けものみち(上) (新潮文庫)

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感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101109695

感想・レビュー・書評

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  • 著者、松本清張さん(1909~1992年)の作品、ブクログ登録は29冊目になります。

    本作の内容は、次のとおり。

    ---引用開始

    割烹旅館で働く31歳の成沢民子は、脳軟化症で回復の見込みのない夫・寛次に縛られた暮しを若さの空費と考えていた。彼女は赤坂のホテル支配人・小滝にそそのかされ夫を焼殺し、行方を絶つ。直感で民子を疑った刑事・久恒はその行方を追ううち、民子への欲望をつのらせ、政財界の黒幕・鬼頭の女になっていることを突き止める。
    人倫の道を踏み外したものがたどる〈けものみち〉とは。

    ---引用終了

  • 思った以上に読みやすい作品でした。上巻が終わった瞬間に下巻が読みたくて仕方なくなりました。

    かなり昭和の感じがする時代背景ですが、男女の駆け引きから主人公の女性がどんどん悪女になっていくのが面白い。そして政治がらみが出てくると、そんなに古い時代とは感じなくなりました。今も同じような感じが残っているのでは・・・と。

  • 注! 思いっきり内容に触れています




    松本清張は久しぶり。
    なんで久しぶりに松本清張を読んだかというと、TVの「ポツンと一軒家」という番組を見ていたら、司会者が映像にちょっと険しい道が出てくると、すぐ「獣道だ」「獣道だ」と言うからだ(爆)
    ただ、「獣道」というのは、本来は獣がそこを何度も通ることで道のように見えるのを言うのだ。
    周りの草木がそこに覆い被さって、トンネル状になっているのが普通だから、あの司会者が「獣道だ」と言う道はたいがい普通の道だ(^^;
    そもそも、あの番組に出てくる道というのは、ポツンながらも一軒家の住人が日々通っているわけで、そこを「獣道」と言うのはかなり失礼だと思うな(^^ゞ
    ていうか、山の中にあきらかに道があるのに「道なき道」と言うのもどうかと思うwのだが、まー、それはそれとして。
    つまり、「ポツンと一軒家」の司会者が毎週のように「獣道」と言うのを聞いていたら、そういえば松本清張に「けものみち」というのがあったなーと思い出して。
    ふと読んでみたくなったのだ。
    な~んて思ってたら、この最初のページに、「けものみち:カモシカやイノシシなどの通行で山中につけられた小径のことをいう。山を歩く者が道と錯覚することがある」と松本清張も書いているじゃないか!
    「ポツンと一軒家」は、よく松本清張のドラマをやる放送局の番組だけど、あの番組の関係者は松本清張を読まないんだろうか?←どーでもいいw

    そんな話はともかく。
    松本清張というと、文章がぶつ切りのせいか読みやすいんだけど、なんだか味気がないというメージがある。
    とはいえ、あれだけ書いたんだもん、それはしょうがないんだろうなーとも思う。
    ていうか、量もさることながら、アマゾンで松本清張を見ると、こんな感じの小説も書いてたんだ!と驚かされる。
    今あるエンタメ小説って、(松本清張が書かなかった本格物を除けば)松本清張が既に全部やっちゃったのものの焼き直しにすぎないんじゃないだろうか?と思うくらいだ
    (その辺り、宮部みゆきや阿刀田高等、松本清張ファンの作家に聞いてみたいw)。

    そんな「けものみち」だが、これは松本清張にしては小説小説した文章だなーと。読みだして、ちょっと意外だった(^^ゞ
    …と言えるほど、松本清張は読んでないんだけど。
    とはいえ、個人的にはこういう文章の方が読みやすいので、ありがたい。

    この上巻は、主人公が夫を殺すまでが緊迫感があって面白いw
    そこまでは、本当に一気に読んだ。
    でも、夫が死んでからが、イマイチ面白くないんだよなーw
    主人公が夫を殺す夜なんて、読んでいて、その夜の寒さが染み入ってくるような迫力があるのに。
    その後は、薄掛け布団だと暑いのに、でも、それをはいで寝てるとちょっと肌寒い夜のような感じ?←意味不明w
    それは、下巻の2/3くらいまで続く。
    とはいえ、民子が夫を殺して、すぐ下巻のクライマックスでは物語として全然面白くないわけでー。
    その辺り、もう一要素、話をからませてくれたら違ったんじゃないかなーなんて。
    かの松本清張に恐れ多いことを思ってしまった(^^ゞ

  • 黒革の手帳、砂の器、わるいやつら、と読んだので、次はこれ。
    割烹旅館で働く民子、脳軟化症の寝たきり夫に縛られ、家に帰れば理不尽に責められ迫られて、その描写がねちねちしてて非常に気持ちが悪かった。民子が可哀想だと思って読んでたら、料亭の客として知り合ったホテル支配人の小滝を足掛かりに、夫を事故に見せかけて焼殺、その後政財界の黒幕の愛人に収まってちゃっかり見返りを要求するなかなか根性の座った太い女だった。またこの政財界の黒幕の鬼頭という老人が気持ち悪いこと…そして、民子の夫殺しを疑って独自捜査をしている久恒という刑事も、正義心からではなく民子の身体目当てだったり、とにかく強欲な人間ばっかりが出てきてうんざりした。
    人の道を踏み外しけものみちに迷い込んだ人々の辿り着く先は…
    下巻に続く。

  • 初、松本清張小説……!
    かなり読みやすく、先が気になる展開でスラスラ読めた。結末は結構泥沼そうだけど……
    下も読んでみたいと思った。

  • 鬼頭洪太の存在は、政治的な黒っぽい雰囲気の中に影絵のように泛んでいる
    /この一文だけでも、松本清張節が感じられる。

  • 身分を変え夫を殺し、別の人生を読むことにした民子隠居した大物の世話をしながら、 ホテルオーナーの小滝に惹かれていく。
    上巻ではあまり印象深いシーンがなかった。
    下巻に期待。

  • けものだな

  • ノンフィクションだけど、何だかとってもリアルな作品。お金も権力もなくても、穏やかな生活が一番です!

  • 主人公は中風のろくでなしの夫を持つ妻。夫とはホステス時代に出会って結婚。その中風の夫を放火で殺害。中居として務めていた料亭で出会ったホテル支配人の仲介で中居を辞め、高齢の大物のもとで仕えることに。しかし、仕えた高齢男性も寝たきりの中風だった。放火に不信を持った刑事の思惑も主人公に接近。

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著者プロフィール

1909年、福岡県生まれ。92年没。印刷工を経て朝日新聞九州支社広告部に入社。52年、「或る『小倉日記』伝」で芥川賞を受賞。以降、社会派推理、昭和史、古代史など様々な分野で旺盛な作家活動を続ける。代表作に「砂の器」「昭和史発掘」など多数。

「2023年 『内海の輪 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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