- 本 ・本 (528ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101109176
感想・レビュー・書評
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一気読み。面白かった。上司が手形詐欺に遇い自殺。主人公はその犯人を探し出そうとするも、大きな組織の存在が見え隠れする。なかなか掴めない黒幕、殺害方法のトリックなど最後までわからず楽しめた。手形詐欺の現場、銀行の応接室に連れてこられたら信じてしまうよね。さすがに今の時代はこんなケースはないだろうけど。臨場感溢れるミステリーだった。
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面白い作品だったので、一気に読みきってしまいました。
白昼の中、手形詐欺にあうところから話が始まる。主人公の上司の無念をはらすため、主人公の友人の新聞記者とともに詐欺の主犯格を探す。今では考えられないような社会の常識も、当時は当たり前の部分もあり、突っ込みどころ満載だが、作品としては次のページが気になるほどの面白さでした。
ただ、どうしても気になるのが、黒幕がわかったところ。特に、犯人があっけに取られるほどの劇的な終わりをむかえるところです。初めて読むスピードが落ち、その部分を二度読んでしまいました。 -
巧妙な手形詐欺で3000万を騙し取られ責任を取り自殺した会計課長の部下の萩崎竜雄は、義憤に駆られ真相究明に動き出す。友人の田村と共に探っていくが、組織によって第二第三の事件が起きる。長編小説だが、会社員の主人公が命の危機に直面しながらも上司が死んで真犯人がのうのうと生きているのが許せないという気持ちで踏ん張るのが共感する。
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「松本清張」の長篇ミステリー作品『眼の壁』を読みました。
『宮部みゆき責任編集 松本清張傑作短篇コレクション〈上〉』、『宮部みゆき責任編集 松本清張傑作短篇コレクション〈中〉』、『宮部みゆき責任編集 松本清張傑作短篇コレクション〈下〉』に続き「松本清張」作品です。
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手形詐欺の驚くべき手口!
上司の汚名を晴らすため、ひとりの男が立ち上がった。
傑作サスペンス!
白昼の銀行を舞台に、巧妙に仕組まれた三千万円の手形詐欺。
責任を一身に負って自殺した会計課長の厚い信任を得ていた「萩崎」は、学生時代の友人である新聞記者の応援を得て必死に手がかりを探る。
二人は事件の背後にうごめく巨大な組織悪に徒手空拳で立ち向うが、せっかくの手がかりは次々に消え去ってしまう……。
複雑怪奇な現代社会の悪の実体をあばき、鬼気迫る追及が展開する。
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「松本清張」の短篇を連続3冊読んで、久しぶりに長篇を読みたくなったので本書を選択しました。
400ページを超える長篇でしたが、面白かったので、一気に読んでしまいました、、、
昭和32年の4月~12月に『週刊読売』に連載された作品なので、それから60年近くの年月が経っていますが、現在でも十分愉しめる内容に仕上がっていますね。
昭和電業製作所の会計課長「関野徳一郎」は、つなぎの資金を調達しようとして、R相互銀行本店の会議室でパクリ屋グループによる巧妙な詐欺(篭脱け詐欺)に引っ掛かり、3,000万円(現在だと4億円くらいとか…)の手形を詐取される、、、
会社は大損害を被り、その責任を感じた「関野」は自殺、遺書により過程を知った「関野」の部下「萩崎竜雄」は、自ら真相を追跡しようと決心… 学生時代の友人で新聞記者の「田村満吉」の協力を得ながら事件の真相を探る。
この序盤の展開から物語に引き込まれましたねぇ… 「萩崎」に感情移入して読み進めました。
「萩崎」と「田村」は、「関野」が付き合いのあった高利貸の「山杉喜太郎」や、その女秘書「上崎絵津子」を探るうちに、早い時点から事件の黒幕として右翼の「舟坂英明」の存在に気付きますが、なかなか核心に迫ることができません、、、
その間に、会社からの依頼で事件の真相を探っていた顧問弁護士「瀬沼俊三郎」の部下で元警察官の「田丸利市」は、犯人グループの一味と目されるバーテンダーの「山本一夫(本名:黒池健吉)」に近付こうとして「黒池」が射殺されます… その後「瀬沼」が誘拐され長野県西筑摩郡の山中で死体(死因は餓死?)として発見され、「黒池」も同県北安曇郡の山中で白骨化した死体(死因は自殺?)として発見されます。
「瀬沼」と「黒池」の死については、静養を理由に荻窪の自宅から伊勢に移動した「舟坂」が裏で糸を引いていると思われますが、巧妙なトリックにより、なかなか真相に辿り着くことができません、、、
しかし、二人は「瀬沼」を東京から列車で運び出したトリックや山中に迷い込み餓死したと見せかけたトリック、「黒池」の死体を数日で白骨化させて死後数ヶ月と見せかけたトリックを暴き、そして「舟坂」の正体… 不明だった出生の秘密(出身地や「黒池健吉」、「上崎絵津子」との血縁関係)を解き明かして、アジトとしていた瑞浪(岐阜県)の精神病院「清華院」で追い詰めます。
そして、衝撃的な結末、、、
次に命を狙われていた「上崎絵津子」が沈められるはずだった濃クローム硫酸の風呂に自らが落ちてしまい、跡形もなく溶解… 現在の映像技術で映画化すると、かなりグロテスクなエンディングになりそうですね。
本作品、昭和33年に「佐田啓二」主演で映画化されているようです、、、
当時のことなので、エンディングシーンは、そんなにリアルに描かれていないだろうと思います… プロットや展開は面白いので、機会があれば観てみたいですねぇ。
以下、主な登場人物です。
「萩崎竜雄」
電機メーカー・昭和電業製作所の会計課次長。
本作の探偵役。
「田村満吉」
新聞社社会部の記者。
竜雄の学生時代の友人。
「関野徳一郎」
昭和電業の会計課長。
竜雄の上司。
「瀬沼俊三郎」
昭和電業の顧問弁護士。
「岩尾輝輔」
長野県選出の代議士。
「山杉喜太郎」
麻布に事務所を持つ山杉商事の社長。
「上崎絵津子」
山杉商事の女秘書。
「舟坂英明(山崎事務長)」
戦後に勢力を伸ばしてきた右翼の新鋭。
荻窪在住。
「梅井淳子」
西銀座の酒場「レッドムーン」のマダム。 -
6月のWOWOWドラマ前なのでネタバレなしで。
初めて松本清張作品を拝読した。
前半のねっとりゆっくり丁寧な描写で物語の世界に惹き込まれた。
要素が集まり物語が展開し始めると非常にスピーディーで夢中になり一気に読めた。 -
資金にショートした民間会社。短期資金調達のために金融業者・高利貸金業者社長の口利きで相互銀行から資金調達できることになる。しかし、その実態はパクリ屋、詐欺集団の手中に落ちる。資金調達の担当者は、自殺。その真相を調べるために、その部下、部下の友人の新聞記者が奔走する。右翼団体、代議士、戦中戦後の混乱、貧村地域の悲哀、偽装殺人など徐々に真相が明らかになっていく。
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二桁年振りの松本清張。何もかも全く記憶なく、新鮮で楽しめました。
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松本清張の作品





