満月 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 127
レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (594ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101114088

感想・レビュー・書評

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  • 『つばき、時跳び』を読んでいて、無性に読みたくなった。
    ★5つどころか10コでも足りないくらい。

    これは、『つばき、時跳び』の、あの一瞬の「キュン!」を、物語全般に塗りこめたような話で、それこそ、「キューーーーーーーーーーーーーン!」みたいな(爆)
    しかも、物語が進むにつれ、その「キューーーーーーーーーーーーーン!」の振り幅が強く大きくなってくるという、もう書いていて、やっぱり恥ずかしくなってくる。
    まあー、つまり、この手のタイムトラベル物というのは、読んでいて恥ずかしくなってくる、その感覚を楽しむお話なのかもしれない。

    この『満月』がいいのは、一にも二にも、主人公のまりの今風(今となっては、あの頃風w)なドライな人物造形によるところが大きいと思う。
    (男から見ると)たぶん、そこが、やたらカワイイ…、んだろう。←結局中二病w
    いかにも女性作家というような、つっぱらかせ方の面も無きにしも非ずな気がしないでもない(?)が、主人公がこういうキャラだから、「キューーーーーーーーーーーーーン!」が間延びした感じにならずに、なおかつ、「あー、恥ずかし!」的な部分を素直に味わえるんじゃないだろうか。
    もしかしたら、その辺りは文学作家たる著者ならではなのかもしれないなーなんて思った。

    この本は、当時、本屋で平積みになっていたのを見て(表紙も映画の場面だし、映画化の帯もついているから、それで手に取ったんだろう)買ったんだと思う。
    確か、日曜日で、夕方から読み始めて、一晩で読んでしまった記憶がある。
    読み終わって、寝て。月曜の朝、起きた時、すんごーく優しい夢(どんな夢だ?w)を見た記憶が残っていたのを憶えている。
    いや、肝心の内容は全く憶えてなかったんだけど、それでも月曜だというのに、一日なんとなく朗らかだった記憶がある(爆)
    そういう意味でも、とってもいい本だと思うのだけれど、なぜか絶版なんだよなー。
    タイムトラベル物専門のブログをやっていた人も知らなかったくらいで、本当にもったいない。

    ただ、タイムトラベル物といっても、SF的な理論とか理屈(&こじつけw)は一切出てこないので。
    そういう設定の担保がないとダメな人は、全然うけつけないお話かもしれないので注意!w

  • 仲秋の満月の夜、愛犬セタを連れて散歩に出た若い高校教師まりは、河原で奇妙な男と出会う。
    まるで時代劇から抜け出してきたような格好のその男は、津軽藩士、杉坂小弥太重則と名乗った。
    アイヌの老婆の呪術によって現代に現れた彼は来年の仲秋の満月になればまたアイヌの村に帰るという。
    三百年の時を超えた不思議な恋愛物語。

    原田知世さんの主演で映画化した作品。
    テーマソングは元プリンセスプリンセスの岸谷香(当時・奥居香)さんがビートルズの「ミスター・ムーンライト」をカバーしていました。
    僕は小説を読んだ後、映画も観ました。
    原作の雰囲気をそれほど壊していない、まあ、良い作品だったと思います。

    小弥太はアイヌに帰るまでの一年間を、偶然出会ったまりとその祖母の家で暮らすことになる。
    高校で教師をしているまりは最初、小弥太の存在を認めないし、気違い扱いもする。
    いや、もちろんタイムスリップをあっさり受け入れるよりもそれが当り前の反応なのだけれど。
    ひとつ屋根に暮らしながら顔を合わせようともしないし、言葉を交わそうともしない。
    あまつさえ、彼を何とか追い出そうと画策したりもする。

    けれど、それは弓を構え、そして引き絞るための時間。
    強く反発した分だけ、ひとたび彼に心が向かってからはそりゃあもう、読者が赤面するくらいにまりは寝ても醒めても、小弥太、小弥太になってしまう。
    小弥太は僕が見ても、凛として誠実で、現代人の心についている贅肉がすっかり削ぎ落とされている精悍な男なのだから、毎日顔を合わせているまりが夢中にならないはずはない。
    一方、まりは現代っ子にも程があるというくらいの現代っ子。
    (とは言っても昭和三十年代生まれらしいから僕よりもずいぶんと歳上なのだれけど)

