海馬(トド) (新潮文庫)

  • 新潮社 (1992年6月1日発売)
3.55
  • (7)
  • (21)
  • (24)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 243
感想 : 23
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

本 ・本 (260ページ) / ISBN・EAN: 9784101117300

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 動物を扱った短編小説7編を収録。鰻、闘牛、蛍、鴨、熊、海馬。それら動物を仲立ちに生きる人間。最近の小説に慣れてしまうと、オチは?伏線は?などと思ってしまう。

  • 吉村昭さんの視線は、生き物にも、そして人間に対しても真摯さを感じさせる。そんな短編集だった。

    • shintak5555さん
      秋桜さま
      懐かしい作品のアップ嬉しすぎました!
      あまりの懐かしさについコメントしてしまいました。吉村文学は学生時代ハマりました。
      今どきの、...
      秋桜さま
      懐かしい作品のアップ嬉しすぎました!
      あまりの懐かしさについコメントしてしまいました。吉村文学は学生時代ハマりました。
      今どきの、登場人物の気持ちに優しく寄り添うような物語ではないですが、生きる!という人々の生き様に寄り添う文学でした。
      2024/02/20
    • 秋桜さん
      shintak5555さん
      嬉しいコメントありがとうございました
      shintak5555さん
      嬉しいコメントありがとうございました
      2024/02/21
  • 猟師や料理人など、動物とともに生きる人々を描いた短編集。

    写実的な描写、そして綿密に描かれる人々の生活の様子や、動物との関わり合いがまず見事の一言に尽きる。
    「闇にひらめく」の料理人の鰻さばきの様子もそうだったし、「研がれた角」は日本での闘牛の様子が描かれます。
    日本での闘牛ってあまりイメージがわかなかったのですが、牛の個性や性格と闘牛の関わりというものが単なる説明に終わらず、描写を伴って描かれているのがさすがです。

    他に収録されている短編も海馬や鴨の猟から、蛍の世話、鯉の売買など個性的な登場人物たちのそれぞれの生活の綿密に描かれる。吉村昭さんの描写はいつも緻密かつ詳細であるけれど、普段なじみのない動物たちの習性や、それにかかわる人々の生活の様子も見事に切り取られています。

    各短編の内容はどれもいぶし銀の内容。男女関係の描き方というものは、さすがに時代を感じるところもあるけれど、それを今の時代に読むと、いい意味でレトロでロマンチックに映える。
    各短編の真摯な描写も相まって、どの短編も今の時代にはなかなかお目にかかれない、文学的な雰囲気と著者である吉村昭さんの職人気質のようなものを感じる一冊でした。

  • 7作の短編集で、1作品を除いてはフィクション。
    吉村昭の作品は毎回違った驚きがあるが、長編ばかり読んでいたので短編集も良いものだと読了して思いました。
    作品はどれも「もう少し先が読みたい」と思わせるもの。
    自然や季節の描写がスッと入ってきます。
    女性との恋心の表現は、吉村昭でありながら渡辺淳一の香りも感じたり。
    どれも良い作品だった。

  • 感情を一切、排除したような記録小説とは違い、魂が込められているような気がした。
    自然の雄大さ、恐怖がまざまざと感じられる。
    そして、動物を通じ人間の感情の機微、愛情がきめ細かに描かれている。

  • 動物と人間を扱った短編集
    「闇にひらめく」「研がれた角」はそれぞれ吉田町と宇和島市での経験を人にした作品、愛媛県人としては読んでおりねば

  • 久しぶりに吉村昭の作品を読む。
    やっぱり上手い。

    漁や飼育などで生物と対峙する主人公たちが
    織りなす人生を描く。

    吉村氏の取材した人々の生物に対する観察がするどく
    そこに人間性が立ち上がる。

    風邪で熱がでたときにベッドでよみましたが、
    ちょうどよかった。

  • 動物が登場する短編全7編

     通勤電車の中で1話ずつ読んだ。一気に読んでしまうと登場人物がごちゃごちゃになるというか、区切りをつけながら読まないと気持ちの切り替えができなかったから。

     どれも「ふ~ん」ってな感じで、特にねっとりした読後感があるわけではないんだが、淡々と語られるストーリーの中に登場人物の心が潜んでおり、味わいがある作品集だと思う。


    作品は以下のとおり。
    ・闇にひらめく<鰻>
    ・研がれた角<闘牛>
    ・蛍の舞い<蛍>
    ・鴨<鴨>
    ・銃を置く<羆>
    ・凍った眼<錦鯉>
    ・海馬<トド>

  • くくりは「動物小説集」だそうで。

    吉村昭に期待するのは、こういうのではないんだけどなあ・・・、というのが率直な感想(苦笑)。

    けれどもいつものごとく、自然の描写の美しさには脱帽。

    印象に残ったのは、鴨撃ちの父子の話。

    ★3つ、7ポイント。
    2018.03.24.新。

  • 2017.08.26
    さすがにこの著者の作品は奥が深いというか、観察も研究もし尽くされている感じがする。全て男女がもう少しで一緒になると思わせるところで終わってる。職人を書き上げるのは大変なことだと感心した。

全23件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

一九二七(昭和二)年、東京・日暮里生まれ。学習院大学中退。五八年、短篇集『青い骨』を自費出版。六六年、『星への旅』で太宰治賞を受賞、本格的な作家活動に入る。七三年『戦艦武蔵』『関東大震災』で菊池寛賞、七九年『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、八四年『破獄』で読売文学賞を受賞。二〇〇六(平成一八)年没。そのほかの作品に『高熱隧道』『桜田門外ノ変』『黒船』『私の文学漂流』などがある。

「2021年 『花火 吉村昭後期短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉村昭の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×