やってみなはれ みとくんなはれ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 329
レビュー : 35
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101111346

作品紹介・あらすじ

赤玉ポートワインで莫大な利益を得ながら、危険を冒して日本初の国産ウィスキー製造に取り組んだサントリーの創始者・鳥井信治郎。戦後の経済成長のなか、父親譲りの「やってみなはれ」精神で次々と新分野に挑戦しながら、念願のビール市場参入を果たした二代目・佐治敬三。ベンチャー精神溢れる企業の歴史を、同社宣伝部出身の芥川賞・直木賞作家コンビが綴った「幻のサントリー社史」。

感想・レビュー・書評

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  •  「サントリーって何の会社?」って問われたら何て答えます?烏龍茶?はちみつレモン?CCレモン?プレモル?

    「マッサン」ブームの最中で、「今売らずにいつ売るんだよ!?」って感じなんですが、この本はどこの本屋に行っても全然置いてないからびっくりした!!ジュンク堂や紀伊国屋等大きい書店にもTSUTAYA(市内で一番大きい)に行ってもない・・・。
     ニッカの方の『ヒゲのウヰスキー誕生す』はどこ行っても置いてあるのに、サントリーの鳥井信治郎(ドラマでは堤真一)のこの本はどこ行ってもないんですよねえ・・・。本屋の店員さん、もうちょっと勉強してコーナーをちゃんと作ってください、ホンマに。
     最終的に図書館で借りたんですけど、読書習慣の日が浅いんで図書館でまともに本を借りたのは初めてかもしれません。タノシイ。

     この本が面白いのは、サントリー元社員の開高健と山口瞳が書いてるところ。自分は開高さんの著作数冊と、山口瞳の『江分利満氏の優雅な生活』の映画版からこの本に辿り着いたんですが、丁度「マッサン」にだだハマりしてる最中でした。「あまちゃん」以来で毎回ちゃんと観てます。

     本の内容は良いんですけど、前半の山口さんの文章と後半の開高さんの文章をどうしても比較せざるを得ない。そうすると山口さんの文章はあんまりうまくない。開高パートに入ると硬質で論理的な文章になり、急に面白くなります。まあ開高パートが戦後史ってのもあるんでしょうけどね。

     最初に書いた「サントリーって何の会社?」って答えですが、昭和の頃はまだお酒飲めなかった世代なんで、「マッサン」を観るまでサントリー=ウィスキーって発想がまったくなかったんです。赤玉やダルマ、トリスや山崎とかは知ってたけども、ビールの会社かとずっと勘違いしてました。
     ビール事業に参入するのが悲願であって、2代目の頃に壽屋からサントリーと名を変えようやく達成できたそうですね。初出が1969年とかなり前に書かれてるんですが、後の1987年、アサヒのスーパードライ発売に端を発する「ドライ戦争」を予言するような開高さんの記述が非常に興味深いです。つか当たりすぎててすげー怖い。

     アル中になりかけるほど飲めるけど最近晩酌は禁酒中の友達と、そんなに飲めないけど普通に酒好きの僕の意見を総合してみたんですが、スーパードライは美味しくないです・・・ただ苦いアルコールの汁、みたいな。プレミアム系かせめてラガー以上じゃないと、と・・・一番搾りで充分だけど。あとハイボールも濃いめで作ったほうが美味しくないですか?奥さん!

  • サントリーの創業者鳥居信治郎と二代目佐治敬三の伝記のような話。サントリー社史と言ってもいいものだから、会社とそのトップを褒めあげている。宣伝部の破茶滅茶ぶりには驚いた。でも会社の勃興なんて運も関係あると感じた。2019.8.13

  • ★★★2019年5月★★★



    山口瞳と開高健による『サントリー社史』。
    まず、この2人がサントリーに所属していた事を知らなかった。明治時代の寿屋創業時代から、昭和のビール市場参入までの社史を書けば、自然と内容は鳥居信治郎と佐治敬三の伝記になる。



    鳥居信治郎。大阪商品を地で行く男。
    こうと決めたら絶対にあきらめない執念の持ち主。名より実をとる事を徹底。怒りもまた凄まじかった。一方で弱者への労りの心も人一倍持っていた。
    大会社の創業者らしい、エネルギーにあふれる人物だった。


    佐治敬三。戦前から戦後にかけての父・信治郎の変わり身の早さに呆れつつも、事業を受け継ぐ。
    サントリー美術館など、新しい取り組みをどんどん開始。その最たるものがビール市場への参入。
    酒屋でサントリーを飲んでいる人に会えば、最敬礼でお礼をするような人物。



    サントリーという会社は、決して現状に満足せず常に新しい挑戦を続けていく社風があるのだろう。
    それはいい面でもある。しかし・・・・
    ビール市場参入の過程で、武蔵野ビール工場建設で死者(過労死)が出たことを悲痛でもなさそうに、あたかも武勇のように書かれていた箇所にはぞっとした。(P277~278*山崎裕三氏)



    このような負の面もあるが
    「初心を忘れず」
    という気概を持って、変化を恐れず頑張ろう!
    そう思える一冊だった。

  • ソニーに飽きたのでサントリーにしてみた。
    株主にとっては良くない会社だが社員にとっては良い会社かも。ボーナス60ヶ月とか一度もらってみたい。

  • ビジネス

  • サントリーのウイスキー工場に行った際に買ってみた。普段ガブガブ飲んでるウイスキー。こんなに手間暇どころか年月かかってるなんて知らなかった。今後はもっと味わって飲みます。それにサントリーが日本初のウイスキーを作ったこと、尊敬する開高健の苦労を知れて、仕事もやる気になったのでした。

