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- 本 ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101108049
感想・レビュー・書評
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評論家の平野謙は、自ら積極的に軍部への協力を行っていたらしい
情報局文芸課の嘱託として、演説の草稿など書いたという
しかし戦後、その事実を隠そうとして批判を受けた
平野を批判した1人に、転向プロレタリア作家の中野重治がいた
中野は、少なくとも転向の事実を曲げて書くことはなかった
しかし彼にも隠していたことがある
日本の軍部よりもはるかに厳しい検閲を、共産党が行っていたということ
中野重治の、かつての同人仲間に堀辰雄がいた
堀は複雑な家庭環境に育ち、養父に対しては冷淡な男だったという
一方で、芥川龍之介を実の父親のように慕っていた
「聖家族」は、彼の心に描いた虚構の、崩壊するさまそのものといえる
世間に対して虚構の自分を演じてみせることがいけないとは言えない
生きていくには色に染まる必要もあろう
西欧文化に並ぶべく、無様な背伸びを続けた東洋人のように
しかし虚構は虚構だ
黒いカラスを現実に白と言わせる行為が
いずれ世界を歪めないわけはないだろう詳細をみるコメント0件をすべて表示
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