駅路 傑作短編集6 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.47
  • (11)
  • (34)
  • (61)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 379
感想 : 29
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101109077

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 松本清張氏の傑作短編集第六弾。推理モノ。完全犯罪をめざすが、ひょんなことから犯行が露見してしまう。特殊なトリックなどなく、ある程度は予想された展開ではあるが、これが昭和30年代の作品とは驚きです。

  • 白い闇:北海道に仕事に行ったきり帰ってこない。東北本線を利用。TVでは新幹線利用。
    捜査圏外の条件:会社の同僚が?
    ある小官僚の抹殺:砂糖に関する癒着、急行なにわ
    巻頭句の女:俳人の女性の死亡にまつわる保険金殺人
    駅路:定年退職の男が80万円持参で蒸発。広島可部線
    誤差:東海道線から私鉄で2時間の温泉宿。大井川鐡道?
    万葉翡翠(ひすい):最初の部分はイマイチ理解出来ず。後半は面白い。準急アルプスの全盛時代。大糸線が開通して間が無い頃かも。しかし細い点と線をうまく結びつけるものだ。
    薄化粧の男:テレビで見た事があった。50歳になると美男ほど見にくくなるものか。
    偶数:映画の大映しのように出てきた茶碗、表現が上手い。
    陸行水行:邪馬台国の調査がからんだトリック。しかし邪馬台国の事を徹底的に調べたものだ。

  • 親近者が行方不明になった時に、人はどのような行動を起こすのか。幾重にも物語が派生する松本清張の企みは愛憎を潜ませる。この素朴な激情が人の業として様々な事象に連鎖して、転落する様がドラマとして魅せられる。いいよね清張。

    • norikoさん
      清張、いいよね。
      清張、いいよね。
      2023/01/22
  •  1957(昭和32)年から1962(昭和37)年、次々と傑作を大量に発表し、清張ブームを巻き起こした脂ののった時期の短編集。調べてみると、ちゃんと発表年代順に作品が並んでいることがわかった。
     おおむねミステリ/推理小説の系列の作品が多いようだが、清張の場合は犯人の欲望を描き、倒叙の形で構成された方が彼らしくて面白い。なので、本格推理小説というのとはちょっと違う。興味は卓抜な探偵にあるのではなく、一線を超え犯罪を企むことになった犯人の欲動のあり方にある。そしてそれが、清張らしく一切同情心のない、ドライでクールなストーリーテリングとなっている。やはり読んでいてそれが清張の醍醐味であり、面白い。人間心理の掘り下げがさほど深くもないじゃないか、なんて言い出すと、清張は物足りないと感じることになろう。
     本書中、異色なのは最後の「陸行水行」(1962)。邪馬台国は結局どこにあったのかという論争を背景に、独創的な仮説が論じられており、そういえばこの作家はこういう、歴史やら考古学やらが趣味で、かなり該博な知識を持っていたらしい、ということを思い出した。確かにこれはなかなか専門的であり、他の作品とはまるで様相が違う。その分、ここでは、犯罪に向かう人間の欲動というテーマからは離れることになったようだ。
     全般に面白く読める短編小説集で、さすが清張という安定感である。

  • 短編集として、次の作品が所収。
    「白い闇」「捜査圏外の条件」「ある小官僚の抹殺」「巻頭句の女」「駅路」「誤差」「万葉翡翠」「薄化粧の男」「偶数」「陸行水行」

    今なお、TVドラマでリバイバルされ続けている松本清張の短編作品。それだけ、どの短編も時代が移ろい変わっても、人間の情欲は不変ということが描かれているためか。
    最後の「陸行水行」は、考古学、邪馬台国論争の新説が興味深く描かれており、他の作品とか違った趣を感じる。こうした題材を取り上げるのも、松本清張ならでは。

  • 巻頭の話がサスペンス向きで面白かった。
    どの話も独特な暗さを感じるの自分だけだろうか。
    短編とはいえ取材のみならず勉強(邪馬台国の辺りとか)はさすが巨匠だと思う。

  • 既読の物も、まるで知らない物も。松本清張の作品は、犯人に対して大なり小なりの作家の共感があるというか、寄り添っているのが感じられる。だから、時代の波に洗われていろいろなアイテムが古くなってしまった今でもたまに読みたくなって、読んでしまうのかも。

    「偶数」はそうきたか、だし、「薄化粧の男」はシスターフッドの先駆けとも言えまいか?
    「陸行水行」は「或る『小倉日記』伝」と同じ、認められずともひたすら歴史の真実を追い求める者の哀愁があり、ラストシーンには、田舎の小さな人間が大きな歴史を追い求めるロマンさえ漂う。

  • 読んだことのある作品もあった。
    短編が面白いのはよくわかった。
    長編も読んでみようかなぁ。

  • 松本清張の作品に対する背景知識や下調べ、とても時間をかけて作品を作ったんだろうな

  • 清張 短編集
    ゼロの焦点~みたいな話しが続く

全29件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1909年、福岡県生まれ。92年没。印刷工を経て朝日新聞九州支社広告部に入社。52年、「或る『小倉日記』伝」で芥川賞を受賞。以降、社会派推理、昭和史、古代史など様々な分野で旺盛な作家活動を続ける。代表作に「砂の器」「昭和史発掘」など多数。

「2023年 『内海の輪 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

松本清張の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×