志賀直哉 下 (新潮文庫 あ-3-16)

  • 新潮社 (1997年1月1日発売)
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本 ・本 (543ページ) / ISBN・EAN: 9784101110165

感想・レビュー・書評

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  • 5日で読了。暗夜行路の重箱つつき以外は読み易い。
    自然と人間的な魅力を発揮した志賀の全人生が手に取るように分かる。愛すべき頑固者の振る舞いが笑いに繋がる箇所も多く、読物として面白い。
    武者小路実篤や里見弴、柳宗悦ら白樺同人や時代の文士の活躍も興味深い。文豪かくあるべきなんだろうと感じた。

  • 最後の弟子による実録志賀直哉伝。精緻な(すぎる?)調査、克明な記憶力、篤実重厚な文体。愛想のない文章と言えばそうだが、それが却って涙を誘う。実際、「葬儀の日」のくだり、涙した。

    時任三郎は時任謙作の末裔らしい。

  • 大御所の大作にして力作…の筈なんだけど,ちょっと調子が狂ってるような.
    さして重要でもない脇役人物をその先祖の代まで遡って延々と説明してたり,同じエピソードが何度も出て来たり.「詳しくは後に述べるが」とあって読んで行くとあまり詳しくなかったりというような妙な箇所が目立つ.
    上巻の時代は,まだ作者本人が志賀直哉に逢っていないし関係者は既に生きてないのだから多少の迷走も仕方ないと思って読み進めたが,下巻の阿川弘之本人が出て来る時代になると今度は「覚えていない」だの「私は日記を書かないので」と腰が引けている.加えて志賀本人に長く接してた割には志賀の肉体感が伝わって来ない.『説明するのではなく描写せよ』ってのは師匠の教えじゃなかったかな.「神様」はあくまでも神様であって欲しいということなのか.……とまぁ憎まれ口を叩いたが基本的には愛情を感じられる良書.

    ちなみに北 杜夫の巻末解説の酷さは驚くべきもので,只の本文抜き書きに近い.マンボウ哀愁のヨーロッパ再訪記を読んだ時にも思ったが,腕が落ちた云々という段階ではなく,既に書く能力を失っていると思う.こんなになっちまった人に解説を書かせるのも痛ましい.

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著者プロフィール

阿川弘之
一九二〇年(大正九)広島市に生まれる。四二年(昭和一七)九月、東京帝国大学文学部国文科を繰り上げ卒業。兵科予備学生として海軍に入隊し、海軍大尉として中国の漢口にて終戦を迎えた。四六年復員。小説家、評論家。主な作品に『春の城』(読売文学賞)、『雲の墓標』、『山本五十六』(新潮社文学賞)、『米内光政』、『井上成美』(日本文学大賞)、『志賀直哉』(毎日出版文化賞、野間文芸賞)、『食味風々録』(読売文学賞)、『南蛮阿房列車』など。九五年(平成七)『高松宮日記』(全八巻)の編纂校訂に携わる。七八年、第三五回日本芸術院賞恩賜賞受賞。九三年、文化功労者に顕彰される。九九年、文化勲章受章。二〇〇七年、菊池寛賞受賞。日本芸術院会員。二〇一五年(平成二七)没。

「2023年 『海軍こぼれ話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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