白い巨塔〈第4巻〉 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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感想 : 129
  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101104362

作品紹介・あらすじ

浪速大学教授・財前五郎の医療ミスを訴えた民事裁判は、原告側の敗訴に終わる。同じ大学の助教授の身で原告側証人に立った里見は、大学を去る。他方、裁判に勝訴した財前のもとに、学術会議選挙出馬の誘いがもたらされる。学会人事がらみの危険な罠を感じながらも財前は、開始された医事裁判控訴審と学術会議選挙をシーソーのように操り、両者ともに勝利することに野望をたぎらす。

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    大作・白い巨塔も、気づいてみれば5分の4を読了致しました。
    (ちなみに、面白すぎて本レビューを書いているこの段階で既に最終巻のラスト100ページほどまで読み終えております。詳しいレビューは5巻目にて書かせて頂こうかと思います。)
    ず~っと胸糞展開が続きながらも、やはり山崎豊子の代表作の1つ、とてもとても面白い!!!
    ネックとなっていた訴訟にも無事勝利し、また問題視している学術会議選挙も無事終えて順風満帆な様子の財前ですが、4巻目~5巻目にかけてこれまでうっすらと抱えていた小さな問題たちが段々と表面化し、財前の首を絞める展開が続いています。
    どのように物語が終結するのかが今後の見どころですね。

    別巻のレビューでも触れましたが、患者に対する医者や医療機関の姿勢、金銭価値、医局の封建性などなど、やはり当時と現代では大きく乖離している部分が多く感じます。
    ですから、そのギャップや時代の変遷については、最終巻を読み終えた後にちょっと自分で調べてみようと思います。
    「白い巨塔」を執筆するにあたっての山崎豊子の考えや執筆に至った理由なども、読後に照らし合わせると更に面白いかもしれませんね。

    とにもかくにも、読み終えるのが非常に楽しみな1作品です。


    【あらすじ】
    浪速大学教授・財前五郎の医療ミスを訴えた民事裁判は、原告側の敗訴に終わる。
    同じ大学の助教授の身で原告側証人に立った里見は、大学を去る。
    他方、裁判に勝訴した財前のもとに、学術会議選挙出馬の誘いがもたらされる。
    学会人事がらみの危険な罠を感じながらも財前は、開始された医事裁判控訴審と学術会議選挙をシーソーのように操り、両者ともに勝利することに野望をたぎらす。



    【メモ】
    p61
    「しかし、何といっても学術会議会員の選挙だよ。地方区といえども、当選すれば、学術会議会員としての栄誉が加わる」
    「その栄誉は欲しいし、鵜飼さんへのお返しは恐いしというところでしょう。教授になってからのあんたは、面白くなくなったわ」
    ケイ子の言葉の中に、軽侮するような響きが感じとられた。
    「何が面白くないんだ。僕ほどの名医に向かって、冗談にも失敬なことを言うなよ」
    むっと不快げに言うと、
    「名医というのは、腕と人格の二つ兼ね備わった人のことを言うのではないのん?」
    ケイ子の顔を、複雑な笑いが浮かんだ。


    p129
    「最初は大学にいる時の煩わしい雑事を逃れて、研究に専念出来ることに大きな安らぎを感じたけれど、最近はそれ以上に、各科の研究者たちと忌憚なく意見を交換し、活発に仕事が出来ることが嬉しい。ここへ来てほんとによかったと思っていますよ」


    p353
    教授室に帰ってからも、財前は暫く安田太一の手術中に襲って来た不気味な思いが拭いきれなかった。

    財前の胸に、いつか前任教授の東が「医者というものは、たとえ最善を尽くしても自分が誤診して死なせた患者のことは、一生心の中について回り、忘れないものだ」といった言葉が思い出された。

  • 前巻に引き続き法廷闘争。第二審へ。中小企業のワンマン社長が癌で死亡し、そこに医療過誤があったかどうかが争われる。
    市井の人と大権力との戦いは池井戸潤作品にも通じるかと。
    一方で被控訴人の財前教授は学術会議会員という更なる権威獲得のため選挙に打って出る。裁判、選挙の双方をシーソーゲームとなぞらえ、そのどちらにも勝ってみせるという不敵さ。
    けれど控訴した側の関口弁護士が必死に医学知識を身に付けて、財前側の手落ちを証明してくれる人を求めて日本中を駆け巡り、彼の元に強力な証人が揃ってゆく。
    裁判の決着が着く最終巻へ。

  • 主人公財前が、第二審裁判の勝訴と学術会議選の当選を目論み、策略を練る。 権力を手に入れた人間の傲慢さがよく描かれていると思います。最終章まで後一息。今年中になんとか!

