- Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101104362
感想・レビュー・書評
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【感想】
大作・白い巨塔も、気づいてみれば5分の4を読了致しました。
(ちなみに、面白すぎて本レビューを書いているこの段階で既に最終巻のラスト100ページほどまで読み終えております。詳しいレビューは5巻目にて書かせて頂こうかと思います。)
ず~っと胸糞展開が続きながらも、やはり山崎豊子の代表作の1つ、とてもとても面白い!!!
ネックとなっていた訴訟にも無事勝利し、また問題視している学術会議選挙も無事終えて順風満帆な様子の財前ですが、4巻目~5巻目にかけてこれまでうっすらと抱えていた小さな問題たちが段々と表面化し、財前の首を絞める展開が続いています。
どのように物語が終結するのかが今後の見どころですね。
別巻のレビューでも触れましたが、患者に対する医者や医療機関の姿勢、金銭価値、医局の封建性などなど、やはり当時と現代では大きく乖離している部分が多く感じます。
ですから、そのギャップや時代の変遷については、最終巻を読み終えた後にちょっと自分で調べてみようと思います。
「白い巨塔」を執筆するにあたっての山崎豊子の考えや執筆に至った理由なども、読後に照らし合わせると更に面白いかもしれませんね。
とにもかくにも、読み終えるのが非常に楽しみな1作品です。
【あらすじ】
浪速大学教授・財前五郎の医療ミスを訴えた民事裁判は、原告側の敗訴に終わる。
同じ大学の助教授の身で原告側証人に立った里見は、大学を去る。
他方、裁判に勝訴した財前のもとに、学術会議選挙出馬の誘いがもたらされる。
学会人事がらみの危険な罠を感じながらも財前は、開始された医事裁判控訴審と学術会議選挙をシーソーのように操り、両者ともに勝利することに野望をたぎらす。
【メモ】
p61
「しかし、何といっても学術会議会員の選挙だよ。地方区といえども、当選すれば、学術会議会員としての栄誉が加わる」
「その栄誉は欲しいし、鵜飼さんへのお返しは恐いしというところでしょう。教授になってからのあんたは、面白くなくなったわ」
ケイ子の言葉の中に、軽侮するような響きが感じとられた。
「何が面白くないんだ。僕ほどの名医に向かって、冗談にも失敬なことを言うなよ」
むっと不快げに言うと、
「名医というのは、腕と人格の二つ兼ね備わった人のことを言うのではないのん?」
ケイ子の顔を、複雑な笑いが浮かんだ。
p129
「最初は大学にいる時の煩わしい雑事を逃れて、研究に専念出来ることに大きな安らぎを感じたけれど、最近はそれ以上に、各科の研究者たちと忌憚なく意見を交換し、活発に仕事が出来ることが嬉しい。ここへ来てほんとによかったと思っていますよ」
p353
教授室に帰ってからも、財前は暫く安田太一の手術中に襲って来た不気味な思いが拭いきれなかった。
財前の胸に、いつか前任教授の東が「医者というものは、たとえ最善を尽くしても自分が誤診して死なせた患者のことは、一生心の中について回り、忘れないものだ」といった言葉が思い出された。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
主人公財前が、第二審裁判の勝訴と学術会議選の当選を目論み、策略を練る。 権力を手に入れた人間の傲慢さがよく描かれていると思います。最終章まで後一息。今年中になんとか!
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ハイボールがよく出てくる。
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この巻は、少し中だるみしていたように感じた。
財前五郎、失脚の嵐の前の静けさなのか。
少しずつだが、確実に何かが狂い始めている。
あれだけ傲慢だった財前五郎が焦り始めている感じがする。
最終巻がどういう展開になるのか楽しみである。 -
1巻から3巻まで息をつかせないスケールで物語が進んでいましたが、この4巻ではちょっと息切れなのかな?裁判の準備と里見医師と癌患者のストーリーと佐々木商店の下り坂の描写がメインで、面白みという面ではやや小ぶりに感じた。また、財前教授もやや疲れ気味で、それまでの昼夜の大活躍振りは見られません。ちょっと残念。
でも、そう感じるのは、逆に考えると財前教授のキャラクターを好きになっているということだと。やはり、すごい小説。 -
話の展開がいよいよクライマックスへと向かっていきます。
この徐々に状況が変わっていく様を、登場人物それぞれの心境を背景に映し出されていくのがたまらなく面白いです。
最終巻も今読み始めていますが、あっという間に読み終えそうです。 -
第四巻からは、『続白い巨塔』です。控訴審裁判と、学術会議選の双方を勝ち取ろうとする財前の野心は、凄まじいを通り越して開いた口が塞がりません。
国立浪速大学教授・財前五郎の医療ミスを訴えた民事裁判は、原告側(患者側)の敗訴に終わる。同じ大学の助教授の身で原告側証人に立った里見脩二は、大学を去り、権威的しがらみのない近畿癌センターに移った。
他方、裁判に勝訴した財前のもとに、学術会議選挙出馬の誘いがもたらされる。学会人事がらみの危険な罠を感じながらも財前は、開始された医事裁判控訴審と学術会議選挙をシーソーのように操り、両者ともに勝利することに野望を滾らす…。
この小説もいよいよ佳境に入ってきました。著者の徹底した取材力にも驚かされますが、それを分かりやすくまとめる構成力、特に対比の妙には唸らされます。
第一審で敗れた原告側の零落ぶりは読んでいてつらくなります。株式会社とはいえ事実上は個人経営だった佐々木繊維卸商店は、店主の佐々木庸平の急逝により商売が立ち行かなくなる。債権者からの容赦ない取立てや、番頭による持ち逃げにより妻のよし江は寝込んでしまう。この惨状の中裁判を闘うことがいかに過酷かが著者の克明な筆致で明らかにされます。
他方、出世街道を直走る財前。鵜飼医学部長から打診された学術会議選に権力闘争のにおいを嗅ぎつけながらも、野心を剥き出しにして出馬する利己心の強さは相変わらずで、裁判を経てもなお懲りていない様子。
この、裁判の勝敗による明暗の描き分けが巧い。そして辛酸を舐めつつ謙虚に研究に邁進する里見の姿に救われますね。財前と里見の対比も鮮やか。
息詰まるような展開は最終巻へと続きます。 -
とても興味深く読める作品だと思います!山崎豊子さんの作品好きです。
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財前がかつての患者と同じような手術をするのだが、その時の感情の動きが印象的。まるで呪い。
物語も佳境に入ってきた。
裁判の決着がこの物語の結末なのかなぁ。