを受けることで学内の立場が危うくなることも省みず、証人台に立つ。
【メモ】
p329
「何を根拠にしてとか、ぶこく罪とか、そんなことは知りません。けれど、財前という先生の無責任な診察で夫が思いもかけぬ死に方をしたことは事実だす。この間から大学のえらい先生たちが鑑定に出て、素人にはわからんような難しい医学のやりとりばかりをしてはりますが、なんでそんな難しいことばかりを言わんならんのです?財前という先生が、患者をちゃんと親切に間違いなく診察したからどうか、それだけを裁けばええのだす。なんでそれを裁かんのです!証拠や根拠ばかりを言うて、こんな裁き方は間違うてます!」
「うちの人を返して、生き返らせて。子供の父親を返して!」
振り絞るような声で叫び、財前の胸に掴み掛かった。
p374
「里見君、君の友情のない証言で対質にまで持ち込まれ、一時は苦境にたたされたが、これでやっと僕に誤診の事実がなかったことが明らかになったよ」
勝ち誇るように言うと、
「財前君、こういう勝ち方をして、法律的責任は逃れられても、医者としての良心、倫理に問うてみて、君は恥ずかしいとは思わないのか」
里見は財前を憐れむように言った。
「じゃあ、どういう勝ち方をしろというのかね」、ぎらりと精悍な眼を光らせ、開き直るように言った。
「君は医者である自分に対して、もっと厳しくあるべきだ。医療は人間の祈りだとさえ言われている。神を畏れ、神に祈るような敬虔な心で、患者の命を尊重する心がなくては、医療に携わることは許されないはずだ」
里見は静かな揺るがぬ声で言った。
p376
一体、何をしたというのだろうか?
初診した患者の死の経緯について正しい証言をした者が大学を追われ、事実患者の診療に誤りを犯した者が、大学の名誉と権威を守るという美名のもと、大学のあらゆる力を結集してその誤審を否定し、法律的責任を逃れて大学に留まる。
何という不条理であろうか。
しかし、これが現代の白い巨塔なんだ。
外見は学究的で進歩的に見えながら、その厚い強固な壁の内側は、封建的な人間関係と特殊な組織によって築かれ、里見一人がどう真実を訴えようとも、微動だにしない非情な世界が生きている。 -
まだ途中だから言いたくないけど、
財前がただただクソすぎる。
同い年ならいじめてるぞ。-
またまたオイラの本棚に「いいね」をありがとうございます。
この本は再読したいのですが、読みたい本がパンパンで…。またまたオイラの本棚に「いいね」をありがとうございます。
この本は再読したいのですが、読みたい本がパンパンで…。2025/02/26 -
コメントありがとうございます。面白そうな本だなぁと思いました。お互い、ぼちぼちやっていきたいですね。コメントありがとうございます。面白そうな本だなぁと思いました。お互い、ぼちぼちやっていきたいですね。2025/02/26 -
2025/02/26
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大学病院の闇に切り込むシリーズ第三弾は医事紛争裁判。
財前よりも里見推しになるように仕組まれた物語にまんまとハマっています。でも、里見先生には東んの娘と一緒になってほしくない。
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里見助教授が。。
鵜飼医学部長め、憎たらしい。
どうかどうか戻ってきてください、里見助教授。
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話は、ドイツ、ベルリンの壁が存在する西ドイツから話が始まり、東西で分断された壁で医学も分断されていた。
時代を色濃く反映したシーンでした。
財前が不在の病院で、がん患者が息を引き取り、数時間前まで生きていたのに解剖され臓器ごとに分けられるシーンは、考えればそうなのだが、実際に物語の上で流れを追って認識すると命の重さと命が失われた後の肉体がただ存在するのを実感した。
財前は本当に名声と自分の技術を振るうことが好きなんだなと、オペラ座近くのレストランのシーンで思う
何も知らない財前が帰国して、訴えられていることを空港で知りその足で、すぐに鵜飼教授に会いに行く様は、教授選さながら、
裁判では、不安がよぎり大丈夫と自分に言い聞かせつつも、不安で仕方ない傲慢な財前が描写されています。
里見先生は、証人として発言することで、自分の立場が危うくなるとわかりながら、最後の最後まで貫く姿は、カッコ良くもあり、患者様に寄り添う生真面目なお医者様なんだなと、
どちらがいいかという話では無いが、
