動物のぞき (新潮文庫)

  • 新潮社 (1998年12月1日発売)
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本 ・本 (160ページ) / ISBN・EAN: 9784101116105

感想・レビュー・書評

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  • 恥ずかしながら幸田文さんの本は読んだことがなかった。勝手なイメージで、堅くて読みにくいのではないかと思っていたから。でも、図書館でこの本を目にして、思い切って借りてみる事に。
    内容は動物園の動物について書いてある。世の子供達も大好きなキリン・象に始まり、クマ・猛禽類・河馬サイ・爬虫類・狐狸などなど。動物が好き故の視点というか、動物園でこんな事考えながら見たことなかった…と思うような面白い内容。
    堅くて読みにくいなんてとんでもない!非常に読みやすく洗練されていて、文体に漂う上品なムード。あっという間に読んでしまった。今まで知らなくて損をしたな~と思ったくらい。他の本も読む楽しみができた。

  • 幸田文という人がこの随筆を書いたのだなぁと思うと、不思議なような納得できるような、そんな両方の思いがする。

    彼女が見つめた「動物」たちってどんなものなんだろうと思い、わざわざ中古で取り寄せてまで購入した一冊である。
    「のぞく」というより、「ながめる」という感じにも似ている。覗くというのは人の気配も感じにくい気がするが、眺めるは人ののんびりとした心地があるからだ。
    動物たちの分からなさ、無垢さ、そういうものが感じられて面白い。伝わりそうなのに、相容れないような、そんな自然との薄い境界を知らされる。

    幸田文の生活というのは、良い按配で窮屈さが備わっているように考えていたのだが、この随筆では動物たちの自由さを描くことに心を注いでいる。
    その矛盾は(でもそういうものに淡い憧れを抱く筆者なのだろうな)と自然と思われる内容で、良かった。

  • 「狐と狸」の章あり。
    目新しい内容は少ないが、タヌキの義眼についての記述あり。

  • 動物園。
    昔は好きだった。
    今は苦手。
    存在しない感情に入れ込んでしまうから。

  • 社会福祉学科 W先生

    愛情が溢れる目で色々な動物を見ていますね。

    資料ID:C0020798
    配架場所:本館2F文庫書架

  • 図書館 5/1読了
    「動物をかわいく思う愛情は同時にむごいことと表裏である」
    競走馬は極めて美しく、サーカスで芸をする熊は愛らしく滑稽だが、そのひたむきさに心を寄せてとめどなく涙が流れる。
    そうか。私の涙の理由もこれか。
    それでも、「身勝手と呼ばれる愛情ではないかと恐れるのであるが、とにもかくにも動物と親しくしたい」のだ。
    動物園へ行こう。

    土門拳による写真も素晴らしく、若草色の布表紙も素敵。

  • 幸田母娘のエッセイは好き。
    娘の玉さんの語り口はやさしく、ほんわりする。
    この本を書いたお母さんの幸田文さんは、飾らないまっすぐな言葉が、強く心にささる。

    動物園の動物がメインテーマで、哀れを誘う文章ではないのに泣きそうになる。
    「きりん」の競争馬、「しこまれた動物」…などなど。
    写真家:土門さんの写真もいい!

  • 著者の動物園探訪記。サル、キリン、象、カバ、サイ、熊。

    動物ものを読んでいると自然に涙が出てきてしまう。いるべき所に自然にいる動物たち、アフリカに行きたくなります。文中に出てきたシートン動物記。片耳がギザギザのうさぎ、月に吠える一匹狼。なつかしくて再読したくなりました。

  • 動物がいとおしくなってくるというか、人がいとおしくなってくるというか。ほっこり本。

  • わたしは動物が好きでかわいがってるつもりだが、動物は私に愛情と酷さを教えるのである。 動物園に行こう。 本文より   ~動物園に行こうの文章の唐突さにセンスを感じた

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著者プロフィール

1904年東京向島生まれ。文豪幸田露伴の次女。女子学院卒。’28年結婚。10年間の結婚生活の後、娘玉を連れて離婚、幸田家に戻る。’47年父との思い出の記「雑記」「終焉」「葬送の記」を執筆。’56年『黒い裾』で読売文学賞、’57年『流れる』で日本藝術院賞、新潮社文学賞を受賞。他の作品に『おとうと』『闘』(女流文学賞)、没後刊行された『崩れ』『木』『台所のおと』(本書)『きもの』『季節のかたみ』等多数。1990年、86歳で逝去。


「2021年 『台所のおと 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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