- 新潮社 (1996年11月29日発売)
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感想 : 142件
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Amazon.co.jp ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784101116082
みんなの感想まとめ
着物を通じて描かれる人間模様と家族の物語が、深い感動を呼び起こします。大正期の東京を舞台に、主人公るつ子が少女から大人へと成長する過程では、彼女の感受性や思いやり、そして強さが丁寧に描かれています。着...
感想・レビュー・書評
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着物に心を配る、思いを寄せる時代がとても素敵でした。着物の着方のみでない、真心を持って生きることの意味が伝わってきました。日本人が忘れてはいけない心がありました。人間観察が自己、他者とも鋭く、心情が手にとるように伝わってくる無駄のない表現。著者は美しい日本語の使い手です。この一冊で、幸田文さんのファンになりました。
大正期の東京、下町。着物を着ることが生活の中心であった時代の自伝的作品です。主人公、るつ子の少女時代から結婚までが描かれています。関東大震災を経験し、強く生き抜く姿も印象的です。
るつ子は、感受性が強く真っ正直、思いやりがあり負けん気に強いところもあります。読んでいて、とても好きになりました。
るつ子は祖母から着物のことのみならず、着物を通して人としての生き方を学びます。私自身、学ぶことが多かったです。“脱ぎ着にも美しさがある”なんて、ハッとさせられました。
るつ子の母が亡くなる場面、もう涙が溢れてしまって...。るつ子は三姉妹の中で、母に疎んじられていたものの、一番の母思いでした。皮肉なものです。
初潮のこと、生理の不快感、初めて電車で痴漢にあったこと、結婚相手を決めるときの心の揺れ.....
るつ子が少女から大人になっていく過程の心理描写は、共感するところが多かったです。自分も色々思い出してしまいました。
着物の着方を祖母から伝授してもらう場面では、
“聞いておぼえると同時に、からだでおぼえてしまうと役に立つ”
“着物は紐二本で着るもの”
こんなフレーズが心に残りました。
そしてもう一つ、
“からだはいつのまにか苦労なく一人前になるが、中身が大人になるには苦労がいる”
この言葉、本当だなあと思います。
後世に読み継がれてほしい、素晴らしい作品です。(2026.3.30読了)
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女性作家の作品はあまり読まず、読んでも面白いと思えるものがなかったが(アイン・ランドは極端で、ジェーン・オースティンは退屈だ)、
この『きもの』は一気に読めてしまった。
昔の東京の日常を描く細やかな描写は永井荷風を思わせるが、そこに女性独特の目線が新鮮だ。
「きもの」を軸に繰り広げられる、家族の物語と人間模様。
姉妹間での親からの扱いの違い、一緒に育ったのに全く異なる人間性、姉と妹の役割、など鋭い描写が興味深かった。
主人公の三女・るつ子は、着物の見た目よりも着ごこちにこだわる。
見栄を張る長女や流行を追いかける次女の承認欲求に比較して、自分の価値観を確立したるつ子の感覚は、一歩も二歩も進んで洗練されている。
「振袖も見ざめ興ざめのくる時があるし、餓えるように木綿絣がほしくなる時もあるものかと思います。着物も外国にいると、日本とは逆になるようです。」
ロンドンへ行った裕福な友人のゆう子は、海外の生活に刺激され、高価な絹の着物に飾られるよりも、実用的な綿絣を着て自分の力で人生を切り開きたいと願っている。
ファッションの歴史は、女性の解放の歴史なのだ。
わずか100年ほど前に、衣類がどれほど貴重であったかが感じられた。
裕福な家庭でも、新品からお下がりへ、よそ行きから普段着へと、使い回して大切にする。
リサイクル、サステナブル、などとやかましく言う最近の傾向は、豊かになったことの裏返しだ。
暮らしが便利で豊かになるということは、不快や不便が無くなるとともに、その分だけ生活に直に触れる喜びも失われる。
