次郎物語 (上) (新潮文庫)

  • 新潮社 (1987年1月1日発売)
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本 ・本 (585ページ) / ISBN・EAN: 9784101105079

感想・レビュー・書評

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  • この作品は小学生の頃、祖母から借りて毎日寝る前に少しずつ読み進めた思い出の大作。主人公の次郎と同じくらいの年齢だったので、感情移入が強く働いた。
    特にイジメっ子と取っ組み合って共に川に転落し、それ以来一目置かれるようになるくだりには随分と勇気をもらった。
    いま再読したが、忘れていたディテールを鮮明に思い出し胸がいっぱいになった。
    自身の少年時代にタイムスリップしたような感覚。子供のころの読書がいかに大切かを思い知らされた。

  • 主人公、次郎の気持ちがとても丁寧に正直に描かれている。子供って、こんな風にきかん気だったり泣き虫だったり、勝手気ままだったり繊細だったり、そしてとても傷つきやすいということを思い出した。次郎が人間関係に悩みながら少しずつ成長していく様子を、見守っている気持ちになった。

    久し振りに良い読書の時間を持てた。

  • 全巻を通したメモです。初めて読書に開眼した本です。小学校の国語の先生が教師になったきっかけとして紹介されたことを覚えていて、大学の卒業旅行に持参しました。貧乏旅行で電車に揺られながら泣いてしまいました。読書で泣いたのが初めてで、自分でも驚きました。論語物語の入口になりました。

  • 人格に最も影響するものは何か?
    次郎は周りから見るとひねこびた、こずるい、乱暴者に見えるかもしれない。
    しかし、その内面は繊細で柔らかい。
    というか、そりゃひねくれるでしょうよ!わざとやってんのか!という境遇。
    次郎が本物のこずるい少年にならなくてすんだのは、何故か?
    血?遺伝?環境?
    ものを考える子供かどうか、なのかなと私は思った。

  • #886「次郎物語 上」
     中学生時代に読んで以来の再読。当時は全五部(未完だが)で各一冊、全五巻でした。著者の自伝的要素が含まれますので、里子に出された事情や、実母・祖母との確執、里親への愛情など、リアルに描かれてゐます。子供だからといつって、別に純粋無垢だつたりする訳ぢやない。打算的で、厭らしい側面も遠慮なく描かれてゐます。ルナアル「にんじん」を連想しました。
     次郎には常に信頼すべき精神的支柱が存在しますが、この巻では何といつても父の俊亮でせう。羅針盤とするべき大人がゐるかどうかが、その後の成長にも影響すると申せませう。
     それから、死を間近にして漸く分かり合へる母子に、少しほつとする思ひでした。

  • 読んで良かった。目と鼻から水だだ漏れ。とても、読んで良かった。

  • 次郎ちゃんとにんじんは仲良くなれるな

  • 少年の成長物語。

    長男や三男と違い、祖母や母にかわいがられずに育てられた次男坊の次郎が、屈折しつつも、人や本との出会いによって、まっすぐな男に成長していく物語。

    素直でもあり、ひねくれてもいる、少年期特有の複雑な心情が見事に表現されてますね。

    結構楽しく読めましたが、文字が小さく、文体が少し古いせいか、非常に時間が掛かりました。

    今時のライトな小説に慣れきっている人には厳しいかも。

    故き善き時代の、子供らしい少年の物語です。

    古典の名作と言っても過言ではないかと。

    結構オススメ。

  • こんなにも内面の描写に成功した小説はいまだかつて読んだことがない。

  • 中学生の頃に好きだった本

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著者プロフィール

1884年佐賀県生まれ。作家、社会教育家。1955年没。主著に『次郎物語』『教育的反省』ほか多数。

「2020年 『青年の思索のために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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