山本五十六(上) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101110035

感想・レビュー・書評

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  • 海軍提督三部作の一作目だが、「米内光政」、「井上成美」を先に読んだので、歴史事象の方は、混乱なくさっと読めた。山本五十六の言葉はビジネス書でもよく引用されるが、ひととなりをどっぷりと理解するのによい本だと思う。

    下巻はいよいよ、真珠湾奇襲。
    日独伊三国軍事同盟締結と対米戦争にトコトン反対を貫きながらも、いざ戦争が近づいてくると海軍が全面的にやらざるを得ず、来るべき時に備えて、予算獲得と軍事訓練と作戦立案に脳髄を絞らなければならない状況というのは、仮に戦死せず済んだとしても、命を削るような毎日であったろう、と下巻を読む前に想像する。

  • #2812ー107

  • 上巻読了

    発表順とテレコで、先に「米内」「井上」読んじゃってたんで、いくら抵抗してもドイツ大好き子さんたちに三国同盟に引きずり込まれる感じはデジャブな感じ。

    三提督の中では一番人間的に面白い人ではあるな。
    ギャンブル好きで、女性にももててと

  • 山本五十六の生い立ちからパールハーバー前夜までを描いた、阿川弘之の五十六伝。無類の博打好きで、酒は飲まない。妻以外の愛人が見え隠れし、彼女達は、多いに五十六を支えたようだ。海軍と陸軍の戦争に対するスタンスは、明確に違い、山本、井上、米内の親米派によってパールハーバーまで反戦を貫いた。対米戦争は、やはり三国軍事同盟締結が決定的にした。メキシコ油田に圧倒された五十六は、枢軸同盟により資源確保を絶たれることを何より危惧した。それに対し、精神論でしかものを言わない右傾化した陸軍。ナチスの電撃戦は、相当世界に衝撃を与えたわけだが。(陸軍には、ドイツ信奉者が多かったのは面白い。ちなみに、栗林中将は親米)海軍は、ナチスと日本陸軍には、否定的で五十六もその一人であったようだ。

  • 「阿川弘之」が「山本五十六」を描いた伝記『山本五十六〈上〉〈下〉』を読みました。

    『国を思うて何が悪い ~一自由主義者の憤慨録~』に続き、「阿川弘之」追悼読書です。

    -----story-------------
    〈上〉
    対米戦争に、日独伊三国同盟に反対した軍人。
    聯合艦隊司令長官の若き日の活躍を描いた傑作伝記。

    戦争に反対しながら、自ら対米戦争の火蓋を切らねばならなかった聯合艦隊司令官「山本五十六」。
    今日なお人々の胸中に鮮烈な印象をとどめる、日本海軍史上最大の提督の赤裸々な人間像を余すところなく描いた著者畢生の力作。
    本書は、初版刊行後、更に調査し、発見した未公開資料に基づき加筆された新版である。
    上巻では、ロンドン軍縮会議での活躍を中心に、若き日の「山本」像が描かれる。

    〈下〉
    かつて戦争に反対した男は、戦争を始めた。
    詳細な資料から浮び上がる軍神と呼ばれた男の壮絶な人生。

    下巻では、聯合艦隊司令長官に任命された「山本五十六」が、いよいよ真珠湾強襲の構想を固めるところから、昭和18年4月18日、ブーゲンビル島上空において敵機の襲撃を受け壮絶な最期を遂げるまでを克明に綴る。
    世界を震撼させた天才提督の栄光と悲劇を、膨大な資料と存命者の口述を基に、生き生きと甦らせ、激動の昭和史を浮彫りにした、必読の記録文学である。
    -----------------------

    海軍提督三部作の第一作、、、

    存命者への聞き取りにより「山本五十六」の人間像が丹念に描かれています… 読んでいると「山本五十六」の人となりがわかり、「山本五十六」の魅力が強く感じられるようになりましたね。