月並みな言い方だが、「丁寧な暮らし」に触れる一冊だった。 -
一度目は高校2年の時。その時はただ読んだだけに終わり、内容もそんなに残らずに終わった。
二度目は23の歳。全く違った。全て自分にはない体験ではあるのだけれど、だけれど何と言うのだろう、書かれている内容が全部染み込んでいった感じ。共感?すごく、「よくわかる」のような気分で読んでいた気がする。恐らくるつちゃんの生きた時間と同じだけ時間を経た分の理解がそこにあったのかもしれない。
自分は、女の子に本を勧めるとしたら、この本を同じようなタイミングで二度読みすることを勧めたいと思っている。下手な道徳よりも考えること思い当たることがあるし、こうすることで、この本の記憶がより鮮烈な体験となる。 -
現代人、いや私には理解できない着物の肌感覚。今の洋服にそこまでの感覚を持って洋服をきていないなぁと感じる。色、柄、触感。どれも大切なことなのに、おろそかにしている自分を感じた。
着物を通じて、主人公は成長をしていく。いや、成長を通して着物について深く考えていく主人公。それは女子なら通る道ではあるだけれど、着物というものを通してみていくと時代感覚もあって、理解できるけど今はない、奥ゆかしい女子の成長が描かれていた。
祖母の存在の大きさ。これは現代には薄くなってしまったな。祖母のいうことがいちいち含蓄を含んでいて、また主人公を深く理解していることが伝わってくる。身近な人の話を聴くことの大切さを改めて考えた。
震災の打撃。震災によってみえてくるもの。今だからこそ、この場面が真実味をもって見えてくる。
最初は着物の感覚が鋭すぎて、感覚についていけなかったが、後半に入って俄然面白くなった。
これは男性にはなかなか理解できない小説なんじゃないかと思った。 -
この作品を読んで、幸田文さんが好きになりました。
だいぶ前に読んだ本なので内容はうろ覚えですが、雰囲気はとても良く覚えています。
いつか読み返そうっと。 -
主人公の子供時代から結婚するまでの人生の歩みを、着るもの、身につけるもののエピソードをふんだんにちりばめて書かれた小説です。
きかん気が強く、気に入らないことは絶対に受け付けない性質の主人公の子供時代から物語が始まります。姉たちにはからかわれ、親にも持て余されがちな主人公。そして、そんな主人公にじっと寄り添い、気を回す祖母が物語の中心です。
登場人物が魅力的で、癇気の強い主人公、人間の良くできた祖母、どこか対照的な二人の姉、女学校でのふたりの友人、そして父の愛人など、皆それぞれの強さと考え方を持って生きていました。どの女性の半生でも物語が書けると思えるほどです。
ただし、男性の登場人物は父を除いて詳しく描かれていません。兄は途中まで完全に存在を忘れていましたし、夫となる人も人となりを想像するには材料が少ない、といった感じでした。
主人公が初めて自分で着物の生地を選びだす場面や、姉の結婚式に駆けつける場面、「もう着られないお気に入りの服で箪笥をいっぱいにしたい」と話し合う場面などが心に残っています。
人に何かあげるとき、病みついた家族を看るときなど、物事を角を立てずに進めていく祖母の知恵には、読みながら主人公と同じようにハッとさせられました。
この話は幸田文の自伝的小説だそうです。元は雑誌連載されていたもので筆者の存命中には書籍化されず、続きの構想があったようだと解説に書かれていました。
結婚式を挙げた日の夜でこの物語は終わってしまいます。しかし、決して幸せな結婚生活を予感させる文章ではなく、時代から考えても金融恐慌を経て、開戦、東京大空襲、敗戦と、決して先行き明るくはありません。その中で主人公や周りの人、特に二人の姉がどう生き抜いていったのか、読んでみたかった。続編がないことが本当に悔しく思われます。 -
もう女性のバイブルという言葉は
会わないだろうが、
随所に学べる箇所がある。
こういう時は、こう考えろ。
こうなったら、こうしろ。
と粋でかっこいいおばあさまが
教えてくれる。
着物もたくさん出て来て、
詳しくないながらも、
興味深い。
るつ子に共感しすぎてしまって、
上の姉が疎ましくてならないし、
最後は、これは全くなんという終わり方だと
思ってしまった。
主人公と一緒に、
スカッとして、モヤモヤして、
学んで成長させてもらえる本。 -
丁寧に心情を語る幸田文の文章が好き。
お婆さんの機転の効きよう、逞しさ、優しさが素敵。 -
