聖少女 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 132
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101113098

感想・レビュー・書評

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  • 中学生のころ、倉橋由美子の描く残酷で美しい世界に傾倒していた。
    解説の桜庭一樹氏と全く同じく、森茉莉「甘い蜜の部屋」尾崎翠の「第七官界彷徨」も高校生で
    読んでいたから、なんともわかりやすく「少女小説」に魅せられていたのだろう。

    今読んでもこの文章の完成度の高さは独特だと思う。退廃的でどこか谷崎っぽいかな?
    「近親相姦」それも父と娘の、このタブーを軽薄に未紀という天性の嘘つきな少女の告白と、食えない「(自称)未紀の婚約者」Kの視点から描いたこの作品。
    登場人物の誰のことも好きになれないけど、「聖性」と「悪」をここまで美しく描けるのは並大抵ではないなぁ。

    「サロメ」のようにビアズレーの挿画で出してほしい。

  • 時代と、独特な瑞々しさ。

  • 倉橋由美子の1965年発表の小説。"暗い旅"、"夢の浮橋"に続いて3作目。本作品は、近親相姦を扱った内容もそうですが、文章、そして文体も含めて雰囲気が独特すぎて、これは合う人と合わない人がはっきり出てくると思います。学生運動の頃の風俗が色濃く反映されているので、どうしても気持ちが追いついていかない部分も多々ありますが、自分は嫌いじゃないです。甘くて美味しい毒薬を飲まされている感じです。自分の立場が変わる毎に読み直したら、その都度、感想が変わりそう。

  • 倉橋由美子らしい小説だ。この小説を読んでいると、自分が称している「愛」などという言葉が陳腐で、いかにも小市民的な価値しか持っていないかを思い知らされる。主人公の未紀は、まさしく「ぼく」にとってのFemme fataleそのものだろう。どこまで行っても捕まえることはできない。そもそも彼女は最初から愛の不毛の中に生きていたのだから。また、この小説の持つ強い時代性(70年安保以降の時代)も、こうした回顧の中ではある種の普遍性さえ帯びてくるようだ。

  • 穂村弘さんが衝撃を受けたということで気になっていました。


    少し痛くて、愚かで、陶酔した 少年少女の物語。
    思春期ならではの潔癖さや勢いがすごくきれいに描かれていると思います。

    近親相姦、交通事故、記憶喪失、ゴシック趣味、などなど言い出したらきりがないですが、そういういわゆる"キーワード"みたいのはあまり意識させない、もっと奥にある少女の物語であると感じました。
    とても好き。

    12歳のときに読んでいたら人生が変わっていたかもしれない。

    ちなみに朝のむウイスキー少したらすやつ、飲んでみたい。

  • 桜庭一樹の帯が気になって購入。

  • サルトル影響受けてるのとか文体とか閉塞感とか大江やんって思ってたら同時代だった。

  • 解釈するには難解でしたが、感受したところを書けば、自己愛が精神によって他者への愛の形をとろうとしている(それも、ある種閉じたままで)、その愛の在り方を書いた作品なのかな…という感じでした。二つの近親相姦が描かれますが、どちらも遡れば、血の繋がりのもとでの肉体に関する否定的な事実に端を発し、近親相姦によってそれを裏返して愛に昇華しようとしている。そんなふうに思えました。
    最初身構えたほど抵抗感が生じることもなかったし、言葉の連なりは観念的ながら不思議と引っかからずに読めます。ただ、テーマがテーマだけに、読む人を選ぶ小説だとは思います。私自身も、面白かったけど作品との距離は縮まらないまま読んだ感じで、聖化に美しさとかを感じるほどの衝撃は受けなかった。

  • 以前、「大人のための残酷童話」を読んで依頼の倉橋由美子さん。
    オススメだと聞いたので読んでみた。

    少女から女性へと変わりつつある未紀と父親との近親相姦関係を軸に、未紀の婚約者Kの関係、Kと姉Lの関係を描く。

    近親相姦かあ。
    読む前から既に苦手な思いを感じつつ読む。

    クールというかドライというか、少女らしく背伸びをしているというか、そういった未紀の姿に懐かしさを感じつつ、父親と関係という自分にはあり得ないことを想像してみて、やっぱり無理だわと笑ってしまったり。

    解説を書いた桜庭一樹さんの言うように、この作品を『少女小説』と呼ぶのかどうかはよくわからないけれど、女性へと向かう不安定さのある年頃の性を上手く描けているとは感じる。
    特に、未紀の日記という形の文章が良かった。こういう大人びたような文章を書きたいお年頃なのだ。母親を意味なく批判したりというところが、アンネ・フランクの日記にも通じる感じ。
    『少女小説』という分類分けをしたことがないので、これが一番とも何とも言えないが、優れた描写だとは言えると思う。

    未紀の日記で全て構成されているのかと思いきや、Kと姉の関係も始まり、未紀と父親だけでお腹一杯になりつつあるところへ、またしても狭い人間関係しか結べないひとの話かとゲンナリする。
    この狭い関係を持つ女性の婚約者も狭い関係を結ぶという二重に狭いところが良いのかもしれないが、どんだけ視野が狭いひとばっかり集まっているのだと滑稽にさえ感じてしまう。

    Kと友達の関係や当時の世相のようなものなどは、時代が流れた現代にこそ面白味を感じさせる。
    未紀の日記などが、これ以上だと鼻につくという絶妙な加減にしてあることなどと併せ、全体として面白いのに何となし良い一冊だったと締めくくれないのは、近親相姦というテーマのせいなのか何なのか自分でもわからない。

  • 桜庭一樹が言うような少女小説、というジャンルがあるのかないのかわからないが、これが少女小説である、と言われたら、確かにこれ以外にはないと思ってしまった。少女は女になる、そういう運命で生まれてくる。

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