ふぉん・しいほるとの娘(上) (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (704ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101117317

感想・レビュー・書評

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  • シーボルトと言えば、日本に西洋医学を広めたことと、シーボルト事件という歴史の授業習った程度しか知らなかったのだけど、この壮大な歴史ドラマにただただ感動するばかりでした。しかし1400ページの大作に読むのはかなり難儀(笑)。大河ドラマにでもしてほしいくらいだけど。

    シーボルトが日本に来たのは1823年、文政六年。長崎で裕福なこんにゃく屋を営んでいた家の娘・お滝は、雇いの者が店の金に手を付け商売が立ちいかなくなったために、遊女として売られてしまいます。もともと美しかったお滝は、出島でシーボルトの遊女となり、2人の間にお稲が生まれますが、シーボルトは日本地図を国外に持ち出そうとする罪で国外永久追放になってしまいます。

    残されたお滝とその子お稲は、縁あって時治郎に嫁入りするのが、1831年、天保2年(つまり米屋を営んでいた米五が味噌を手掛けるようになった年でもあります)。

    お稲は聡明で寺子屋でも中心的存在になっていましたが、女子にもかかわらず学問をしたいとお滝を困らせます。そのうち、お滝と時治郎の間に男の子が生まれることで、お稲は家を出てシーボルトの弟子であった二宮敬作のところに学問を習いに行くことになります。天保11年、坂本龍馬が5歳のころです。

  • 吉村さんの本で一番好き。
    シーボルトの日本人妻とその娘の物語。

  • シーボルト、その妻である其扇(お滝)、その娘イネの話。
    シーボルトは、以前読んだ司馬遼太郎の胡蝶の夢で描かれているシーボルトとは少し違う。本書を読むと、シーボルトは日本に純粋に医療を広めにやってきたのではなく、オランダから日本の海防情報などを調べるために来た諜報部員のような位置付けであり、少し残念だった。また、其扇もシーボルトを愛してあるわけではなく、お金が目当てであったということだ。まあ、それもそのはずで、其扇は遊女であり、それを引いたのはシーボルトで、其扇にシーボルトを無理やり好きになれと言ってもそれはこちらの都合良く考えているだけだといわれることはごもっともだ。作品名から、イネの話がメインかと思いきや、イネは、やっと上巻の3分の1が過ぎてやっと登場した。

    イネは聡明で、芯が強く、そして何より美しかった。産科医を目指して学業に打ち込み、やっと一人前になった時期に望みもしない妊娠をしてしまう。産科学を学んでいた師 石井宗謙におかされたのだ。イネの出産は凄まじく、ほぼ自分一人で産み上げたようだ。

    イネは、長崎でシーボルトと再会するが、再会時の感動もシーボルトがすぐに召使いの しお を愛人にしたことに不信感を抱き、シーボルトから遠ざかるのだった。シーボルトは日本の医学を飛躍的に向上させ日本人に好意的であったものの、自分の家族への愛情については淡白であり、お滝やイネにはそれは耐えがたいものだった。シーボルトの手記では、お滝が再婚したり、お金をせびるようなことを嫌がったとあるが、これはシーボルトに愛情がなく、しっかりと日本に残された家族のことを考えていなかったことから来るものであることを自覚すべきだと思う。医者とはいえ、当時からすれば、お滝もイネも周りからは相当に肩身の狭い思いや不自由をしたはずで、そこはの思いやりが、シーボルトには足りなかったと思わざるを得ない。
    やがてイネの子のタダ、後にタカと改名、が生まれイネも歳を取る。環境はどんどん変わり、関係のあった者は死んでいく。イネも伊篤と名を変え、孫に鳴滝塾の跡地を残して世を終えた。

    やはり、著者の小説は、小説というより、歴史書のように物語は進む。登場人物の名も、改名したらそれを使うので統一感に欠け、しんどいこともあった。ただ、司馬遼太郎の花神や胡蝶の夢に出てくるシーボルトやイネ、お滝などの印象も本書を読むと是正され、歴史の正確な理解には役立つものと思う。

    全二巻

  • 感想は下巻に

  • オランダ人医師フォン・シーボルトと日本人遊女との間に生まれたお稲の生涯の物語。
    女に学問は必要ないという時代の中で、偉大な父の血を引く者として医学を志す。

    結構な厚さの上下巻だけれど、幕末から明治維新にかけての時代背景を詳細に書いているため、お稲のお話だけなら半分になってしまうのでは?

    取材の吉村昭の真骨頂なのかもしれないけれど、ちょっとウンザリしてくる。

  • 涙無しには読めない。名作です。

  • あまり知らなかったシーボルトのことについて、細かく緻密に描かれている。
    当時の様子が思い浮かぶように描かれているので、楽しく読め、長崎に行きたくなった。
    少し長い。

  • シーボルトが長崎の遊女に産ませた娘お稲の物語。前半はほぼシーボルトと遊女其扇の話しで、シーボルト事件を軸に来日から追放まで。

  • タイトルに騙された感あり。
    もっとお稲に焦点を当てた話を期待していた。
    http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/13131180.html

  • 下巻に記載。

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著者プロフィール

1927-2006。東京生まれ、作家。純文学短編、記録文学、戦記小説、事件小説、歴史小説など。作品に『破獄』『陸奥爆沈』『天狗争乱』など。吉川英治文学賞、讀賣文学賞、大佛次郎賞、菊池寛賞ほか受賞。

「2019年 『はればれ、お寿司 おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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