木 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.79
  • (47)
  • (41)
  • (64)
  • (7)
  • (1)
本棚登録 : 536
感想 : 61
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101116075

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「一本筋の通った人」の代表格である幸田文による、木にまつわるエッセイ。
    <ひのき>
    植林されたひのき林で、風雪によってねじまがった木と、良い環境でスラリと伸びたエリート木とを比較して、環境によって人となりがかわることへの洞察が鋭い。ねじまがった木の生命力の強さに感嘆しつつも、その生き方に息苦しさを感じ、エリート木によって心が和やかに開かれるのには同感。
    人の成長における環境も同じことと思い悲哀に浸る自分に対して、作者はカラリとしているのは、やはり作者自身がエリートであるからか?しかし生命に対する愛情があるれているため嫌味がなく、素敵!

  • 再読。

  • (2012.02.23読了)(2012.02.19購入)

    ☆幸田文の本(既読)
    「崩れ」幸田文著、講談社文庫、1994.10.15

    幸田文 コウダ・アヤ
    1904年9月1日、東京生まれ(幸田露伴次女)
    1928年、清酒問屋に嫁ぐ
    1954年、『黒い裾』により読売文学賞を受賞
    1956年、『流れる』により新潮社文学賞、日本芸術院賞受賞
    1973年、『闘』により女流文学賞受賞
    1990年10月31日、死去

  • きりっとした、簡潔で背筋の伸びるような文章。
    日々の雑念や人間関係の煩わしさに疲れたときに幸田さんの本を読むと、心が本当に洗われる。
    弱い人間なので、曖昧な暗さやふわふわとした希望に抗しがたく引き寄せられる毎日だけれど、もっとシンプルに生きたいと思える。
    澄んだ空気の中に出てみたくなるから、冬にはおすすめ。

  • ≪内容≫
    幸田文による「木」にまつわるエッセイ集。

    ≪感想≫
    とにかく、日本語の美しさに惹かれた。幸田文の書く文章はとても柔らかく、その内容はとても人間的だと感じる。きっと自らの心の機微に正直な文章は、読んでいる者に深く沁み入るのだろう。彼女の視座を通して出会う木や人からは本当に色々なことを教えられ、読んでいて心おだやかになるような文章ばかりだった。

    収録されているエッセイは1971年~1984年に書かれたもので、歳を重ねながらの木々と出会いが面白い。幸田文の生き方は、無意識のうちに感じることも大事だが、意識して「見る」ことの大切さを教えてくれる。どんなことも春夏秋冬、1年かけなければわからない。四季を大切にした文化の本質を知る思いである。

  • ブクブク交換でもらいました。
    学生時代に図書館で読みましたが、内容ほとんど忘れてる……

    とても歯切れのいい文章です。言葉のリズムが快い。
    クセのある木に思い入れてみたり、ちり紙交換で連想のつながりに感心してみたり。
    なるほど、作家さんというのは、こういうもののみかたをするのか。ぽん、と膝を打ってしまいました。我ながらマンガのような動き。

    これを読んでから、資源ゴミの日が楽しみになりました。きっちり紙ひもで巻いている山があると、「きっとこのエッセイ読んだ人なんだな」などと、想像を巡らせてみたり。

  • 20110623

  • 著者と樹木のふれあいのエッセイ集。

    木も人間と同列で見つめる著者の視線は鋭く、温もりがある。
    まっすぐ育つのも、曲がって育つのも理由があるのだ。
    著者はその美しさに感嘆し、嫉妬し、その瘤に慈愛を寄せる。

    読後は樹木との距離が少し近づく。
    幹や枝ぶりに生の記録をみつけ、思わず「頑張ったね」と語りかけたくなる。

    何度読み返しても凛とした文章は清新で、マイナスイオンを浴びたように心地よい。 

    幸田文に興味を持った方は少女時代を描いたエッセイ「みそっかす」もおすすめ。

  •  「国語の教科書に載った作品」で、それは、この作品の始めにある「えぞ松の更新」という章である。
     木と木の周りで起きたことについて感じたことを丁寧に書かれており、「木」のことや作者の心の内を少しでも理解することができれば良いと思う。

  • 年老いても感受性の豊かな人間でありたい。

全61件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

1904年東京向島生まれ。文豪幸田露伴の次女。女子学院卒。’28年結婚。10年間の結婚生活の後、娘玉を連れて離婚、幸田家に戻る。’47年父との思い出の記「雑記」「終焉」「葬送の記」を執筆。’56年『黒い裾』で読売文学賞、’57年『流れる』で日本藝術院賞、新潮社文学賞を受賞。他の作品に『おとうと』『闘』(女流文学賞)、没後刊行された『崩れ』『木』『台所のおと』(本書)『きもの』『季節のかたみ』等多数。1990年、86歳で逝去。


「2021年 『台所のおと 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

幸田文の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×