- Amazon.co.jp ・本 (656ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101104409
感想・レビュー・書評
-
シベリア抑留の話から商社勤務に話が移ってから、少しストーリーの緊迫感がなくなってきたかな? なんて思いもしましたが、FX・自動車・石油と休む暇もなく話が進み、あっという間に読み終わり。
沈まぬ太陽
大地の子
と同レベルの面白さ。
面白いと言ってはいけないのかもしれませんが。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
山崎豊子さんの作品に、また手を伸ばしてしまいました。なんだか、治りかけの傷口を、どのくらい治ったかな?と、触ってまた傷口が開く、そんなスパイラルです。
山崎先生の作品を最後に読んだのは『大地の子』でした。友達が、山崎さんの作品なら、それが一番良かった、と教えてくれたからなのですが、本当に素晴らしい作品で、山崎先生の作品は、これで読み収めにしよう、と思っていたのに・・。なんだかついつい、借りてしまいました。
さて、物語の内容は、第二次世界大戦後、ロシアの捕虜として11年間も過ごし、やっと帰ってきて、今度は普通の家庭を築こうと、努力している元自衛官と、その家族の物語。
第1巻は、そんな元自衛官ー壹岐が働く事になった近畿商事の社員としてのスタート、そしてたびたびロシアでの捕虜の時の辛い回想がつづられています。そして近畿商事の社長、大門はもともと『元大本営参謀』という肩書を利用するつもりはなく、壹岐も、そういうつもりで雇うなら、就職はしない、と言っていたのだが、やがて黒い渦に巻き込まれていくのでした。 -
内容はシベリア抑留が大半で、残りは近畿商事での仕事について。
シベリア抑留は、敗戦国の身として強いられる過酷な労働にも、自国に生きて帰還するための強い意志を感じた。
会社と国でバッグラウンドが異なる中にも人材やモノに対する見方に共通点があったから、以降でどうなるか楽しみ。 -
シベリアでの過酷な拘留生活を終えて
第二の人生に対して壱岐が進んでいく端緒.
面白かったです -
太平洋戦争は昭和20年8月15日に終わったわけじゃない。8月16日以降も戦争によって苦しんでいる人がたくさんいるということを忘れてはいけない。・・・というところまではよかったのですが、その後の戦闘機や油田の開発の入札については、どんだけうちらの税金無駄遣いしてるわけ!?とちょっと怒りを覚えました。でもそれは21世紀に生きている私だから言えることで、高度経済成長期には欠かせないことで、それがあったからこそ今の私たちの生活があるのかな。わかっていはいるけど、商社の理屈にはやっぱり違和感を覚えます。
でも、戦争で苦しんだ世代の方たちがまたがんばって作ってくださった日本を大切にしていきたいです。 -
「極北の流刑地で、囚人番号を押されて重労働を強いられた人間の気持ちがわかるのか!」
(ドラマ「不毛地帯」第17話より)
イラン・サルベスタン鉱区の国際入札のため、イラン国王の側近であるドクター・フォルジに会うことになったが、その会合の場所がモスクワであることを兵藤に告げられた途端、壹岐は顔をこわばらせて「モスクワには行かない」と言い、上のように吼えた。
シベリアに11年間抑留されていたとはいえ、何もそこまで声を荒らげなくてもいいのにと思ったけれど、原作を読んでみて壹岐の苦労を知るに及び、これは仕方ないなと考えが変わった。
−−−−−
太平洋戦争で大本営参謀を務めた壹岐正は、終戦後ソ連軍に身柄を拘束され、昭和31年まで囚人として酷寒のシベリアで強制労働を強いられた。
極東軍事裁判でソ連側の証人として証言台に立たされ、ハバロフスクでは予審判事のシャーノフに夜を徹しての取り調べを受け、自分の罪を認めなければ洋服ダンスの中に閉じ込められた。
また、シベリアの極北ラゾの囚人ラーゲリでは、1日12時間坑道での鉱石の運搬作業をし、39歳の若さで歯が抜け落ちるほど窶れはててしまった。
「考えることは、どうしたら早く死ねるか、それだけであった」という記述が、抑留生活の壮絶さを物語っている。
僕なら1年ももたないだろうな。
壹岐の帰りを11年間待ち続けた妻・佳子の苦悩もやはり大きかっただろうと思う。
それだけに、ドラマで壹岐が秋津中将の娘・千里と不倫しているのを見たときは強い憤りを覚えた。
帰還から2年後、壹岐は近畿商事で第二の人生をスタートさせることになった。
軍人時代のコネや肩書きは一切利用しないでほしいと大門社長に頼み入社を決めた壹岐であったが、防衛庁の二次防受注競争を有利に進めるために壹岐を利用しようと、東京支社長の里井が陰で動き始めた。
電話1本で何億という金を動かす商戦の厳しさがひしひしと伝わってき、物語に引き込まれた。
−−−−−
5巻すべて読むことができたら、これまでの人生で読んだもっとも長い小説になりそうだ。
こういう重厚な小説を読んでみたかった。 -
古橋
数奇で過酷な運命に翻弄されながらも前を向いて克服していく姿に感銘を受けます。過酷すぎる戦争経験を持つ主人公が、戦後の高度成長期である日本の経済を支える企業戦士として再び経済戦争にその身を置き、その都度乗り越えていく姿と、その成果の陰に様々な人間の葛藤や犠牲が赤ららに表現されまさしく経済戦争の厳しさを山崎豊子さん独特の詳細で専門的かつ抒情的な表現でぐいぐい引き込まされる長編小説です。
全5巻の長編ですが、何度も読み直してしまう魅力があります。(古橋) -
高度経済成長の原点の一つがなんであったか
当時の日本企業がどう海外進出を図っていたか
当時の駐在員がどうしていたか
今どうあるべきなのか
当時とは環境がことなりすぎる中
どんな志でいくべきか -
☆☆$$予想外にロシアの描写が多い。$$それが抑留の悲惨さがより感じられる。
-
重厚です。
youtubeで唐沢寿明ド主演のドラマのハイライトシーンを見て、興味がわいて早速読み始めました。山崎豊子作品はいつかまとめて読んでみたいと思ってましたので、期待大だったんですが、期待以上の読み応えある内容でした。
第1巻では11年間のシベリヤ抑留の話が中心ですが、日本人としての矜持や家族の大切さ、「信じる」という気持ちの強さ、そして戦争の愚かさが濃密に詰まっています。
第5巻まで怒涛のように押し込まれそう。