山口瞳「男性自身」傑作選 中年篇 (新潮文庫)

著者 :
制作 : 重松清 
  • 新潮社
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本棚登録 : 114
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101111339

感想・レビュー・書評

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  • 「重松清」が「山口瞳」の傑作コラム50篇を選んだコラム集『山口瞳「男性自身」傑作選 中年篇』を読みました。

    「向田邦子」の随筆や短編小説に惚れ込み、第83回直木賞では「向田邦子」を強く推薦して受賞に至らしめた「山口瞳」(最近読んだ『向田邦子全対談』と『向田邦子ふたたび』の両作品に登場しています)… その「山口瞳」の作品を読んでみたくなったんですよね。

    -----story-------------
    昭和38年に直木賞を受賞した著者は同年末から『週刊新潮』で連載を始めた。
    『男性自身』という奇妙な題名のコラムは、会社員兼作家である自身の哀歓、家族・友人のエピソード、行きつけの店での出来事などが綴られた身辺雑記だった。
    それは独断と偏見が醸す力強さと、淋しさ・優しさが滲み出た独特の文体で、読者の心を掴んだ。
    40代に書かれた作品を中心に、大ファンの「重松」氏が50編を選ぶ。
    -----------------------

    昭和40年代に綴られたコラムが中心なので、、、

    当時と現代とでは、生活環境や社会環境が大きく異なり、物質面で豊かになって、生活水準の格段に向上していることは当時と大きく違う部分なのですが… サラリーマンとしての価値観については、現在に通じるところあって、意外と時代の違いを感じずに愉しく読めました。

    「重松清」が厳選した50篇が収録されていますが、

     ■酒飲みの夜と朝
     ■冬の公園
     ■焚火
     ■女の知恵
     ■人生は楽しいか
     ■白鳥の湖
     ■貧乏
     ■金魚
     ■ネフリュードフの心配
     ■バンザイ屋  他全50篇

    特に印象に残ったのは、以下の3篇。


    『リカ王』で語られる次の言葉、、、

    「勝負事や、その支払いの仕方において慎重であり綿密であるような男は、そっちのほうに神経が片寄ってしまって、勝負にも負けるし、カンジンな仕事も駄目になるように思われてならない。」

    確かにねぇ… 慎重であり綿密であることも、度を過ぎるとマイナスなんでしょうね。

    リアルに身のまわりにありそうなことです。


    『やれやれ二十年』での夫婦の間柄を示す言葉、、、

    「支えてもらった恩人」というのは、的を得ているひと言でしたね。


    『少年達よ、未来は』での人生を表す言葉、、、

    「人生は短い。
     あっという間に過ぎてゆく。
     しかし、目の前にいる電車にどうしても乗らなければならないというほどには短くない。」

    そうなんですよねぇ… 焦りすぎは禁物ですよね。

    目の前のことも大切ですが、それだけでなく、中長期的なスパンで広い視野で物事を捉えることって大切です。



    『男性自身』って、『週刊新潮』に1963年から31年間、延べ1614回、死去まで一度も穴を開けることなく連載を続けたコラムなんだそうです… 凄いなぁ。

  • 最近では週刊誌の漫画でさえ腰を据えて追いかけることもないが
    時代が噛み合えばこの週刊のコラムをその延長線上で毎週楽しみにしていたかもしれない。

  • 風呂で読んでいた。酒を飲んだ後にも読んだ。ちょっと気を緩めたい時に、丁度良い。

  • どうゆうわけか家にあったので読んでみました。
    昭和戦中派のエッセーって感じで、あはぁって感じでなんか懐かしい日本人の姿が描かれています。

  • ■重松清さんの全作品を感想文にしてブログで挑戦中です。
    重松清ファン必見!
    http://wwjdkan01.blog68.fc2.com/

  • 途中、図書館からの本が続々と来てなかなか読了せず、ようやく年内に間に合いました。いつでも人生の指針となる方、氏の著書は永遠に永遠のバイブルです。

  • 内容を、身近でなく、ちょっと離れた世代と感じてしまう
    昭和生まれですが、、、

  • エッセイの真理。どうしたらこんなに“しなやか”な文章が書けるのかな〜。

  • なんすか、時代。

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著者プロフィール

1926年東京生まれ。小説家、随筆家。『江分利満氏の優雅な生活』で直木賞受賞。おもな著作に31年間連載したコラムをまとめた「男性自身」シリーズ、『血族』『居酒屋兆治』など。1995年没。

「2014年 『ぐつぐつ、お鍋 おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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