    期間限定のこの恋、結局、最後に契りを交わすこともなく小弥太は消えてしまうし、消えてしまった後も彼の動向はまるで語られない。
    まりが「彼は記憶喪失にでもなったのではないか」と勝手に推測しているくらいのものだ。
    いささか消化不良だけれど…でも、それでもいいのかな、とも思う。
    まりと小弥太の心は一時でもしっかりと結ばれたのだし、いつの時代に生きるかは大した問題じゃない。
    その時代をいかに生きるのかが問題なのだから。

  • 仲秋の満月の夜、愛犬セタを連れて散歩に出た
    若い高校教師まりは、豊平川の河原で奇妙な男と
    出逢う。まるで時代劇から抜け出してきたような
    格好の男は、津軽藩士・お手廻り組、杉坂小弥太重則と
    名乗った。アイヌの老婆フチの魔術によって
    時を越えて北国の街に現れた三百年前の侍と、
    現代的な女教師との不思議な恋愛を描く、ちょっぴり
    切ない長編ロマンティック・ファンタジー。

  • もう何度も読んだのだけれど、何度読んでも、切なくて心乱される。
    映画の公開をきっかけに読んだので、かれこれ25年も読み続けていることになる。
    過去から来た侍と現代女性との期限付きの恋。
    最初のうちは彼小弥太に反発・反感を持っていたまりの心が彼に向いていく。それゆえ、彼の過去へおいてきた者への思いに悩む様子に切なくなる。
    まりの祖母のできぶつぶりも魅力的。かなわないなーと思わされる。
    昭和の時代の物語だけれど、古くならない。
    永遠の名作。

  • けっこう前の本と聞いて読みましたが、とても新鮮な気持ちで読みました。
    アイヌからタイムトリップしてきてしまった侍と本の語り手、「わたし」との一年間の日々。
    じわじわとお互いを好きになっていくのに、別れの日も近づいているのがわかるので、せつない気持ちで読み進めました。いい一冊でした。

  • 内容は覚えていない(^^;
    すっごく面白く徹夜で一気読みしたことだけ覚えている
    未所有で残念

  • 二人の関係性とその変化が、情景描写のなかに垣間見える。
    舞台設定を練ることの楽しさと重要性を覚えさせてくれた作品。

  • 大好き。高校生の頃ドキドキしながら読んだ。もう三回くらい買い直してる。

  • 原田知世&時任三郎のコンビで映画化された時に、新装丁で出た文庫版を初読。

    お月見の夜に、江戸の時代から現代に飛び込んできた小弥太。どこからどこまでも‘武士’の小弥太と、いかにも‘現代っ娘’(書かれた当時の)マリの、出逢いから別れまで、ぴったり一年間のストーリー。

    小弥太が関わる人々が、みなその不思議な魅力のとりこになっていく。現代の人々の中に、ちょっぴり浮き加減ではありながら、小弥太が自然に生きている、そんなエピソードのひとつひとつが、面白く切ない。

    後書きからは、映画版では製作スケジュールなど現実的な問題のために、二人の時間は半年ほどに詰められて、ラストも変えられたことがわかる。

    生きる時代のギャップの大きさから、水と油ほど異質に見えた心が、いつしか混ざり合い、けれど必然の別れを静かに迎える。満月の夜の清浄さにリンクする切ないストーリー展開と、ラストのマリとその祖母が酒を交える静かなシーンが気に入って読み終えただけに、後書きを読んで、映画への興味を一気に失ったことを想い出した。

    表紙とカバーにある映画からのカットシーンを見ると、原田知世は凛としてキレイ(今もかわらないね)、若き時任三郎もなかなかステキ。DVDあったら、観て見ようかな?なんて思った。

  • この時で何回目の再読だろうか?
    大好きな小説だ。
    廃刊になってしまっているのが悔しい

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