次郎物語(下) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 138
レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101105093

感想・レビュー・書評

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  • 次郎物語、読んでよかった。

  • 時代の流れもあり、年齢のせいもあり、次郎がどんどん息苦しくなっていくのが辛いなあ‥。
    読んでいて疲れるのは、ナチュラルな女性蔑視が悲しい。
    時代的に仕方ないのはわかってるんだけどね。

  • 一緒に成長した感が凄い。本当に凄い小説。

  • 読んで良かった。ちょっと自己愛が強すぎる。しょうがないのだとは思うのだけど。そして、続きが読めないことへの寂しさがある。でも、大丈夫。

  • 最後の第5部。中学以降の次郎の話。朝倉先生が塾を務める青年塾での話です。青年を育てる。当時の軍国主義下では、軍部は号令のもと命を惜しまない青年を育てることこそ、日本国の為であると主張。そういう世論が強まっていく中、人間として成長することを目的とする友愛塾を展開する朝倉先生。そこに付き従い、助手を務めていく次郎だが、兄を慕う道江との恋愛との間で道に迷う。
    未完とはいえ、5部は最後まで書かれ終了しています。
    読んで良かったし、この本に出会えてよかったと思える本でした。
    5部最後の次郎の日記が、非常に感動したので抜き書きします。

    『僕は、中学一年にはいって間もないころ、しみじみと人間の運命というものの不思議さに思い至ったことがあった。それは、朝倉先生にはじめて接することができた時の喜びの原因を、それからそれへと過去にさかのぼって考えていくうちに、ついに、ぼくがお浜(乳母)の家に里子にやられたのが、そもそもの原因であることに気がついた時であった。ぼくは今あらためて同じようなことを考えないではいられない。というのは、ぼくが中学を追われたのも、友愛塾の助手になったのも、また、田沼先生の人格にふれ、大河無門という友人を得、全国の青年たちと親しむようになったのも、そしてさらに、悲しみと憤りをもって友愛塾に別れを告げ、自身のない新しい生活をはじめなければならなくなったのも、すべては朝倉先生とのつながりにその原因があり、もとをただせば、やはり里子ということにその遠因があると思うからである。
    道江の問題を考えてみてもやはり同様である。ぼくが道江を知ったのは、大巻との関係からだが、その大巻との関係は、今の母によって結ばれており、今の母がぼくの家に来るようになったのは、正木の祖父が僕の将来を気づかって父にそれをすすめたからのことであった。そして、ぼくがその当時将来を気づかわれるような子供であったのは、やはり里子ということにその遠因があったのだ。
    里子! 何という大きな力だろう。それは現在の僕のいっさいを決定しているのだ。僕の生活理想も、恋愛も。……そしておそらくそれは将来にもながく尾を引くことであろう。いや、あるいはぼくの一生がすでにそれによって決定されてしまっているのかもしれないのだ。
    こう考えて来ると、人間の自由とは一たい何だろう、とぼくは歌が側図にはいられない。おsれは円の中心から、自分の欲するままに、円周のどこへでも進んでいけるというようなことでは、絶対にない。おそらく、円の中心から円周に向かって、ほとんど重なりあうように接近して引かれた二つの線の間のスペースを、わずかな末広がりを楽しみに進んでいけるというにすぎないのではあるまいか。もしそうだとすると、それは自由というよりも、むしろ運命とよんだほうが適当だとさえ、ぼくには思えるのだ。
    だが、ぼくはまた考える。もしもぼくが、そうした運命感にとらわれて、正しく生きるための努力を放棄するならば、ぼくは円周のどの一点にも行きつくことができないであろう。ぼくにとって今たいせつなのことは、運命によってしめつけられた自由の窮屈さを嘆くことではなくて、そのわずかな自由を極度に生かしつつ、一刻も早く円周の一点にたどりつくことでなければならないのだ。ぼくには、このごろ、やっと一つの新しい夢が生まれかけている。それは、円周の一点にたどりつきさえすれば、そこから円周のどの点にも自由に動いて行けるのではないか、と思えて来たことだ。どんな偉人にだって運命はあった。かれらがその運命を克服して自由になり得たのは、運命の中のささやかな自由をたいせつにし、それを生かしつつ、円周の一点にたどりつくことができた時ではなかったろうか。ぼくにはそう思えてきたのである。』

  • 第5部は半世紀前に書かれたものだけど、続きを読みたいなと感じます。もっと若いときに読めば良かったと思うけど、2部から5部は、まぁ50過ぎになったけども読んで良かった。

  • レビューは上巻

  • 次郎の物語。
    とにかく長い。
    物語の終わり。

  • 破滅へと突き進んでいく日本の時勢への怒り、痛切な片思いの苦悩とで、これまでの鍛錬を公式的教訓とまで嫌疑してしまう次郎・・・。この苦難を、そして終戦後の日本をどのように次郎が生きていくのか?未完の作品とは知りながらやはり読みたいと思ってしまいます。

  • 人間にとって大切なこと、必要なことが濃密にぎゅむっと詰まっているように思います。とくに五部なんか、今の時代を生きていてこれを読めて良かったとまで思う。すべての人に全力でお勧め。

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著者プロフィール

作家、教育者、教育哲学者。      
1884年、佐賀県に生まれる。17歳ころから「内田夕闇」の筆名で文芸誌に投稿し、年少詩人として全国的に知られようになる。1909年、東京帝国大学文学科を卒業し、1911年、母校の佐賀中学校で教鞭をとる。唐津中学校長などを歴任したのち、日本統治下の台湾へと渡った。台中第一中学校校長、台北高等学校校長となり、1931年に教職を辞任。1933年、大日本青年団講習所長に就任し、在任中に小説『次郎物語』の執筆を開始する。1937年に講習所所長を辞任し、文筆活動と全国での講演活動に専念、昭和前期の青少年社会教育に大きな影響を与えた。1938年、『論語物語』を出版。1955年、逝去。主な著書に『現代訳論語』『この人を見よ』 などがある。

「2008年 『論語物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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