魚影の群れ (新潮文庫)

  • 新潮社 (1983年1月1日発売)
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本 ・本 (302ページ) / ISBN・EAN: 9784101117157

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  • 「海の鼠」「蝸牛」「鵜」「魚影の群れ」の四編
    海の鼠は史実を元にした小説。宇和海の島でのネズミ騒動の話は知っていたが、小説として描写されると生々しさが増し精神的に来る…「鼠が湧いた」歩く度に踏みつける程の数…。対策を練っても知恵を巡らし、慣れ、増え続け海を渡る鼠達に、場所も時代も違うが海を渡ってやってきた猪による農業被害を受けている故郷の事が頭に浮かぶ。
    少し気になったのは「どうならあ(どうにかなるだろう)」という島民の言葉があるが…同県出身だが「どうなら」は「「そんな事して〜」「この先〜」どうなるやら(ダメだろう。呆れる)」という使い方で聞いてきたのでこのセリフには違和感が…。

    「蝸牛」
    先に読んだ海の鼠のイメージから「これは絶対蝸牛が逃げ出して増えるやつだ」と思っていたら、そうではなく「世にも奇妙な物語」系の話だったのでちょっと意外。得体の知れない物を食べてハマる人々の姿は中々に怖い

    「鵜」「魚影の群れ」
    自らの職業意識と家族関係の乖離に悩む男の話だが…どちらも自業自得というか、伝統的な家業への誇りや、自らが末代となるかもしれない焦り等は理解できても同情しきれない。時代による男女関係もあるのかもしれないが…そりゃあ妻にも娘にも愛想をつかされる。魚影の群れの娘婿の死の理由の毒気はかなりキツい

  •  表題作『魚影の群れ』をはじめ4作品全てハッピーエンドではない、それがかえってリアリティを醸し出す。小説としてのネタ元はあったのだろうが、ノンフィクション作家の手にかかるとここまで真実味を増すのかと思うほど凄みがある。なかでも、『海の鼠』は圧巻であった。

  • 「蝸牛」が不気味でいい。

  • すばらしい

  • 2011.11.24(木)¥136。
    2011.11.27(日)。

  • 「海の鼠」で圧倒された。淡々とした語りなだけに、恐怖と迫力が増す。 「蝸牛」。すこし滑稽なストーリだが、このあとどうなってしまうのだろう?、と異様な不安と恐怖をあおる。 「鵜」もなかなか好きな話。「魚影の群れ」とも通じて不器用で孤独、そして誇り高き男の苦悩。でも「鵜」がちょっと笑えるレベルなのに対し(だから好きなんだけど)、「魚影の群れ」は悲しすぎる。

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著者プロフィール

一九二七(昭和二)年、東京・日暮里生まれ。学習院大学中退。五八年、短篇集『青い骨』を自費出版。六六年、『星への旅』で太宰治賞を受賞、本格的な作家活動に入る。七三年『戦艦武蔵』『関東大震災』で菊池寛賞、七九年『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、八四年『破獄』で読売文学賞を受賞。二〇〇六(平成一八)年没。そのほかの作品に『高熱隧道』『桜田門外ノ変』『黒船』『私の文学漂流』などがある。

「2021年 『花火 吉村昭後期短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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