二つの祖国(四) (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 29
  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101104485

感想・レビュー・書評

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  •  東京裁判後半。

     秘密の暴露に匹敵する東郷爆弾大炸裂に、一見凛としながら、全く的外れな東条の在り様を描き、東京裁判の幕は下りる。

     そんな中、賢治の余りにも喧しい「武士道」連呼に、言い知れぬ気持ち悪さと違和感。連呼せざるを得ないからこそ、二世を露わにしたものとも、トチ狂ってきた証左とも見えるが、心の支えが遠く離れ、かつ永遠の別れという結末に至ったことから来ているのだろう。
     ということで、孤独を癒す術なくラストは大河版と同じに。

     さて本作。
     日系米国人という境界線を生きる人物からの目線は、日米双方を相対化・俯瞰化したかに見える。
     しかし、やはり目に付くのは一面性、単層性だ。つまり「兵」から見た上層、アジア諸国から見た日本という観点が皆無なのだ。
     確かに、忠という、日本「兵」の代表足りうるキャラクターを造形した。にもかかわらず、彼もまた賢治の引力に吸い込まれ、賢治へのカウンターになり切れず、もちろん東条ら戦争指導者層へのカウンターにもならなかった。
     こういう点が本作が物語としての単層構造を突き破れなかった弱さに繋がっている。これは俯瞰的な、あるいは突き放して物語を構築できなかった著者の思い入れによるものだろう。
     確かに、自分の好きな物語を紡げた著者は満足だろう。
    が、その○○に付き合うのはかなりの苦痛を感じずにはいられなかった。

  • 太平洋戦争開戦後の日系人収容所問題からフィリピン戦線までのくだりは、各登場人物の動きが活き活きして面白いが、中盤以降、東京裁判の描写の割合が増えてくるとと、小説としての面白さはやや失速した感があった。主人公の、勝者による裁判への疑問に発する戦犯への心情的な肩入れや、同時進行した家庭内不和にも、そこに共感できるか否かで評価が分かれるかもしれない。戦争を体験した著者が、日系人強制収容所、原爆、東京裁判といったテーマに抱いた思いが色濃く反映した作品で、ストーリーを追うというよりは、それら歴史的事実がに興味がある人への橋渡し的な役割を果たし得る小説のように感じた。

  • 悲しい結末
    しかし素晴らしい作品です

  • アメリカと日本という二つの祖国の間で揺れ動く日系人の物語。実話を元にして、作者の丹念な取材の成果がその筆致により十分に現れている重厚な作品。色んな考え、選択をする日系人が描かれており、同じ収容されている日系人の間にも考え方の対立がある。生き方や選択にきっと正解なんてなかっただろうし、当事者ではない人間があれこれいうべきものでもない。ただ、これは山崎作品全般に言えることだけれども、真実とフィクションを渾然一体に著すのはどうか。僕は、法律家なので、終盤の東京裁判の場面で、例えば横田喜三郎をモデルにしたと思われる横井という法学者なんかが描かれているのには違和感があり、興ざめした。きっともう山崎作品は読まないだろう。

  • 日系アメリカ人二世の苦悩が描かれている。
    多くは語れないが、愕然とさせられる作品だった。

  • 寝るのを忘れて読んだ作品。
    天羽賢治の一生があまりに不憫だ。

    山崎豊子の作品を貫くテーマの一つが「主人公が世界の不条理に挑む」
    というやつで、結局のところ主人公が端から見ている限りでは勝利したとは思われない。

    だが「人は戦い続ける限り負けではない」という坂口安吾の例を引くように、天羽もまた負けてはいないと信じたい。

    悪妻と精神的重圧と戦いながら生きる天羽の姿は忘れられない。

  • 2013/1/23

  • なんという結末!なんという救いのなさ!

    モデルとなった人物がいたようだが、
    脚色しているとはいえ、なんとも切ない・・・

  • もし、中国と戦争したら、中華街の人達は、大変なことになります。

  • 父なる国日本と母なる国アメリカ。
    二つの祖国の架け橋となるべく、愚直なまでに誠実な天羽賢治。
    信念を貫いた東京裁判が、神聖な裁きの衣から、勝者の裁きの鎧を見せた後、賢治の心は墜ちていった…。
    ヒロイン梛子の最期の問いかけが重い。
    ライバルのチャーリー、弟の忠と勇の対比で賢治の苦悩が良く分かります。
    東京裁判については城山三郎著「落日燃ゆ」もお薦めです。

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著者プロフィール

山崎 豊子(やまざき とよこ)
1924年1月2日 - 2013年9月29日
大阪府生まれの小説家。本名、杉本豊子(すぎもと とよこ)。 旧制女専を卒業後、毎日新聞社入社、学芸部で井上靖の薫陶を受けた。入社後に小説も書き、『暖簾』を刊行し作家デビュー。映画・ドラマ化され、大人気に。そして『花のれん』で第39回直木賞受賞し、新聞社を退職し専業作家となる。代表作に『白い巨塔』『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』など。多くの作品が映画化・ドラマ化されており、2019年5月にも『白い巨塔』が岡田准一主演で連続TVドラマ化が決まった。

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