山本五十六(下) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.66
  • (22)
  • (53)
  • (50)
  • (7)
  • (1)
本棚登録 : 419
レビュー : 36
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101110042

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 山本戦死後の記載が半藤のものと比べ、充実していた。開戦の日の述志より、
    名を惜しみ、己を潔くせむ私心ありてはこの大任は成し遂げ得まじ。
    リーダーたるもの、自分の名を惜しむ気持ちがちょっとでも出たらいけない、批判はいつでも結果論である。草鹿の言葉でつないでいる。

    全体を通じ、著者の客観的であろうというスタンスが伝わってくる内容だった。引用書簡なども多い。ただ、家族から名誉毀損の訴訟を抱えるなど、事実をありのままに記載しようとすることによる弊害も生じ得るのは、近現代の人物の伝記作品ならではの宿命であろうか。

  • 下巻は真珠湾からの話。
    少々、戦争史っぽくなる。もっと五十六を出してもよかったか。

    とは言うものの、訴訟問題になるほどの作品。
    読む価値あり。

  • 上下巻とも、非常に客観的な内容で山本元帥を描き上げた良い著書である。

    戦死の原因、アメリカは暗号を解読してたのか、戦死後の各人の動きにかなりの紙面を割いているが、恐らく当時は関心が高かったのだろう。

    勝てる見込みのない中、真珠湾攻撃という奇策を用い戦果を上げ、東南アジア側でも連戦連勝、山本元帥は神の如き人間となる。

    しかし、ミッドウェイで大敗北を喫したのち、アメリカの圧倒的な国力、戦力の前に敗北を積み重ね、とうとう最前線で指揮をとっていた山本元帥は戦死する。

    国葬の後、姉が遺骨を引き取り、山本が信頼した、米内、井上の神格化はするな、という言葉で幕を閉じる。

    そして、山本元帥無しでは戦争を終結させられないと考えていた軍人、知識人は激しく落胆したという。

    ミッドウェイの時点で、連戦連勝の驕りもあり、アメリカが一部暗号を解読して情報戦で圧倒的有利だったこともあり、山本元帥をしても大きな流れを変えられなかったのだろう。

    しかし、もし山本元帥が戦死してなかったら、戦争の終結地点は変わったかもしれない。

    戦争には勝てないと分かっており、圧倒的な国民支持を持っているからこそ、和睦の道筋が立てられる人材だった。

    優秀な指揮官ではなかったかもしれないが、日本の中で最も大局観を持った人間であり、アメリカにも畏怖される存在であったのは間違いない。

    最後に私が座右の銘にしている山本元帥の言葉を引用して終わりとする。

    「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」

  • 2019年1月13日読了。

  • 山本五十六の人柄が良くわかった。
    よく見て、しっかり決めて、貫く。

  • 下巻では、真珠湾攻撃からミッドウェイ海戦を経て、ブーゲンビル島での死までを描いています。

    上巻同様、たいへんおもしろく読むことができました。ただ、本書を読み進めながら、文学が戦争というテーマをあつかうということはどういうことなのだろうか、という疑問が沸きあがってくるのを押さえられませんでした。

    さまざまな人びとの思惑が入り混じりながら、あらかじめレールが敷かれていたかのように戦争へと向かって日本が進んでいった時代に、指導者と呼ばれる立場にあった人物の心に迫るという本書の叙述は、思想的にはまったく反対の立場に立つはずの、広田弘毅をあつかった城山三郎の『落日燃ゆ』(新潮文庫)と重なりあってしまいます。

    むろんそれが、両著とも戦争の真実に迫っているために必然的におなじような傾向をもつようになったのだとすれば、何も問題はないはずなのですが、個人的にはわれわれ日本人が「あの戦争」を振り返るという所作そのものが、よりいっそう大きな枠組みのなかに捕らえられてしまっているのではないか、と感じられてなりません。

    「あの戦争」をどのように考えればよいのかということを考える前に、「あの戦争」へと向かうわれわれを規定している「戦後」という時代を、「戦後」を生きるわれわれ自身がどのように考えればよいのかということにも目を向けてみるべきではないのかと思わされました。

  • 山本五十六って意外とフツーの人だったのかもしれない。相手次第では弱いところをみせる。けれども自分の存在意義をクリアに認識して(せざるを得ない?)できることを淡々とやった。

  • 英雄列伝というより 官僚型組織における職業軍人の悲哀を感じた

    山本五十六の死で 敗戦が決まった気がした

  • 2016.9.10
    真珠湾からミッドウェイまで。これは山本の判断ミスだったのか?
    死場所を求めて、ラバウルをたったのか?
    山本の核心にせまる渾身の作品。
    しかし、日本の海軍はミクロネシアまで制圧してたとは。

  • 大敗したミッドウェー開戦、山本長官のごり押しで、反対を押しきって決定されたものらしい。博打打ち、山本五十六の運が尽きてしまった、ということなのかもしれない。
    本書、遺族との間で訴訟沙汰になっていたようだ。それだけリアルな山本五十六像が描かれている、ということかも。

全36件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

一九二〇年(大正九)広島市に生まれる。四二年(昭和一七)九月、東京帝国大学文学部国文科を繰り上げ卒業。兵科予備学生として海軍に入隊し、海軍大尉として中国の漢口にて終戦を迎えた。四六年復員。小説家、評論家。主な作品に『春の城』(読売文学賞)、『雲の墓標』、『山本五十六』(新潮社文学賞)、『米内光政』、『井上成美』(日本文学大賞)、『志賀直哉』(毎日出版文化賞、野間文芸賞)、『食味風々録』(読売文学賞)、『南蛮阿房列車』など。九五年(平成七)『高松宮日記』(全八巻)の編纂校訂に携わる。七八年、第三五回日本芸術院賞恩賜賞受賞。九三年、文化功労者に顕彰される。九九年、文化勲章受章。二〇〇七年、菊池寛賞受賞。日本芸術院会員。二〇一五年(平成二七)没。

「2018年 『南蛮阿房列車(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山本五十六(下) (新潮文庫)のその他の作品

阿川弘之の作品

山本五十六(下) (新潮文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする