黒革の手帖(下) (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 156
  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101109541

作品紹介・あらすじ

元子を恨む波子は楢林と別れ、大物総会屋をパトロンにクラブを開く。政治家秘書の安島を通じ、医大の裏口入学者のリストを手中にした元子は、橋田をおどし、一流クラブ、ルダン買取りの仮契約を結ぶ。しかし橋田、安島らの仕組んだ罠が元子を待ち受ける。安島との一夜での妊娠の不安に怯える元子の前には黒服の男たちが…。夜の世界に生きる女の野望を描くサスペンス長編。

感想・レビュー・書評

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  • 横領、恐喝、、黒革の手帖が1つ2つと、、
    3つ目の黒革の手帖へと。。
    やり手の医学予備校の理事、亡くなった議員の跡目を探る秘書、
    嵌められた者、裏切られた者たちが。。あらゆる欲にまみれていく。
    結末に向かう仕掛けが目まぐるしく、そして引き込まれる。
    悪いことはなかなか上手くいかない。その道のプロにならなければ。。

  • 元子はどこまで黒い世を渡っていくのだろう。
    血も涙もなく、計算高い人間ならば、裏の手を使って人を脅してでも成功をつかめるものなのだろうか。

    現状に決して満足をしない彼女は、次々に利用する標的を探していきます。
    なにかもう取り付かれたよう。
    家族を持たず、守るべきものは一切無い彼女をそこまで動かすものは何なのか。
    この作品では、そういったセンチメンタルな情緒は皆無であるため、彼女の本当の思惑についてはわかりません。
    おそらく著者は、ヒロインの動機付けには興味が無く、とにかく計算づくでダークな世間を動かそうとする、欲深い一人の女性を描きたかったのでしょう。

    それでもやはり、彼女の暗躍に限界はありました。
    好意を抱いた男性の登場で、ようやく彼女の人間らしく、女らしい側面が引きだされるかと思いましたが、愛らしさや幸せではなく嫉妬や焦りといった負の感情が書き込まれています。
    とことん、作品に明るさや安定を入れないことにしているようです。

    結局その男にも裏切られ、脅すつもりの男に脅され、八方塞となった彼女。
    女同士の罵り合いのひどさには目を覆いたくなりました。
    「パン助」なんて侮蔑語に、時代を感じます。

    一番ぞ~っとしたシーンで、突然のように物語は終了。
    これで終わり?と、納得できずに、巻末の新刊宣伝ページまでくくって確認しました。
    なんて恐ろしいエンディングでしょう。血の気が引きます。

    それでも、最後まで共感できなかったヒロインには、因果応報や自業自得という言葉しか浮かびません。
    人を陥れて自分がのし上がろうとする人は、手痛い報復を受けるという命題が、ラストシーンで浮かび上がりました。
    強欲まみれの人々の織りなすどろどろの闇の世界。
    救いがありません。

    自分に見合った人生を、殺意や恨みをかうことなく送るのが、人にとって一番幸せなことでしょう。
    元子にしてやられ、制裁しようとする男たちも、明日は彼女と同じ立場になるかもしれないのです。
    彼女のように欲深く、きらびやかな世界の裏で騙し騙されながら生きている人は、実際にいるのだろうと思えるほどの、迫力に満ちた物語でした。

  • ドラマと比べて、あまりにアッサリしていたので
    読んだことを忘れてレビューも書いてなかったーー;
    この原作に出てくる元子は、とっても可哀想すぎる。
    誰からも愛されてないし、慕われてない。
    自分で選んだ孤独なのだろうけど。
    安島との出会いは、武井咲主演のドラマでは、
    年の差超えての深い愛情みたいなものが、にじみ出てたけど。
    原作では、酷い言葉を浴びせられて、たった一度だけだ。
    誰からも助けを得ることなく、悪意のカネで作り上げたものは、バチが当たるということなのか。
    やっぱり、美人じゃなかったということに尽きるのか?

  • テレビとはかなり違う結末。
    読み終えてみて、なぜ何度もテレビドラマされるのかがわからなかった。

  • 元銀行員の女性が黒革の手帖を使って手に入れた金を元に銀座のホステスになるという物語。悪知恵が働く頭の回転の早さ、誰に対しても怖気づかない度胸の良さがあるからこそ権力者とも対等に対峙できるんだと思った。後半のどんでん返しと結末は恐ろしい。

  • 【最後は喪黒福造が出てきそう!】

    初めは元子の横領に腹が立ったが、話しが長いから次第に元子に感情移入しちゃうので、つらいラスト。
    ただ、波子の仕業だと読めてしまうので、後半ちょっとつまらない。

  • こわ。こわ。
    すごい終わり方。
    因果応報、地獄に落ちるとはまさにこのことか。
    だんだん元子さんに感情移入してしまって、どんでん返しないのかな?ここまでされなくても…と思ってしまったが、そもそもにして横領が良くないもんね。
    野望を持ってしまったのが転落の始まりとは、なんとも恐ろしい。

  • 怒涛のクライマックスでした。
    松本清張の作品は、久しぶりに読みましたが読ませますね。
    目が離せなくて、次の展開が気になる描写は相変わらずに素晴らしい。
    バアの経営者、通称ママはあまり信用しないほうが良いようなイメージが個人的には付いてしまいました。
    パトロンか横領…そうしないと、確かに豪奢なバアは開店できないとも思えます。
    美しく煌びやかな裏は、闇のカネで出来上がっているのかもしれません。
    結構ハラハラしました。
    面白かったです。

  • 【ネタバレあり】



    下巻。上巻ではすべてが順風満帆に進んでいた元子でしたが、終盤からの落下速度は圧巻でした。まさに坂を転がるように奈落の底まで落ちて行った。元子に人生を踏みにじられた人たちが全員共謀していたという恐ろしいラストに鳥肌が立ちました。結局は網の中で踊らされていただけの元子…哀れ。因果応報というやつですが、悲しい女だなと思った。
    松本清張、面白かった。他の作品も読んでみよう。

  • 借りて読んだ。タイトルはテレビドラマで昔から知ってたけど、粗筋さえも知らなかった。
    なるほど、黒革の手帳とはこんな話だったのか・・・おもしろいけど、こんなに持て囃されるほどの名作なの?
    主人公が目指していたのはなんだったんだろう?
    現代でウケている半沢直樹みたいに最後にもう一度、逆転してもよかったのでは?と思うが、この時代の人たちは素直じゃないからね。

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著者プロフィール

●1909年、福岡県に生まれる。印刷工、新聞社社員を経て42歳で作家の道へ。「或る『小倉日記』伝」で芥川賞受賞。『点と線』『眼の壁』『砂の器』『ガラスの城』『黒革の手帖』など推理小説の第一人者として多くの作品を発表する一方、『日本の黒い霧』『昭和史発掘』などノンフィクション分野でも活躍。日本ジャーナリスト会議賞、吉川英治文学賞、菊池寛賞、朝日賞など受賞多数。1992年死去

「2017年 『徳川家康 (新装版)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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