闘 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1984年1月1日発売)
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感想 : 12
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  • 本 ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101116068

感想・レビュー・書評

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  • やはり、読み終わってみて凄いと思う作家です。
    病院関係者、病人その家族、コロナの昨今読んで見ると良いかなとと思いました。

  • この人(幸田文)とは波長が合うというのか・・・・?
    カバーに描かているカエルの切り抜き模様のカエルの意味が解らない・・・?
    経験してないと分かり得ないのでは・・・と思えるほどの描写力・・・ゾォとする。
    小心者の私は解剖室の様子の描写に吐き気すら覚えた。
    死という今わの際、母が逝ったばかりで
    身につまされた。

  • 再読。昭和40年に連載された結核が不治の病であった時代の結核病棟を舞台にした患者と医師・看護師たちの群像劇。とはいっても小説というよりドキュメンタリーなのではと思うくらいノンフィクション味が強い。様々な人が出てくるのに、キャラ立ちというよりは、実際にいる人々のようだ。描写は美しいけれども、視点は時に優しく時に冷徹で容赦ない。時代は違えど死と生を巡る哲学と闘いは今も変わらず、自分が病に侵されたときいかに振る舞えるのかを憂う。病と闘う医師の献身を前に、苦痛から逃げたいと思うのは身勝手なのだろうが…。

  • 焼き鳥の串盛りみたいな1冊。死んだ人の数だけ死に方があり、それぞれ異なる風味がある。章ごとに区切られているので最後まで食べやすく美味しかった。

    これ生命保険会社が意訳して再発刊したらいいんじゃないかと思うぐらいに生々しい。「胸に穴を開けて注射で溜まった水を排出すると、針を伝って人間の生温かさが伝わってくる」とかもう無理。文字だけでここまでゾッとしたの初めてかもしれない。当時の結核が今でいう癌に近いものなら、病人とその家族につきまとう精神的、金銭的、心情的な苦難たるや相当なものだったろうに。

    ここで描かれているテーマ は「人生の使命を見つけた人は強い」だと邪推。葬式で良く「死に様は生き様」とよく言うけど、割とその通りだと思う。元裁判官にしろ百姓にしろ死んだ後に評価が上がる人は決して周囲に見栄を張っているわけではなくて、それまでの人生で培ってきた自分のスタイルでもって死にどう向き合うかを自分で決めることができている人だろう。なんてったって病気から死ぬまでが長い。その間ずっと見栄を張り続けることなんて不可能なんだから。

    「夜と霧」には、常に死と隣り合わせの囚人たちが監獄の中で唯一許された精神的な自由は、人生の使命を見つけその使命のままに人生を生き抜くことだとあった。死を迎えつつある人間の最期。それはその人の人生が鏡のように映るものなのだろう。

    であるなら俺が死ぬ頃までには安楽死ってほんとにアリだと思うんだがマジでこれなんとかならんかなぁ。

  • 面白かった!

  • 結核を巡る話。
    平らにするには、ひとはけの嘘が肝心だと語る左官。
    船乗りの次男の帰りを待つ死期が迫った父親。
    様々な病状と事情が淡々と綴られていく。
    病気と医者、病んだ者とその家族の切なくて胸に迫る連作。
    楽しい話ではないけれど、幾度となく読み返している。

  • 初めて入院してくるもの、死の床にあるもの、様々な人がいる病室。
    主人公は闘病生活10数年というベテラン選手です。彼は死と向き合いながらも、決して病気に屈せず、最後まで生き抜こうとします。物語の中核はそうですが、読みどころは幸田文ならではのきめ細やかな描写だと思います。
    苦しいときこそ、取り出してじっくり読んで欲しい、そんな小説です。

  • 東京近郊の結核病院。闘病歴10年、身寄りもいない別呂省吾を始めとして、死と病気に向かいあう患者、医師、看護婦たち。

    ストーリーがとりたててある訳でもないんだけど、すっと1本何かが通ってるような話。いろんな患者やその家族たちのことを病院での日常として描かれていた。

  • 体調の悪いときに読むと、なぜか改善されます。
    不思議。

  • ・・・読んだか・・・?読んだかも・・・・

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著者プロフィール

1904年東京向島生まれ。文豪幸田露伴の次女。女子学院卒。’28年結婚。10年間の結婚生活の後、娘玉を連れて離婚、幸田家に戻る。’47年父との思い出の記「雑記」「終焉」「葬送の記」を執筆。’56年『黒い裾』で読売文学賞、’57年『流れる』で日本藝術院賞、新潮社文学賞を受賞。他の作品に『おとうと』『闘』(女流文学賞)、没後刊行された『崩れ』『木』『台所のおと』(本書)『きもの』『季節のかたみ』等多数。1990年、86歳で逝去。


「2021年 『台所のおと 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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