  • ハイボールがよく出てくる。

  • この巻は、少し中だるみしていたように感じた。
    財前五郎、失脚の嵐の前の静けさなのか。
    少しずつだが、確実に何かが狂い始めている。
    あれだけ傲慢だった財前五郎が焦り始めている感じがする。
    最終巻がどういう展開になるのか楽しみである。

  • 財前の歯車が少しずつ狂い始めている。
    その原因が財前の良心にあるように感じられて、ほんの少しだけ財前を見る目が変わってきた。
    どんな人間にも良心はあるということか。
    佐々木庸平の影におびえて、安田太一への診察が慎重になっている財前を見て、特診患者か否かで態度を変えていると誤解する柳原に人間関係の難しさを感じる。
    他人の言動の本当の理由なんて分からない。口にした言葉が本心かどうかも分からない。そういうものなんだろう。
    亀山君子の旦那がお金をたたき返してくれてスッとした。
    最終巻で彼が不幸にならなければいいのだけれど。

  • 裁判の第二審と学術会議選が並行して進む。
    一見自信満々の財前が佐々木に似た患者の前でたじろぐ姿は妙におかしい。
    第二審が必ずしも第1審どおり進まない様相を呈する中で、かつての病棟婦長の証言が大きな意味を持ちそう。裁判の行方は予想がつかない。

  • 2019年5月6日、読み始め。
    2019年5月11日、読了。

  • 第四巻からは、『続白い巨塔』です。控訴審裁判と、学術会議選の双方を勝ち取ろうとする財前の野心は、凄まじいを通り越して開いた口が塞がりません。

    国立浪速大学教授・財前五郎の医療ミスを訴えた民事裁判は、原告側(患者側)の敗訴に終わる。同じ大学の助教授の身で原告側証人に立った里見脩二は、大学を去り、権威的しがらみのない近畿癌センターに移った。
    他方、裁判に勝訴した財前のもとに、学術会議選挙出馬の誘いがもたらされる。学会人事がらみの危険な罠を感じながらも財前は、開始された医事裁判控訴審と学術会議選挙をシーソーのように操り、両者ともに勝利することに野望を滾らす…。

    この小説もいよいよ佳境に入ってきました。著者の徹底した取材力にも驚かされますが、それを分かりやすくまとめる構成力、特に対比の妙には唸らされます。
    第一審で敗れた原告側の零落ぶりは読んでいてつらくなります。株式会社とはいえ事実上は個人経営だった佐々木繊維卸商店は、店主の佐々木庸平の急逝により商売が立ち行かなくなる。債権者からの容赦ない取立てや、番頭による持ち逃げにより妻のよし江は寝込んでしまう。この惨状の中裁判を闘うことがいかに過酷かが著者の克明な筆致で明らかにされます。
    他方、出世街道を直走る財前。鵜飼医学部長から打診された学術会議選に権力闘争のにおいを嗅ぎつけながらも、野心を剥き出しにして出馬する利己心の強さは相変わらずで、裁判を経てもなお懲りていない様子。
    この、裁判の勝敗による明暗の描き分けが巧い。そして辛酸を舐めつつ謙虚に研究に邁進する里見の姿に救われますね。財前と里見の対比も鮮やか。
    息詰まるような展開は最終巻へと続きます。

  • 今更だが、病院・医師の話なのだが、医療裁判の話である。1-3で一旦完結したのだが、あまりの反響に続編を書くことになったという。悪役が主人公というのは珍しいと思ってしまうが、抑本をそれほど読まないし、池井戸潤には悪役が主人公の話がほとんどないので、それゆえ違和感というか、読みなれていないというだけなのであろう。

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著者プロフィール

山崎 豊子(やまざき とよこ)
1924年1月2日 - 2013年9月29日
大阪府生まれの小説家。本名、杉本豊子(すぎもと とよこ)。 旧制女専を卒業後、毎日新聞社入社、学芸部で井上靖の薫陶を受けた。入社後に小説も書き、『暖簾』を刊行し作家デビュー。映画・ドラマ化され、大人気に。そして『花のれん』で第39回直木賞受賞し、新聞社を退職し専業作家となる。代表作に『白い巨塔』『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』など。多くの作品が映画化・ドラマ化されており、2019年5月にも『白い巨塔』が岡田准一主演で連続TVドラマ化が決まった。

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