この2人がいるからこそ、この話は面白くなる。
東前教授や、東佐枝子は登場回数こそ少ないが、それぞれの立場からの言葉には重みがありよかった。
裁判結果は次巻と思っていたので、意外だった。
それよりも4巻が気になって仕方ない!! -
財前が手術をした佐々木庸平が、財前の欧州出張中に死亡。死因に疑問を持った遺族から訴えられる。
そして、財前の対応に疑問を持った第1内科・里見は、自身にとって、不利益になることを顧みず、原告側証人として、証人台に立つ。
判決は…
確かに財前の医者としての対応はひどいものであった。
ただ財前の誤診が佐々木庸平を死に至らしめた、という医学的根拠はないだろう。
遺族の財前への怒り、庸平を失った悲しみはわかるが、勝てる裁判であったとは思えない…
控訴するというが…
里見も医師として、正しいことをしたと言うが、その前にできることはなかったのだろうか…
『学会の報告の作成で…』
正しいことをしたために、自らは研究者としての道を閉ざされてしまった…
大学病院を頂点とする封建的な医学界。
里見のしたことは正しいのかもしれない。が、医学界で研究者として生きていくには正しいことをしたとは言えないのだろう。
里見の長年続けてきた研究が死んでしまったのだから。
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5巻にて感想を。
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不穏な様子を見せた2巻、次はどうなるの?とハラハラしながら3巻を読み始めると国際外科学会に招待された新教授の話で舞台はしばし日本を離れて西ドイツへ。新教授は国際学会での研究発表、ドイツでの手術の成功...と華々しい活躍。
そしてまた視点は日本へ戻る。ドイツへ発つ前に診た患者が急変し、死亡する。胃癌の手術は成功したものの肺に転移していたのだ。それまでにも更なる検査を勧められたにも関わらず「私の診断に間違いはない」と一蹴していた新教授。これは驕りが生んだ犠牲者なのか...。
ドイツから意気揚々と帰ってきた新教授、日本へ着くなり遺族から訴えられたことを知り、話は裁判編へ突入する。
山崎さんの緩急の付け方うまいなーと感心しながら読みました。新教授の憎たらしさといったら...。新教授一派が裁判であの手この手を使う様子は人間の醜悪さを見せられているようで少々しんどかった。その中で正義の心を貫く者、学問に忠実である者、弱みを握られ真実を言えない者、出世のために進んで嘘を吐く者...などいて多種多様。裁判の成り行きもドキドキしながら読める。エンターテイメントとして消費するならば非常に面白い。遺族の立場に立つならば非常に心が重い。
4巻ではどのように展開するのか... -
患者遺族が財前教授を訴えた裁判の場面が多かった。概して、小説内の裁判の場面は面白くないが、この本の場面は、わりと面白かった。
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【医事裁判の難しさ/正義とは何か】
・ドイツ出張中に、短時間での胃癌摘出手術を成功させ賞賛を受け、ドイツ外科学会の名誉会員資格を得る等、最高の成果を獲得したかに見えた財前は、自身の誤診を訴えられた医事裁判に帰国直後から向き合うことになる
・『①断層撮影等の検査を怠り肺転移を見逃し、②また適切な手術・術後治療を行わなかったことにより患者が死亡した』と誤診を訴える原告と、『③転移の可能性を理解しながら肺結核の名残りと合理的に診断し、④手術・術後治療の指示も適切に行った』という被告(財前)双方の主張が真っ向から対立、夫々の主張を裏付ける為の、別大学医学部教授の専門的意見、証言をコントロールする為の根回し、真実を知る者の心の葛藤が描かれる
・誤診の証明は非常に難しく、①③X線の陰影だけで肺癌への転移を診断しきることは難しく専門家でも意見が分かれること、②④手術後の症状をもって術後肺炎か胃癌かの診断可否についても専門家意見が対立すること等から、財前が誤診をしたとは証明されなかった。結局、財前は「同僚の注意喚起や要望があったにも関わらずすべき検査を行わなかった怠慢」について叱責されるに留まり、財前は全面的に勝訴した
・原告側は控訴の方針を固め、財前の一連の怠慢や癌の肺転移の見逃し(誤診した)を証言し続けた財前の同期里見は、浪速大学病院から地方病院への異動を命ぜられ、辞表を提出する
・大変な話だった。「誤診」という言葉の重み、それを証明することの難しさ、医師間でも分かれる知見・意見、良心と悪意、原告/被告双方の立場、法定外での戦い(根回し/政治)、各人物の背負う正義や物語、等多くのテーマを、医事裁判という器で見事に一つに纏め上げた
