光る壁画 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.90
  • (17)
  • (22)
  • (21)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 170
レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101117171

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • ドラマ化されてたので、なんとなく再読。
    ドラマの脚本、上手く出来てるなー・・と感心。

    「下町ロケット」や周辺、ドキュメンタリーを観ててずーっと痛感するのだけども、町工場の技術と発想をもっとサポートする体制を国が作ってくれればいいのに・・でないとそういったものは失われるか他国に流出するばかり・・・。

    それこそ恩田陸の「ネバーランド」のIT少年の様な発想を!

  • 戦後復興期、胃カメラの開発の苦労を綴ったもの作り物語。著者は、オリンパス光学の技師と東大外科医の共同研究を小説として再現している。昭和五十五年に新聞連載。

    淡々と描かれているが、却って当時の関係者の熱意や苦労が伝わってくる。

    犬に対して試行錯誤しながら繰り返し行われた撮影実験が印象的。

  • 世界初となる胃カメラを作った男たちの記録。
    前例が無く、参考になるものが無い中でまったくの手探りの状態。
    失敗に失敗を重ね、それでも挫けることなく挑み続けた。
    挑み続ける姿は、格好良かった。
    これぞ、モノづくりニッポンの原点。

  • 最近胃の内視鏡検査を受けたので興味を持って読んだ。さすが大御所だ。文章が淡々と簡潔で、決して感動を煽るような文体じゃないのに登場人物たちの情熱がちゃんと伝わってくる。公私の間で悩む主人公の設定はフィクションらしいが、これで開発物語として単調になるのを免れていると思う。終戦直後で物資も貧しく素材もまだ原始的なものしかなかっただろう。開発を支える職人たちの技は将来も絶対滅びてほしくないものだ。この人たちの努力が元になって様々な技術革新が私たちの健康や治療に貢献してくれていると思うと感謝の気持ちがわく。

  • 胃カメラの開発の苦労に主人公の私生活が絡んで、生々しい展開が広がる。辛くとも打ち込めることがあれば、幸せである。2016.7.6

  • 科学と技術の進歩のなんと早いことか。今年、私の胃内のピロリ菌の発見もこの機械があってこそ…感慨深い。
    今は写真だけじゃなく、患者もモニターに写っている自分の胃を見られるんだからスゴイじゃないか。

    ともすると患者そっちのけで開発のための開発になるのかと思いきや、発案者は最後まで患者に寄り添う人であったし、周りの関係者の自らをを実験台にする男気が素晴らしい。能力のある人々は努力を惜しまないのだ。ただ主人公の私生活のエピソードはちょっと…要らなかったかも~?

    放送大学の面接授業の教材。そうでもなければ手にしなかった本。もうすこしスゴイ感動があったら今、まさに胃カメラを作る仕事をしてる友達にこの本を送りつけたけど、どーかな。彼は知ってるのかな。この経緯。
    それにしても、あの会社で胃カメラは重要な部署なんだー!彼ってこんなすごいの!?知らないけど!?と思ったり。

  •  吉村氏ならではのノンフィクション小説。今回は戦後、世界発の胃カメラを実現した話。オリンパスの技術者と東大医研の先生との協同研究の顛末については、かつてプロジェクトXでも取り上げられていたが、別の視点からの事実ベースの小説で、非常に引き込まれた。短い記述ながら、技術的にはまってしまい苦悩する様子がありありと浮かぶ。当時のなんでもありの風潮もあったろうが、彼らの一途な指向に驚嘆する。残念ながら今、こんなかたちで開発のできる技術者は国内には存在しえないかもしれないが、思想、発想、そして哲学は継承されうる。とても臨場感があり、今後のためにも読んでおくと良いと思えた本であった。

  • 胃カメラを発明するまでの東大の宇治医師、及びオリンパスの深海社員など2人の社員の苦闘をドキュメンタリーに記録した小説は限界に挑戦する男たちのドラマであり、正にNHKのプロジェクトXを見るような思いがします。食道を通すゴム管、極小なレンズ、小さなカメラと極限を追求し、その次は胃の内壁とカメラの距離を一定に保つための工夫がなんとコンドーム。そしてカメラが胃のどの患部を撮影しているかをどうして掴むかなどの難しいテーマが次々と襲ってきますが、偶然にも救われたことが分かります。深海社員を仮名の曽根という人物にして箱根の旅館の跡取りでありながら、若い妻に女将として旅館経営を任せ、仕事に忙殺されるというフィクションであることが最後に明かされますが、研究と妻とのプライベートな生活の往復描写がこの本のアクセントも高めてくれています。

全20件中 1 - 10件を表示

光る壁画 (新潮文庫)のその他の作品

光る壁画の詳細を見る 単行本 光る壁画 吉村昭
光る壁画 Kindle版 光る壁画 吉村昭

吉村昭の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

光る壁画 (新潮文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする