わが人生の時の時 (新潮文庫)

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レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101119106

感想・レビュー・書評

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  • 昭和後期の呑気なぼんぼんが
    海に、街に、スリルを求めてさまようのは
    生と死のはざまに陶酔の世界を見るからなんだ
    まったくバカ言ってやがる
    生きるために命をすり減らすような労働をやったことあんのか
    まさしく昭和のロマン主義
    英雄的冒険にあこがれて、大量殺戮戦争に飛び込んだ
    第一次大戦前の、ヨーロッパにおける若き文化人たちが
    こういうものだったのだろう
    その果てのスピリチュアル趣味が
    オウム真理教の呼び水になったと言って
    さしつかえあるまい

  • 氏の政治思想をどう考えるかはいったんカッコの中に入れるとして、描かれた多数の情景のイメージがもたらす甘美さ、それをもたらす日本語表現の巧さは、やっぱり評価されるべきものという印象を持った。特に氏が傾倒するヨットの経験を通じた海での様々な航海体験や、その中での自然の脅威などの表現は、氏でなければ書けなかった世界だと思う。

    文芸評論家の福田和也が、全ての作品に100点満点での点数を付けた「作家の値打ち」で村上春樹と古井由吉と並ぶ96点を付けたことには同意しないけど、一読に値する読書体験を与えてくれることは間違いない。

  • ほとんどが海とお化けにまつわる話。意外なことに著者はオカルト好きらしい。ゲイと戦争の話も出て来たり、石原慎太郎の本質を掴むにはいい本かもしれない。

  • 64点。困った時には決まって船の話を出して話題を変えるらしい、石原慎太郎の掌編集。20世紀日本文学を代表する作品ともいわれている。
    情景描写が見事だと思う反面、これもまた海の話ー?と飽きてきた。筆者にとって大きな出来事だっていうのはわかったけど。
    人生の時の時。自分の死をどう考えるかは哲学上でも大きな問題で、ハイデガーは「死に臨む存在」という表現をつかうが、石原慎太郎も死をどう意識するかがその人の生を決定すると考えている。
    しかし、自分は死に対してそのような感覚は毫厘もなくて、そこに関してはサルトルの、死は「私の可能性」などではなく、死は私のすべての可能性を無にするまったく不条理な偶発事、という感覚に近い。誕生が選択不可能、理解不可能な偶発事であるのと同様に。
    誰もが死ぬまでは生きている。そこにあるのはマルセル・デュシャンの「死ぬのはいつも他人ばかり」だ。
    死と共に生があるといった「生かされている」みたいな感覚についても欲求階層説ではないが、自分には感じることは困難だ。
    ある種の戦慄や恐れなどを通じて無力さや卑小さを思い知り、それが濃密かつ強度のある体験につながる、のはわかるんだけど、そこに美、生きてる証みたいなのは見出せないなあ。というか見出したくない。
    生死の境に直面したら何かを書こうなんて気が起こるのが、さすがは一流の物書きだ。

  • 石原慎太郎最高傑作のひとつと思います。

  • 昭和という時代を後世まで記憶するための本でもあり、人間の生と死の対峙をリアルに体感できる本。

  • 比類なきショート・ショートの傑作だと思う。これぞ文学。これぞ小説。圧倒的。

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著者プロフィール

作家、元衆議院議員、元東京都知事

「2017年 『巷の神々 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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