- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101109077
感想・レビュー・書評
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松本清張氏の傑作短編集第六弾。推理モノ。完全犯罪をめざすが、ひょんなことから犯行が露見してしまう。特殊なトリックなどなく、ある程度は予想された展開ではあるが、これが昭和30年代の作品とは驚きです。
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白い闇:北海道に仕事に行ったきり帰ってこない。東北本線を利用。TVでは新幹線利用。
捜査圏外の条件:会社の同僚が?
ある小官僚の抹殺:砂糖に関する癒着、急行なにわ
巻頭句の女:俳人の女性の死亡にまつわる保険金殺人
駅路:定年退職の男が80万円持参で蒸発。広島可部線
誤差:東海道線から私鉄で2時間の温泉宿。大井川鐡道?
万葉翡翠(ひすい):最初の部分はイマイチ理解出来ず。後半は面白い。準急アルプスの全盛時代。大糸線が開通して間が無い頃かも。しかし細い点と線をうまく結びつけるものだ。
薄化粧の男:テレビで見た事があった。50歳になると美男ほど見にくくなるものか。
偶数:映画の大映しのように出てきた茶碗、表現が上手い。
陸行水行:邪馬台国の調査がからんだトリック。しかし邪馬台国の事を徹底的に調べたものだ。 -
親近者が行方不明になった時に、人はどのような行動を起こすのか。幾重にも物語が派生する松本清張の企みは愛憎を潜ませる。この素朴な激情が人の業として様々な事象に連鎖して、転落する様がドラマとして魅せられる。いいよね清張。
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1957(昭和32)年から1962(昭和37)年、次々と傑作を大量に発表し、清張ブームを巻き起こした脂ののった時期の短編集。調べてみると、ちゃんと発表年代順に作品が並んでいることがわかった。
おおむねミステリ/推理小説の系列の作品が多いようだが、清張の場合は犯人の欲望を描き、倒叙の形で構成された方が彼らしくて面白い。なので、本格推理小説というのとはちょっと違う。興味は卓抜な探偵にあるのではなく、一線を超え犯罪を企むことになった犯人の欲動のあり方にある。そしてそれが、清張らしく一切同情心のない、ドライでクールなストーリーテリングとなっている。やはり読んでいてそれが清張の醍醐味であり、面白い。人間心理の掘り下げがさほど深くもないじゃないか、なんて言い出すと、清張は物足りないと感じることになろう。
本書中、異色なのは最後の「陸行水行」(1962)。邪馬台国は結局どこにあったのかという論争を背景に、独創的な仮説が論じられており、そういえばこの作家はこういう、歴史やら考古学やらが趣味で、かなり該博な知識を持っていたらしい、ということを思い出した。確かにこれはなかなか専門的であり、他の作品とはまるで様相が違う。その分、ここでは、犯罪に向かう人間の欲動というテーマからは離れることになったようだ。
全般に面白く読める短編小説集で、さすが清張という安定感である。 -
短編集として、次の作品が所収。
「白い闇」「捜査圏外の条件」「ある小官僚の抹殺」「巻頭句の女」「駅路」「誤差」「万葉翡翠」「薄化粧の男」「偶数」「陸行水行」
今なお、TVドラマでリバイバルされ続けている松本清張の短編作品。それだけ、どの短編も時代が移ろい変わっても、人間の情欲は不変ということが描かれているためか。
最後の「陸行水行」は、考古学、邪馬台国論争の新説が興味深く描かれており、他の作品とか違った趣を感じる。こうした題材を取り上げるのも、松本清張ならでは。 -
巻頭の話がサスペンス向きで面白かった。
どの話も独特な暗さを感じるの自分だけだろうか。
短編とはいえ取材のみならず勉強(邪馬台国の辺りとか)はさすが巨匠だと思う。 -
読んだことのある作品もあった。
短編が面白いのはよくわかった。
長編も読んでみようかなぁ。
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松本清張の作品に対する背景知識や下調べ、とても時間をかけて作品を作ったんだろうな
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清張 短編集
ゼロの焦点~みたいな話しが続く