なぜ「星図」が開いていたか 初期ミステリ傑作集 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2022年7月28日発売)
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  • 本 ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101109770

作品紹介・あらすじ

ミステリには「清張以前」と「清張以後」がある――。巨匠の凄みを凝縮した初期の傑作8編。心臓麻痺で突然死した教員の机に開かれた百科事典には「星図」の項が。その意味を探る表題作のほか、清張ミステリの出発点「張込み」、新人俳優に舞い込んだ映画出演の顚末を描く「顔」、九州某県の市長急死の謎を追う「市長死す」など、誰もが持ちうる後ろ暗さや焦りを克明に描く本格推理短編集!

感想・レビュー・書評

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  • 「なぜ『星図』が開いていたか」
    「市長死す」「張込み」が良かった。

    基本的に人が人に殺意を抱く、殺人を終えた後に隠して生きている状態で始まるのだが、見せ方にバリエーションがある。
    長編を読んだことがないのだが、もっと濃いのだろうなと想像がつく。

  • 学生時代に松本清張にハマって読んでたことがあるのですが、数十年ぶりの再読です。自分の立場や環境が変わると感じ方も違いますね。

    倒叙ミステリー多めの短編集です。ザ・昭和な風景でタバコや愛人を囲う金持ちがバンバン出てきます。でも不思議と今読んでも面白いです。

    トリック重視ではなく、追い詰められて犯罪を犯した人間の心理描写が、清張の色褪せない面白さだと思います。読者が犯人になって追いつめられるドキドキが味わえます。今でも頻繁にドラマ化されている理由が分かる気がします。

  • 初期のキレッキレ時代の松本清張短編集。表題作を含め8編収録。短編ミステリーの契機となった張込みなど社会の問題や何故?が渦巻く昭和の世界観にどっぷり浸かる。やはり清張作品はホワイダニットがテーマになってくる作品が多く、その中でも何故か予定を変更して東北の地で変死を遂げた市長の死の真相を追う「市長死す」は面白かった。意外性に富み見せ方が素晴らしい。不思議な読み口が広がる「顔」や「共犯者」もよかった。

  • どれも面白かった!
    「張込み」が一番好きです
    「反射」「共犯者」も好み

  • 松本清張の初期の傑作8選

    表題の「なぜ星図が開いていたか」も面白かったが、
    「市長死す」「顔」は、いかにもサスペンスドラマで取り上げられそうな作品。

    会話の言葉使いが昔風で、ちょっも違和感は有るけど
    読みやすいし、展開が早いので一気に読める。


  • 著者初期の推理小説8編。解説に日常性と動機を重視した草分けとあるがそのとおりだろう。すでに幾作かは既読のものもありからくりも浅いものもあったとはいえ、読み返してもおもしろく感じた。2022.12.28


  • <目次>

    殺意
    なぜ「星図」が開いていたか
    反射
    市長死す
    張込み


    推理小説作家の初期にこんな面白い短編を量産していたとは。「声」のみ警察小説のアンソロジーで読んだことがあるので再読。

  • 清張の初期の短編作品を8編集めたもの。
    過去に読んだ作品やテレビドラマや映画になり、なじみのある作品も幾つか収録されている。「市長死す」や「張込み」は、その最たるもの。
    いずれも、今となっては、レトロ感が溢れているが、「声」は電話交換手ならではの発達した聴覚が取り上げられ、なかなかレアなネタで新鮮さを覚えた。
    また、映画の世界に抜擢された劇団男優が顔を群衆に曝すことで“過去”の暴露に怯えるという皮肉な展開を描いた「顔」も面白いストーリーだった。
    犯人に対し、過誤をしゃべらせる「ミュンスターバーグの方法」を使って追い込んでいく「反射」も興味深く、共犯者の自供からの破綻を怖れるあまり、ある男に調査を依頼したことから怖ろしい結果になる「共犯者」は意外性が出色だった。
    清張の作品には後ろ暗さや焦りが漂い、犯罪を隠蔽しようとしても最後には、思わぬ所から足がつく「天網恢々疎にして漏らさず」を感じさせるものが多いが、この短編集にもその要素が感じ取れる作品が幾つかあった。

  • ミステリには「清張以前」と「清張以後」がある―。巨匠の凄みを凝縮した初期の傑作8編。心臓麻痺で突然死した教員の机に開かれた百科事典には「星図」の項が。(e-honより)

  • 「清張以前」「清張以後」という表現が面白い。確かに、なぜ成長にはまったかと言えば「トリックの面白さ」より「人間の心理を突く、動機を探っていく」所に酷く惹かれたと断言できる。

    文庫本の裏表紙にも「誰もが持ちうる後ろ暗さや焦り」をち密に張り巡らしていく成長の作品は他の追随を許さない。

    サスペンスドラマの原作に欠かせなかったといわれるけれど、個人的に言えば「原作を貶めただけで、低レベル」の記憶しかない。その主役級に引っ張りだことなった男女タレントは見るのもいや(笑)

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著者プロフィール

1909年、福岡県生まれ。92年没。印刷工を経て朝日新聞九州支社広告部に入社。52年、「或る『小倉日記』伝」で芥川賞を受賞。以降、社会派推理、昭和史、古代史など様々な分野で旺盛な作家活動を続ける。代表作に「砂の器」「昭和史発掘」など多数。

「2023年 『内海の輪 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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