暗い絵・崩解感覚 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101107011

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  • 暗い絵・顔の中の赤い月・地獄篇第二十八歌・崩解感覚の四作品を収録。
    青年期によく見られる心理的な問題を、戦争が少なからずも助長する。戦争という危機的状況を経たためか、どの作品の人物も肉体への情欲が激しい。
    作家の野間宏は京大在学時に反戦運動に関わっていたり(その経験が色濃く表れているのが『暗い絵』)後に「狭山事件」のルポを執筆したりする。これらから伺えるように彼は「左寄り」の人であり、そういうものに引っかかりを感じる人は読むのが辛いかもしれない。しかし、社会的状況が人間の心理に大きな影響を与える時代があったことを実感するにはいい作品だと思う。

    『崩解感覚』に何故「解」の字が当てられているのか、作家は言明してはいないが(そしてたいした理由などないのかもしれないが)、「解」の字でなくてはいけない作品だと個人的には感じさせられた。壊れる、だけなのではない。そんなわけでお気に入りの作品である。

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著者プロフィール

1915ー1991 作家。毎日出版文化賞、朝日賞、谷崎潤一郎賞。『真空地帯』『青年の環』『狭山裁判』など。生誕100年。

「2015年 『日本の聖と賎 中世篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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