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本 ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784101109541
感想・レビュー・書評
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さすがでした。
女の事件簿が、ちゃんとサスペンスになりました。
あざやかな伏線回収でスッキリというより、ちょっと寒気がしたら止まらなくなっちゃったという感じでした。
今も夜の銀座はこんななんだろうか?
松本清張先生は銀座に足を運んでいたのだろうか。
「錯誤による抹消」
土地取引においてこんなことがまかりとおるなんて。法を犯すことなく。いわゆる法の抜け道なんですかね。
振り返ると、登場人物全員悪い奴ばかり。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
順調に欲望をかなえていく元子。予備校の理事長を騙し、一流クラブを手に入れようとする。破滅に向かって行くのが予想され、ドキドキする展開。元子の妊娠に何か意味があるのかと思っていたが、ラストでそうきましたか。伏線は回収されました。
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2024年12月28日読了。高級料亭・クラブの獲得に向けバアの上客・橋田の脅迫を試みる元子だったが…。恐喝ってクセになるものなのかね、地道に商売をしていけばよかったものを…と思ってしまうが、そもそも男性に潔癖な人がバアのママをやっちゃいかんのだろうな。橋田らが仕掛ける罠は随分大掛かりで、準備も大変だし元子が彼らの思惑通り動くかどうか随分危ない橋を渡っているような気もするが…終盤の展開は読んでいて胃と下腹部が痛くなった、池井戸潤だったらここから大逆転するところだが現実世界はそんなに甘くない。経営には金融と法律の知識と、書類をよく吟味して理解する能力が必要だなあ。
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横領、恐喝、、黒革の手帖が1つ2つと、、
3つ目の黒革の手帖へと。。
やり手の医学予備校の理事、亡くなった議員の跡目を探る秘書、
嵌められた者、裏切られた者たちが。。あらゆる欲にまみれていく。
結末に向かう仕掛けが目まぐるしく、そして引き込まれる。
悪いことはなかなか上手くいかない。その道のプロにならなければ。。 -
夜の世界で戦う女性達の生き様が描かれていて、とても面白かった。エンターテイメント小説ですね。
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結末に向かって吸い込まれるように読んでしまいました。
ドラマより断然面白かったです。
女が1人で悪事に手を染め、生き抜いていくことは
今も昔も非常に難しいことですね。
最後の最後、元子があそこに行くことになるのも偶然?誰かの指図?
いずれにしても、どこも混んでいる中あそこが空いているのは、元子のせいってことかな。
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最近、松本清張の作品を良く読む。
本当は、もっと若い時分に読んでおけば良かったとも思うが、そうそう暇があったわけでもないので、まあ仕方がないかなと思う。
作品を読むうちに、女一人でのし上がっていこうとする主人公を応援していたりするが、世の中、そうそう甘くはないようです。 -
元子はどこまで黒い世を渡っていくのだろう。
血も涙もなく、計算高い人間ならば、裏の手を使って人を脅してでも成功をつかめるものなのだろうか。
現状に決して満足をしない彼女は、次々に利用する標的を探していきます。
なにかもう取り付かれたよう。
家族を持たず、守るべきものは一切無い彼女をそこまで動かすものは何なのか。
この作品では、そういったセンチメンタルな情緒は皆無であるため、彼女の本当の思惑についてはわかりません。
おそらく著者は、ヒロインの動機付けには興味が無く、とにかく計算づくでダークな世間を動かそうとする、欲深い一人の女性を描きたかったのでしょう。
それでもやはり、彼女の暗躍に限界はありました。
好意を抱いた男性の登場で、ようやく彼女の人間らしく、女らしい側面が引きだされるかと思いましたが、愛らしさや幸せではなく嫉妬や焦りといった負の感情が書き込まれています。
とことん、作品に明るさや安定を入れないことにしているようです。
結局その男にも裏切られ、脅すつもりの男に脅され、八方塞となった彼女。
女同士の罵り合いのひどさには目を覆いたくなりました。
「パン助」なんて侮蔑語に、時代を感じます。
一番ぞ~っとしたシーンで、突然のように物語は終了。
これで終わり?と、納得できずに、巻末の新刊宣伝ページまでくくって確認しました。
なんて恐ろしいエンディングでしょう。血の気が引きます。
それでも、最後まで共感できなかったヒロインには、因果応報や自業自得という言葉しか浮かびません。
人を陥れて自分がのし上がろうとする人は、手痛い報復を受けるという命題が、ラストシーンで浮かび上がりました。
強欲まみれの人々の織りなすどろどろの闇の世界。
救いがありません。
自分に見合った人生を、殺意や恨みをかうことなく送るのが、人にとって一番幸せなことでしょう。
元子にしてやられ、制裁しようとする男たちも、明日は彼女と同じ立場になるかもしれないのです。
彼女のように欲深く、きらびやかな世界の裏で騙し騙されながら生きている人は、実際にいるのだろうと思えるほどの、迫力に満ちた物語でした。
著者プロフィール
松本清張の作品