  • 日経で連載中なので、読んでみました。
    鳥井信治郎すごいなあ

  • サントリーの70周年社史を開高健と山口瞳が小説風にまとめたノンフィクションストーリー。
    ウィスキーにかける情熱や、サントリー社員のアツい情熱や人柄が伝わった。関係者ようにまとめているだけに、少し分かりづらいところもあるし、サントリー贔屓な考えなどもあり理解できないところもあったが、これほど会社を好きになれれば幸せだなと思った。

  • 『最強のふたり』(北康利著)を読んで、作家であり社員であった山口瞳、開高健から見たサントリーという会社はどうだったのかと読んでみた。

     70年社史として直木賞、芥川賞作家が執筆しているところがなんとも贅沢。山口瞳は戦前パート、開高は戦後パートを分担しているが、相前後するなど多少被る部分もある。
     北康利が社外の第三者として書いたのと違って、現場の当事者二人が記すだけあって会話が臨場感溢れるのが特徴か。社長(鳥井信治郎)と大番頭(竹田耕三)との会話も活き活きとしている;

    「大将、これからの時勢で役立つのは人だっせ。ええ人残そうやおまへんか」
    「作田はん、そら、違いまっせ。人もそやけど、やっぱり、物だっせ」

    「これ買い占めまひょ。いまやったら安いし、必ず値あがりしよりま」
    「そんな阿呆なこと考えなはんな。金儲けの方法はなんぼでもあるけど、そんなことで儲けたかて仕様おまへんで」

     先代鳥井信治郎から佐治敬三へ至る「やってみなはれ」に集約される挑戦の歴史、個人的なエピソードは、北本に述べられていることと大差ない。内容よりむしろ、北本で引用されていた開高の文章が、社史という体裁を採ったときどのようになるのか興味があった。どんな気の利いた言い回し、表現を駆使するのだろうかと。

     盟友佐治敬三が若かりし頃親父の戦後の変わり身の早さ(軍にべったりだったのを、終戦後すぐGHQへウィスキーを売り込む大転換)に疑問を憶え、悩み、自分なりの解決を見出す様子の描写が見事だ。
     部屋に寝ころび畳をむしりながら敬三はあれこれ思案する。親父のとった行動に納得がいかずモヤモヤする思いがこの”畳をむしる”という行為によく表れている。やがて考えがまとまると、「佐治敬三は畳をむしることをやめた。」とくくる。
     敬三本人から聞いた話なのかもしれないが、さもありな。明瞭簡潔で分かりやすい上に印象的だ。こういう文章が開高らしいのだろうな。

     あるいは、親子とウィスキーの関係を表現した文章も良い。

    「ウィスキーはソロ(独奏)ではない。三年のモルト、五年のモルト、七年のモルト、たくさんのモルトを調合してつくりだされるものである。(中略)つまり、オーケストラであり、シンフォニーである。ウィスキーもコニャックも、その香りと味はシンフォニーである。あの襞。含み。内奥への深さ。しかも表層にひらいて踊る軽快な華麗さ。こうした多層的な性格はシンフォニーにのそれである。このとき密室で孤独にタクトをふって総指揮をするのが「ブレンダー」(調合者)である。(中略)鳥井信治郎は、いわば日本のウィスキーのフルトベングラーであった。佐治敬三は、いま、カラヤンである。」

     ちょっと綺麗にまとまりすぎているけどね。

     綺麗すぎるのでビロウな話も。鳥井信治郎の逸話の中で、

    「ええ匂いいうもんは、やっぱりウンコの匂いが入ってんとあかんのや」

     と主張する話が面白い(山口も開高どちらも触れているエピソードだ)。 
     これは自分のことだが、常々、”美味しいラーメンのスープの向こうには便所の匂いがする”と家人に語っているのだが、一向に理解されない。自分ではそれを”サンポール臭”と呼んでいるが、この匂いのするラーメンに不味いものはない。 当代一のブレンダーとして稀代の鼻の持ち主だったという鳥井信治郎のこのウンコへのコダワリは読んでいて嬉しくなった。
     上記は山口の引用、開高はこう書く。

    「みんなウンコや。誰も知らんけどな。ウンコでっせ。世間がイヤがったりかくしたがったりしてる物のなかにほんまにええ物がありまんのや。それを生かさんならん。ウンコですわ。」

     いやー、すごい(笑)

  • サントリー70周年を記念した社史
    をエッセイでやっちゃったというトンデモない本。

    筆者の山口さんは直木賞、開高さんは芥川賞を、それぞれサントリー勤務中に受賞しています。ここもトンデモない。
    そんなわけで文章がとても面白く、2人のサントリーLOVEがひしひしと伝わってくる内容です。

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著者プロフィール

1926年東京生まれ。小説家、随筆家。『江分利満氏の優雅な生活』で直木賞受賞。おもな著作に31年間連載したコラムをまとめた「男性自身」シリーズ、『血族』『居酒屋兆治』など。1995年没。

「2014年 『ぐつぐつ、お鍋 おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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