不毛地帯 (4) (新潮文庫)

  • 新潮社 (2009年3月17日発売)
4.21
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感想 : 93
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本 ・本 (560ページ) / ISBN・EAN: 9784101104430

感想・レビュー・書評

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  • 『不毛地帯』第4巻

    妻・佳子を不慮の事故で失い、単身、アメリカへ行き、アメリカ近畿商事の社長となった、壱岐正。

    アメリカ自動車メーカー・フォークと千代田自動車との提携に奔走するが…
    副社長・里井により、担当を外される…

    資源に乏しい日本の先々を考え、原油を確保する道を探していた…

    フォークと千代田との提携は、東京商事・鮫島の暗躍によって…

    副社長・里井の壱岐への嫉妬はみっともない。
    壱岐にまかせておけば…
    自らの功としようとするばかりに、壱岐の意見を聞き入れなかったために。
    昭和の会社とはこんなものなんだろうか⁇

    息子・誠の壱岐への態度は受け入れられない。
    シベリア抑留中のことも、近畿商事入社後の時期戦闘機導入戦でのことも…
    壱岐がしてきたことは何も知らないではないか…
    近畿商事で働き続けていることだって…
    川又が亡くなって、1番苦しんだのは、壱岐なのに。
    家族のためを思い、昼夜働き続けてきた父に感謝すべきだろう。

    父の想いをわかろうとしてほしい。
    最後にはわかりあえるのだろうか、壱岐と誠は…

    昭和の時代とはいえ、突然、家を訪れたり、近くまで来て電話をしたり、もう少し相手に対して、配慮があってもいいと思うが…

    千里とはどうなるんだろう…

    しかし、長かった…
    が、面白い。
    いよいよ最終巻。

    最後は、壱岐がすべて商戦を勝ち抜き、スカッと終わって欲しい。

  • ☆4.2
    壹岐は戦い続けてる。
    しかし、女に溺れる人間らしいところも見えて、決して不毛なだけの人生ではないのかとも思える反面、この弱さは、私個人は見たくなかった。
    二人の関係がこのまま、何もなく終わってしまうのか次巻が気になる。
    石油開発もまさかの失敗とか、あるのかもしれず彼の人生最期の仕事がどう結末を迎えるのかも、実に興味津々である。
    これは紙の本を手に入れて、正解だった。
    書物はやめられない。

  • 感想は最終巻に

  • 舞台が中東になって、話がどんどんデカくなり、かつ、これまで以上に利権も複雑で厄介になり、信念やモラルに野心と政治とお金と個人的感情とがグデグデに絡み合っている中をなんとかして出し抜こうとするお話。まあ言ってみればオスの縄張り争いの延長なんだけど、とにかくタイヘン。各方面の意見調整の様子は、渋いタヌキじじい的工作とアクロバティックな離れ業とのミックスで、しびれます。
    こんな仕事してたら、ワークライフバランスとか、男女平等とか子育てがどーとか絶対言ってられないね~。ハハ。(←完全に他人事)

    商社の人たちって、1泊3日でヨーロッパ出張とか行って、朝日本に戻ってきてその足で出社とかのハードスケジュールも全くないわけじゃないとか聞くけど、そもそも体力の劣る女子にはハードル高い仕事ですね。

    エネルギーがどんなに大事か、そして日本にとってその確保がどんなに大変か、ということを読んでいてひしひしと感じて、胸が苦しくなった。
    そういうことを普段まったく考えずに当たり前に電気やガスを使って暮らしている人が(私もそうだけど)多すぎるだけに、無理解が招く問題も多そう。さらにお金が招く嫌な人間関係もとっても多そう。
    大変な仕事です。

    前巻で、朔風会元ソ連抑留者の会で献身的に働く谷川大佐が「今のように物資は豊かでも、精神的な不毛の中に生きる方が、生き辛いと話し合っていたんだ」と言うシーンがあったが、「不毛地帯」というタイトル、実に含みがあって、商社マンの生きざまを描いたこの小説には非常にふさわしいと思う。
    読む前は、単純に砂漠の中の油田のことを指しているのかと思っていたけど。

    いやしかし、よくこんな話書けるなあ。戦闘機から自動車産業の再編からオイルマネーまで、それぞれに別々に膨大な取材が必要じゃないかと思う。彼らのおかれた状況や背景のいちいちが私にとっては未知のことだらけで、非常に興味深いです。

    あ、そうそう、前巻でとかく目障りだった陶芸家の女だが、やっと手に入れた壹岐という男は、はっきり言って付き合って楽しい男では全然ないということが分かってきて、しかも日陰の女扱いをされるのが不満で(当たり前だ)、なにかとイラついていて、ちょっと意外な展開で笑ってしまった。
    かわいそうと言えばかわいそうだけど、勝手に横恋慕しておきながら、奥さんとニアミスした時にものすごく嫌な態度をとっていた器の小さい女なので、まあしばらくは苦しめばよかろう!笑
    どうでもいいが、「おしゃれ」の代名詞的に出てくる「パンタロン」が完全に死語で、パンツの一種なのはなんとなく分かるが、正確にはどういう服なのか知らなくて調べてしまった。ベルボトムのことだったとは・・・・

  • 2019年1月19日、読み始め。
    2019年1月30日、読了。

  • 2024.12.28
    仕事は充実しているかもしれないが、妻を亡くして以降の私生活は危うさを感じる。

  • 自動車編からいよいよクライマックスの石油編へ。

    実際はどうか分からないが(100%とは言えないまでもだいぶあるのだろうが)、石油というのはもろ政治だというのが率直なところ。

    資源開発であるし、動くカネの膨大さからしても、まあ当然か。

  • 「実は、君を専務に昇格させるのには、わしもそういう方面のことも含めて、いろいろ考えに考えた末、決断したことや、最後に決断に至ったのは、何やと思う?」
    「全く見当がつきかねます」と応えると、大門は、
    「壱岐君、君にやったら、騙されてもかまへんということや」
    「私が社長を騙す?そんなことありようはずが…」

    「君は次期社長有力候補の最右翼というわけや、わしとの距離が近くなればなるほど、今は考えてもいないことを考えるかもしれん、実力があればあるほど、男というものは、思わんことを考えるもんや」

    君になら騙されても仕方がないと云いながら、大門は底知れぬ力量を持った壱岐を危惧し、改めて忠誠を誓わせたのだった。


    中東の乏しさは、苛烈な自然が人を押し潰しているようだったが、東南アジアの乏しさは、人が人の下で喘いでいる乏しさであった。

  • 非常に読み応えがある、過去の背景と商社マンの生き様を感じた

  • 感想は最終巻に。

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著者プロフィール

山崎 豊子(やまさき とよこ)
1924年1月2日 - 2013年9月29日
大阪府生まれの小説家。本名、杉本豊子(すぎもと とよこ)。 旧制女専を卒業後、毎日新聞社入社、学芸部で井上靖の薫陶を受けた。入社後に小説も書き、『暖簾』を刊行し作家デビュー。映画・ドラマ化され、大人気に。そして『花のれん』で第39回直木賞受賞し、新聞社を退職し専業作家となる。代表作に『白い巨塔』『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』など。多くの作品が映画化・ドラマ化されており、2019年5月にも『白い巨塔』が岡田准一主演で連続TVドラマ化が決まった。

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