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本 ・本 (302ページ) / ISBN・EAN: 9784101117157
感想・レビュー・書評
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「海の鼠」「蝸牛」「鵜」「魚影の群れ」の四編
海の鼠は史実を元にした小説。宇和海の島でのネズミ騒動の話は知っていたが、小説として描写されると生々しさが増し精神的に来る…「鼠が湧いた」歩く度に踏みつける程の数…。対策を練っても知恵を巡らし、慣れ、増え続け海を渡る鼠達に、場所も時代も違うが海を渡ってやってきた猪による農業被害を受けている故郷の事が頭に浮かぶ。
少し気になったのは「どうならあ(どうにかなるだろう)」という島民の言葉があるが…同県出身だが「どうなら」は「「そんな事して〜」「この先〜」どうなるやら(ダメだろう。呆れる)」という使い方で聞いてきたのでこのセリフには違和感が…。
「蝸牛」
先に読んだ海の鼠のイメージから「これは絶対蝸牛が逃げ出して増えるやつだ」と思っていたら、そうではなく「世にも奇妙な物語」系の話だったのでちょっと意外。得体の知れない物を食べてハマる人々の姿は中々に怖い
「鵜」「魚影の群れ」
自らの職業意識と家族関係の乖離に悩む男の話だが…どちらも自業自得というか、伝統的な家業への誇りや、自らが末代となるかもしれない焦り等は理解できても同情しきれない。時代による男女関係もあるのかもしれないが…そりゃあ妻にも娘にも愛想をつかされる。魚影の群れの娘婿の死の理由の毒気はかなりキツい詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
表題作『魚影の群れ』をはじめ4作品全てハッピーエンドではない、それがかえってリアリティを醸し出す。小説としてのネタ元はあったのだろうが、ノンフィクション作家の手にかかるとここまで真実味を増すのかと思うほど凄みがある。なかでも、『海の鼠』は圧巻であった。
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「蝸牛」が不気味でいい。
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すばらしい
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2011.11.24(木)¥136。
2011.11.27(日)。 -
「海の鼠」で圧倒された。淡々とした語りなだけに、恐怖と迫力が増す。 「蝸牛」。すこし滑稽なストーリだが、このあとどうなってしまうのだろう?、と異様な不安と恐怖をあおる。 「鵜」もなかなか好きな話。「魚影の群れ」とも通じて不器用で孤独、そして誇り高き男の苦悩。でも「鵜」がちょっと笑えるレベルなのに対し(だから好きなんだけど)、「魚影の群れ」は悲しすぎる。
著者プロフィール
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