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『細雪』の着物の描写にひきつけられましたが、これも同様。着物を通して女の子の成長を描いています。
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幸田文は文体のキレがいい。
少女の気持ちが、身体を通して伝わってくる。
生活の音や匂いがする。 -
大正時代の古きよき時代の生活が目の前に見えるようです。
当時はこんな風に家庭の中にそれぞれに役割分担があって、礼儀や昔ながらの知恵などを小さい頃から教えられたり、成長にしたがって節目になれば、それにならった考え方や振る舞いを生活しながら身につけていく・・・というのにすごく憧れました。
るつ子の気性には親近感があり、可愛がってくれるおばあさんに尊敬の念を抱きます。
現代が失くしてしまった日本の暮らしがココに描かれているように思えました。
もちろん着物の着方・TPOによって変わる着物の種類、そもそも着物とは何か、という本質にも触れていて
勉強になります。あと女性が着物に対する執着とか見栄とか個性とかも面白いです。
淡々とした文体が好きだなぁ。
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きものを「着る」というより、きものと「暮らす」という感覚がとっても心地よくて大好き!!好きすぎて、きものに対するとらえ方が変わった。以前なら気にも留めなかった柄や素材がどれだけ愛しいことか。でも、この本はやっぱり1人の人間の生の様相だった。その様相がきものを通してより鮮明に伝わってくるのだろう。
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かつてあったのに、今は失われてしまった、きものに対する皮膚の感覚や、季節のうつろいとともにかわる衣生活をいきいきと見せてくれる小説です。
古きよき時代の姿勢の人びとのつましくもりりしい生活が息づいています。 -
折々にきもののエピソードを入れながら家族の暮らしが描かれている。人それぞれの心情が沁みる。
静かに人の心を感じ、大切にする。
自分の芯を持つ。
そうありたいと思わされる作品だった。 -
2024.10.18 社内読書部で紹介で受ける。
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★3.5。
これはいかにも未完というか未発表の作品という感じがする。
前半と後半の筋立てというか視点が若干ブレている感じがあり、タイトルに合わせる訳ではないですが、前半部は唸らされる読感ありです。
その点、後半はある意味の非日常をストーリーに据えてしまったので前半にあった緊張感というか異常とも言うべききものから来る揺れが曖昧になってしまったかなと。 -
最後の展開は、いまいち受け入れがたいかな。恋は盲目とは言うけれど。
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明治時代の下町に育った女の子の物語。二人の姉との関係、父や母、そして特におばあさんからるつ子は色々なことを感じ、考え、変化していく。そこには「きもの」を通じて感じたことがたくさん語られている。着るものにこだわるるつ子だからこそ、その肌触り、柄の違い、そんなことが気持ちの持ちように影響し、その人の行動にもその人の人となりにも影響したのだろうか。それとも人は誰でもそういう影響を受けているものなのだろうか。
今ではあまり使われない言葉も色々出てきて、その頃の人々の生活習慣、季節の行事なども思われた。おばあさんの気丈さ、生活する上での知恵、人としての心構えがとても貴重だと思った。豊富な経験と小さなことにも気づく心、置かれた立場への気構え、、その上での判断力の確かさ。
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著者プロフィール
幸田文の作品

本書、きっと20年ぐらい積んでます^^;
探してみよっと…
( )))))ゴソゴソ
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気をつけてくださ〜い(^。^)
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