・誤診を主張したい遺族の気持ちは痛い程分かるが、医師としては診断・治療の在り方、所属する組織、等多くのことを背負っており絶対に負けられない、という気持ちも分かる。教授になって人格がぶっ飛んでしまった財前の良心の無さには全く共感出来ないものの、誤診ではなかったという財前側の主張が全く理解出来ないかというとそうではない
・運転や創薬など、人命に関わることの機械化が加速し続けていく中、医療診断・医療行為でも今後より機械化が進んだ先の責任は誰がどの様に追うことになるのか。自動運転が普及すると被告は法人になり賠償額が巨額になるだろうと予見されるが、同じ様なことが進んでいくのだろうか
・この封建的、閉塞的な白い巨塔の根本的な要因は何なのだろうか、医学部教授というポストが限られていて属人的に決まることか、国家予算配分という限られたパイを奪い合わねばならない構造によるものか、成果に応じた立場や報酬が得られないことか、市場が限られていて広がりがないことか、保険制度が異なる国(米国など)ではどうなっているのか
・大きなテーマについて考える機会を与えてもらえて深く感謝
・さて、白い巨塔を読み始めた理由が「医療関係の知人が増えてきたこと」であることを思い出したけど、そのままではネタにしにくい、、「やっぱり政治が大変なんですか?」「教授選ってどんな感じですか?」「さすがに今は違う感じですか?」なんて無邪気に聞いてみようかなw
・もともとこの三巻で白い巨塔はいったん完結して連載ストップ。その後「責任をもってこの社会的テーマを書き切ってほしい」という要望を受けて、残りの2巻を書き切ったらしい。ここで終わったら終わったで、もの凄い論争を生んだだろうな -
山崎豊子はいつも「しがらみ」をテーマにしていますね。現実にも似たような話がどれくらいあるんだろう。
もう40年以上も前の小説なのに全然「古さ」を感じさせません。
自分が里見教授の立場だったら同じように法廷で真実を語れるだろうか。
そのポストを手に入れるのに苦労をすればするほど保身に走ってしまうのはよくわかります。
それから敬語の勉強、若造の権威者に対する立ち居振る舞いの勉強になります。 -
舞台は院内政治から変わって誤診裁判。
最終的には財前の勝利に終わった裁判だったが終始緊迫感があってとても面白かった。
初めのドイツ研修からは似つかない展開と、裁判と親しみのない話題でも読者を楽しませる山崎さんの技量が伺えた。 -
財前五郎が国際会議出席のため、渡航している間に噴門ガンの患者が死亡する。遺族は財前の渡航前の不誠実な対応を誤診として訴える。肺への転移を疑い再三検査を主張した内科医の里見助教授は真実を語り大学を去り、大学の名誉を守るという美名のもとに誤診を否定した財前教授が大学に残る、不条理な結末に愕然とする。
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前半に描かれている、ドイツの風光明媚な自然、城、街並み、レストランと財前教授の感性にはうっとりとさせられた。羨ましいほど絶頂期を迎えた男の姿が活き活きと描かれていた。
変わって、後半はドロドロの裁判戦。流石にもうダメか、と思われるところまで追い詰められ、ドキドキがとまらないまま一気に読み切ってしまいました。
読み応えのある第3巻でした。 -
いよいよ財前の立ち位置が怪しくなっていく。
国立病院という場がいかに政治的で、私利私欲に満ちた医師ばかりが集まる場所かということがまざまざとわかる。
小説だから架空の話だけど、事実、組織が大きければ大きいほどこのような体質を持つようになるんだと思う。
ここからいよいよクライマックスの序章が始まるので、今後が楽しみです。 -
主人公の財前がどんだん醜く堕ちていく…
第4巻はどこが舞台となるのか楽しみ。
今後も大学病院はこの封建制のままなのだろうか。 -
前半のドイツ訪問時のアウシュビッツ見学の際に、主人公が感じた凄惨さと、後半での受け持ち患者の死に至る経過の中での自身の感情が、同一人物かと思われるほどの差を見せます。利害関係が発生した時の自己防衛、自己を正当化し保身に走る心理は分からなくもありません。原告側の人々の心理と、真実を追究する姿勢の対比が素晴らしいと思いました。裁判での唐木教授の証言にも心打たれました。
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ハイボールがよく出てくる。
著者プロフィール
山崎豊子の作品
