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本 ・本 (543ページ) / ISBN・EAN: 9784101110165
感想・レビュー・書評
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5日で読了。暗夜行路の重箱つつき以外は読み易い。
自然と人間的な魅力を発揮した志賀の全人生が手に取るように分かる。愛すべき頑固者の振る舞いが笑いに繋がる箇所も多く、読物として面白い。
武者小路実篤や里見弴、柳宗悦ら白樺同人や時代の文士の活躍も興味深い。文豪かくあるべきなんだろうと感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最後の弟子による実録志賀直哉伝。精緻な(すぎる?)調査、克明な記憶力、篤実重厚な文体。愛想のない文章と言えばそうだが、それが却って涙を誘う。実際、「葬儀の日」のくだり、涙した。
時任三郎は時任謙作の末裔らしい。 -
大御所の大作にして力作…の筈なんだけど,ちょっと調子が狂ってるような.
さして重要でもない脇役人物をその先祖の代まで遡って延々と説明してたり,同じエピソードが何度も出て来たり.「詳しくは後に述べるが」とあって読んで行くとあまり詳しくなかったりというような妙な箇所が目立つ.
上巻の時代は,まだ作者本人が志賀直哉に逢っていないし関係者は既に生きてないのだから多少の迷走も仕方ないと思って読み進めたが,下巻の阿川弘之本人が出て来る時代になると今度は「覚えていない」だの「私は日記を書かないので」と腰が引けている.加えて志賀本人に長く接してた割には志賀の肉体感が伝わって来ない.『説明するのではなく描写せよ』ってのは師匠の教えじゃなかったかな.「神様」はあくまでも神様であって欲しいということなのか.……とまぁ憎まれ口を叩いたが基本的には愛情を感じられる良書.
ちなみに北 杜夫の巻末解説の酷さは驚くべきもので,只の本文抜き書きに近い.マンボウ哀愁のヨーロッパ再訪記を読んだ時にも思ったが,腕が落ちた云々という段階ではなく,既に書く能力を失っていると思う.こんなになっちまった人に解説を書かせるのも痛ましい.
著者プロフィール
阿川弘之の作品