    「山本五十六」に関する作品は、約2年前に読了した「半藤一利」の著書『聯合艦隊司令長官 山本五十六』以来ですが、、、

    本作品では、日独伊三国同盟や日米開戦に反対するが、ひとたび戦争が始まってしまえば聯合艦隊司令官として最善を尽くし、義務に殉じて死んでいく… という良く知られている軍人としての一面の他に博打好きな一面や女性関係等の私生活の奥まで立ち入った面も含めてリアルに描かれているので、『聯合艦隊司令長官 山本五十六』よりもリアルな人間「山本五十六」を知ることができました… そんな内容なので、出版当初(本作の旧篇)は、遺族からの抗議もあったようです。
    (新篇は旧篇から300枚もの補筆があったらしいので、もう少し違う一面も描かれていたのかもしれませんが… )


    ブーゲンビリアでの撃墜されたあと、ジャングルの中で二式陸攻の残骸の近くで発見された遺体は、席に座したままで顔や軍服がキレイな状態の遺体だったとのこと、、、

    まるで考え事をでもしているような端麗な姿だったとか… 他の遺体は焼けていたり、死顔が腫れ上がってむくんでいたらしいので、不思議ですね。



    本作を読んで「山本五十六」よりも、冷静に世界を見つめることができていたと思われる「井上成美」のことが気になりました。

  • 事細かな記録と話

  • さすが長岡人、先見の明を持った立派な軍人だと思います。

  • 聖人ではなく人間味があり、痛快と言えば痛快。
    あの時代はこのレベルの人物でも流れを変えられなかったというのが、基底としては悲しく、課題を突きつけられる

  • やはりこう言った史実を追いながら進む人物像を描いた作品は、読むのがしんどいですね。最初の百ページ読むのに一週間以上かかった。山本五十六とは…名前だけは知っていても、彼の骨柄や来歴、功績なんか全然知らなかったので阿川弘之先生の海軍提督三部作の代表作を選択出来たのは僥倖でした。大東亜戦争が始まる前の日本の政界と軍部の立場や主張、それに陸海軍の軋轢など史実に基づいた詳細な記述は非常に面白かったです。何故、日独伊三国同盟が締結されたのか?その時、それが正しい選択であったのか否か?その辺の経緯が分かって、眼から鱗が落ちる思いでした。それに山本五十六提督がどんな人物で、何をどう考えていたのかよく分かりました。上巻ではまだ戦争が始まる前が舞台ですので、開戦後の下巻も楽しみです。

  • 稀代の海軍元帥、山本五十六。

    これからは航空機の時代と先を読み、航空本部長時代には飛躍的とも言える技術推進。海軍次官時代にはアメリカとの戦争を避けるために三国同盟に命がけで反対。しかし、中央に残ろうとするも命の危険を避けるため連合艦隊司令長官へ。そして三国同盟が締結される。

    戦争やむなしの中、周到に戦闘準備を行いながらも最後まで戦争を避けようとした姿勢。

    頑固者で肝が座っており、しかし茶目っ気があって。そういった人間的な部分も克明に記した良書である。

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著者プロフィール

阿川弘之
一九二〇年(大正九)広島市に生まれる。四二年(昭和一七)九月、東京帝国大学文学部国文科を繰り上げ卒業。兵科予備学生として海軍に入隊し、海軍大尉として中国の漢口にて終戦を迎えた。四六年復員。小説家、評論家。主な作品に『春の城』(読売文学賞)、『雲の墓標』、『山本五十六』(新潮社文学賞)、『米内光政』、『井上成美』(日本文学大賞)、『志賀直哉』(毎日出版文化賞、野間文芸賞)、『食味風々録』(読売文学賞)、『南蛮阿房列車』など。九五年(平成七)『高松宮日記』(全八巻)の編纂校訂に携わる。七八年、第三五回日本芸術院賞恩賜賞受賞。九三年、文化功労者に顕彰される。九九年、文化勲章受章。二〇〇七年、菊池寛賞受賞。日本芸術院会員。二〇一五年(平成二七)没。

「2023年 『海軍こぼれ話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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