聖少女 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 132
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101113098

感想・レビュー・書評

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  • 今月の猫町課題図書。正直、この独特な修辞には抵抗があり、課題図書でなければ途中で投げ出していたと思う。倉橋由美子は昔に『大人のための残酷童話』ほか数冊を読んだことがあるものの、当時は特にこれと言った印象はなく、こんなに変態文体だという記憶もなかった。

    近親相姦というテーマは素晴しい(ポルノは別にして、オイディプス王、サイダーハウス・ルール、奇子など古今東西に名作が多い)し、文体に目をつむればストーリーもそれなりに楽しめるが、こういう退廃的な青春群像は、昨今ちょっと流行らないかもしれない。

  • 異性の中に自分を穿孔させていく、という今まで触れたことのあまりない世界観でもあったためか、
    話の内容そのものがどうも頭に入ってこなかった。
    これは自分の非。
    小説としてすごい作品であることはわかったのに。
    未紀の魅力にはくらくらしてしまう。

    小説についての小説でもあることを念頭に置いてから読み直したら、ずいぶん理解も進むかも。

    この小説には未来がない。
    そういう意味で、真に退廃的でゴシックな小説。

    倉橋由美子は、『怪奇掌編』、ラジオドラマで『ポポイ』に触れていたくらいなのに、積読本がたくさんあったので、これを機会に読んで生きたい。

  • 事故で記憶を失った未紀の代わりに
    過去の未紀が、パパとの関係をつづったノートには
    濃密な近親相姦の事実が描かれていた。
    ノートを託されたKがLとの近親相姦の関係が
    明かされた後は、数少ない登場人物近親との
    肉体関係を持つことに辟易した。

    文章が好みではなかったのですごく読みにくかったので
    9割ぐらいで読破することが出来なかったのが残念でした。
    未紀が記した日記のコトバが美しいので
    また、再読したい。
    ゴシックロリータっぽい世界観。

  • 以前、「大人のための残酷童話」を読んで依頼の倉橋由美子さん。
    オススメだと聞いたので読んでみた。

    少女から女性へと変わりつつある未紀と父親との近親相姦関係を軸に、未紀の婚約者Kの関係、Kと姉Lの関係を描く。

    近親相姦かあ。
    読む前から既に苦手な思いを感じつつ読む。

    クールというかドライというか、少女らしく背伸びをしているというか、そういった未紀の姿に懐かしさを感じつつ、父親と関係という自分にはあり得ないことを想像してみて、やっぱり無理だわと笑ってしまったり。

    解説を書いた桜庭一樹さんの言うように、この作品を『少女小説』と呼ぶのかどうかはよくわからないけれど、女性へと向かう不安定さのある年頃の性を上手く描けているとは感じる。
    特に、未紀の日記という形の文章が良かった。こういう大人びたような文章を書きたいお年頃なのだ。母親を意味なく批判したりというところが、アンネ・フランクの日記にも通じる感じ。
    『少女小説』という分類分けをしたことがないので、これが一番とも何とも言えないが、優れた描写だとは言えると思う。

    未紀の日記で全て構成されているのかと思いきや、Kと姉の関係も始まり、未紀と父親だけでお腹一杯になりつつあるところへ、またしても狭い人間関係しか結べないひとの話かとゲンナリする。
    この狭い関係を持つ女性の婚約者も狭い関係を結ぶという二重に狭いところが良いのかもしれないが、どんだけ視野が狭いひとばっかり集まっているのだと滑稽にさえ感じてしまう。

    Kと友達の関係や当時の世相のようなものなどは、時代が流れた現代にこそ面白味を感じさせる。
    未紀の日記などが、これ以上だと鼻につくという絶妙な加減にしてあることなどと併せ、全体として面白いのに何となし良い一冊だったと締めくくれないのは、近親相姦というテーマのせいなのか何なのか自分でもわからない。

  • 9/4 読了。

  • 桜庭一樹が言うような少女小説、というジャンルがあるのかないのかわからないが、これが少女小説である、と言われたら、確かにこれ以外にはないと思ってしまった。少女は女になる、そういう運命で生まれてくる。

  • 2009/12/15

  • 随分前に読んだけれど、最近になってなんとなく気掛かりになって、再読。

    難解と言われやすい表現や、心理状態が様々な事象に分岐していく様、一見結びつかないようで繰り返されるキーワードや観念に関しては、当時の文学少女(少年)の読書傾向を推測すれば、容易にすべてが結びつく。

    近親相姦は、この小説において、テーマではなく、ツールにしか過ぎない。
    選ばれた愛は、肉体によって聖にも俗にも変換されるが、そのスイッチがどの方向に働くかは、その愛によって異なる。
    「完全に明晰な状態で自分の意思によって発狂してしまうこと」以外に道はないのだろうか。選ばれた愛は、狂気によって愛に選ばれた者が別の世界(観念の上では本当の世界)にいき、その手から離れない限り、俗性を帯びることは不可能なのだから。

    これだけ明晰に描かれた絶望の証明を目にしながら、どこかに道があるのではないかと心のどこかで思ってしまうわたしは、やはりオプティミストに属するのかもしれない。

  • 少女から女へ

  • これは血を流すことを定められ、そのように造られた躰から分泌されたひとつの形而上学だ。安保闘争から逃走し姉と関係を持つ主人公Kと、"パパ"と愛し合ったノートを残した美紀。男は思想で禁を犯し、女は肉体で倫理を侵犯する。それは愛を飾り立てる絢爛な装飾物であり、裏を返せば逆転した軽薄さの証でもある。倉橋由美子の本には性差という越えられぬ溝の深さに嘆息させられながらも、せめてその吐息をもってしてでも語りたいと思わさせられる耽美な魔力が込められている。言葉に溺れ、造り替えられ、ゆっくりと浸食されていく快楽。

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