- 本 ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101117515
感想・レビュー・書評
-
膵臓癌と舌癌の手術後の自宅療養において、自ら点滴管を外し、首下のカテ-テルをむしり取り、これ以上の延命を望まず、妻子に看取られて逝った【吉村昭】の遺作となった短編集です。九男一女の八男坊の著者は、兄姉の早逝、戦災下の父母の病死を見とどけ、自らは胸部形成手術で肋骨五本を切除しながらも執筆を続けた凄まじい生涯でありました。表題の『死顔』は、次兄の死を題材に著者の〝生と死〟の鬼気迫る心情を紙面に託した感極まる作品です。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
吉村昭、遺作短編集。
吉村昭の死を見つめる、真摯な姿勢がよく分かる作品。
自らの死期を悟っても、うろたえない姿が目に浮かぶ。
作家で、夫人の津村節子による「遺作について」も、吉村昭のひととなりがよく分かった。 -
兄の死を描いた作品を含む短編集。
そして、著者の最期について夫人が綴ったものがある。
吉村氏は兄の葬儀の際に、自分の死顔は子供たち以外に見せたくないと書いている。
そして、それは実行された上、亡くなったことさえすぐには知らせないようにと徹底していたという。
そのように、兄の死を描いた中にも、自分の時を考えているような節が見えていたように思う。
2015.1.7 -
新潮文庫 吉村昭 「死顔」
「理想の死」をテーマとした遺作短編集。実際の著者の死(点滴とカテーテルを自ら抜いた死)が、正常な意思の中で行われた「理想の死」だったことがわかる
多くの家族や友人の死を看取り、多くの人間の生を描いてきた小説家の「理想の死」が、尊厳死と呼べるのか?生の放棄なのか ?考えさせられる
死顔を家族以外に見せないよう すぐ焼骨せよ、という願いも、人の死を知りすぎたゆえの配慮なのだろうか
著者にとって「理想の死」
*限界ぎりぎりまで 生きても苦しいだけだが、生きる努力を放棄すべきではない
*死期を自ら悟ったのなら、延命措置はせず、薬服用と食の拒否により自ら死を迎える
-
ひとすじの煙
二人
山茶花
クレイスロック号遭難
死顔 -
「死顔」吉村昭著、新潮文庫、2009.07.01
159p ¥340 C0193 (2021.06.30読了)(2021.06.29拝借)
【目次】
ひとすじの煙
二人
山茶花
クレイスロック号遭難
死顔
遺作について―後書きに代えて 津村節子
解説 川西政明
☆関連書籍(既読)
「戦艦武蔵」吉村昭著、新潮文庫、1971.08.14
「零式戦闘機」吉村昭著、新潮文庫、1978.03.30
「遠い日の戦争」吉村昭著、新潮文庫、1984.07.25
「三陸海岸大津波」吉村昭著、中公文庫、1984.08.10
「平家物語(上)」吉村昭著、講談社、1992.06.15
「平家物語(下)」吉村昭著、講談社、1992.07.20
「桜田門外ノ変 上巻」吉村昭著、新潮文庫、1995.04.01
「桜田門外ノ変 下巻」吉村昭著、新潮文庫、1995.04.01
「生麦事件(上)」 吉村昭著、新潮文庫、2002.06.01
「生麦事件(下)」 吉村昭著、新潮文庫、2002.06.01
「戦艦武蔵ノート」吉村昭著、岩波現代文庫、2010.08.19
「彰義隊」吉村昭著・村上豊絵、朝日新聞、2005.08.19
(「BOOK」データベースより)amazon
生と死を見つめつづけた作家が、兄の死を題材にその死生観を凝縮させた遺作。それは自身の死の直前まで推敲が重ねられていた―「死顔」。明治時代の条約改正問題とロシア船の遭難事件を描きながら、原稿のまま残された未定稿―「クレイスロック号遭難」。さらに珠玉の三編を合わせて収録した遺作短編集。著者の闘病と最後の刻を夫人・津村節子がつづった「遺作について」を併録。 -
歴史小説とは異なった著者の短編集。「ク号遭難」がここに含まれてるのがよくわからないが、一貫して死生観をテーマにしたもの。近い人の死を間近に見てきた著者の想いがよくわかる。家族は強い共同体で例え兄弟であっても一線を画すもの。死顔は家族以外に覗かれたくないもの。2019.6.1
-
P149
短編5作品 -
なんかもう、言葉にならない。
著者プロフィール
吉村昭の作品





