彰義隊 (新潮文庫)

著者 : 吉村昭
  • 新潮社 (2008年12月20日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (468ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101117508

彰義隊 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 黒船の来航してからというもの、どうも弱腰を隠せない徳川幕府は
    鎖国にこだわる朝廷をなだめるのでずっと手一杯だった
    その間
    新しい日本の主導権を握ろうと、野望を燃やす薩摩・長州は
    勝手にイギリスと組み、近代的な軍事力を得て
    大政奉還・王政復古を成し遂げたあとにも飽きたらず
    旧幕府殲滅計画を着々とすすめていた
    そんな薩長を、朝廷も支持したというのは要するに
    強いものになびいただけの話
    …というのでもなくて
    婚約者を将軍に奪われた人の私怨が大きく絡んでいたらしいのだが
    いずれにせよ朝廷が
    現実の武力に対してなすすべのなかったことに変わりはなかった
    しかしそれでも…いや、だからこそ
    旧幕府派の志士たちはあくまで尊皇の立場を重んじ
    賊臣薩長を打ち倒すという大義名分のもとに結集したのである
    それが彰義隊の誕生だった

    その頃、徳川家の墓所を守る寛永寺では
    皇族出身の、輪王寺宮が山主を勤めていた
    徳川と関係が深く、江戸が戦火に包まれることを望まない輪王寺宮は
    進入した薩摩武士から治安を守っている彰義隊を
    非常に好ましく思っていた
    しかし、あくまで江戸の完全支配を目指す新政府は
    大村益次郎を擁し、彰義隊壊滅のための戦をしかけた
    彰義隊は、寛永寺のある上野東叡山を拠点に抵抗したが
    あえなく敗走した
    輪王寺宮も、そこを脱出するしかなかった
    その際、人目につくことを避けるため
    彰義隊隊士からの警護の申し出はすべて断った

    例えば、最後まで兵たちと運命を共にした西郷隆盛に比べ
    それは冷たい対応だったかもしれない
    …などと思う読者がいてもおかしくはないが
    貴人だからそういうもの
    輪王寺宮に西郷のようなロマンチシズムはなかった
    ただ、宮の場合は
    私情混じりの動機で他者をひたすら排除しようとする者たちへの怒りが
    抵抗の理由になった
    その怒りによって彼は武士階級と結びついていた
    同じく私情を振り回していることに変わりないとはいえ

  • 上野合戦をメインにおくと思いきや、彰義隊が出て来たのは冒頭及び中盤辺りまでで、ほとんどが輪王寺宮の話という予想外の展開になっていた。史実に基づいているため淡々としていて面白みはないが、勉強にはなる。

  • 能久親王を主人公に幕末から明治の歴史を描く。
    緻密な取材を通して描かれる物語は、リアル感があり、本当の幕末がどうだったのか、江戸の人々から見る幕末がどんなもよだったのかがわかってくる。

  • 幕末の江戸城明け渡し、彰義隊、奥羽越列藩同盟に関わった輪王寺宮を主人公にし、その生涯を綴った小説。
    幕末の人物とその関係とその時代の人々の想いが分かり、おもしろい。

  • 合葬と併せて読んで欲しい

  • 敗者の美学

    解説にも掲載されているように、この作品は吉村昭最後の歴史小説だ。
    作者の生誕地に伝わる彰義隊の言い伝えだけでは物語として物足りないので、皇族でありながら朝廷でなく幕府側についた輪王寺宮を主人公にその悲劇の生涯を描くことによって、幕末から明治の流れを描くことが出来たのだという。

    勝てば官軍という言葉があるように、歴史では敗者側の扱いが偏っていることが多い。
    しかし日本では吉村昭や中村彰彦などの作家だけでなく、白虎隊の悲劇のように敗者側の物語が長い間愛されている。
    これこそが他国との国民性の大きな違いであると私は思う。
    この作品もそんな良作の一つである。

  • 激動の時代に巻き込まれた輪王寺宮の後半生に迫る作品でした。心理描写や過剰な演出を極力排した硬派な構成なので、輪王寺宮の人柄が今ひとつ把握できず淡々としているので盛り上がりに欠けるところもあり、ヒロイズムを欲する人には物足りないのでしょうが、幕末史のあまり知られていない面を丁寧に扱っていますので特に幕府側に思い入れのある人なら一読の価値は大きいかと思います。ただ戊辰戦争後の宮の処遇は脱藩大名・林忠崇の話を知っているとかなり好待遇な気がしてなりません。このあたりはやはり皇族と小藩の大名の違いなのでしょうか。

  • 12.11/23〜12/15読了

  • 平成24年4月30日読了。

  • 2012.2.26(日)¥200。
    2012.3.2(金)。

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