わたしの普段着 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101117492

感想・レビュー・書評

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  • 2016.12―読了

  • 著作の裏話が興味深い。締切は必ず守る、身体が原因で大学中退、史実は正確を期する。語り部が加齢で減ってきて、戦争小説は見限り歴史小説に目を移した。真面目で几帳面な人だったのだろう。2019.9.3

  • 「あの学生は小説を読みふけり、それで頭がおかしくなって自殺した。小説などは読むものではない」言い放った父から商人の気質がないと落胆された吉村氏は、「生きる道は異なっていても、真摯に一筋の道を生きた商人の父の仕方は、わたしの道にも通じている。商いに徹していた父が、わたしの師表とするものに思えてもいる」と静かに文を結ぶ。奇をてらわずストイックで誠実さに満ちながらも、どこか可笑しさと悲しみの混じったテキストの数々にしみじみ感動する。

  •  何冊か氏の歴史物を読み、今回初めてエッセイ集を読む。独特のぽわんとした感じ(とらえどころのありそうな、なさそうな)がよかった。猛烈な取材から各名作が生まれていることを確認できる。一方、各地にある史料館や図書館の閉架資料も、見る手はあるということにも気づいた。探偵というわけではないだろうが、謎解きの楽しさがありそうだと想像する。
     著者の作品をほとんど知らないまま来たが、多くの歴史物があるので、さらに読み進めたい。

  • 静かなる気骨の人、吉村昭の穏やかな声が聞こえるエッセイ集。(親本は平成17年刊、平成20年文庫化)
    ⅰ 日々を暮らす
    ⅱ 筆を執る
    ⅲ 人と触れ合う
    ⅳ 旅に遊ぶ
    ⅴ 時を歴る

    著者は、史伝小説の作者である。小説の中で自分を出すということが無い分、エッセイでは、人柄が溢れている。「資料の処分」は、死後のことを考え、不要となった資料を処分する話であるが、氏の考えは考えとして、もったいなく思った。小説家にとって、小説を書いてしまえば、無用の長物というのは分かるが、何が元ネタなのか、追跡が可能な方が後世のためだと思う。(とはいえ、一個人にそこまで求める事は酷であるが)
    「小説に書けない史料」の話も面白い。江戸時代の飯田藩で、初めて火炙りを行った時の史料を巡るエピソードである。罪人を固定した縄が切れて、失敗しやり直したお話であるが、衆人環視のなか「大いに体裁悪かりしと」と記録を綴った役人の心境はいかばかりであったろうか。

  • 吉村昭のエッセイ。他のエッセイ集と比べると、一つ一つがやや長めか。吉村昭の家系について語った「家系というもの」は一読の価値がある。

  • 2012.6.8(土)¥300。
    2012.7.27(金)。

  • これまで読んだ作品のエピソードが満載!!興味深かった。つくづく私はこの作家さんが大好きだなぁと思う。日常のなんでもない出来事を素敵なことのように文章に残す。氏のブログのような本です。

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著者プロフィール

一九二七(昭和二)年、東京・日暮里生まれ。学習院大学中退。五八年、短篇集『青い骨』を自費出版。六六年、『星への旅』で太宰治賞を受賞、本格的な作家活動に入る。七三年『戦艦武蔵』『関東大震災』で菊池寛賞、七九年『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、八四年『破獄』で読売文学賞を受賞。二〇〇六(平成一八)年没。そのほかの作品に『高熱隧道』『桜田門外ノ変』『黒船』『私の文学漂流』などがある。

「2021年 『花火 吉村昭後期短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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