第四間氷期 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 2010
感想 : 179
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101121055

感想・レビュー・書評

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  •  クロト、ラケシス、アトロポス、彼女らは運命の三女神と呼ばれ、ギリシア神話によって伝えられている。これらの神々は人間の運命を決める存在であるとして伝えられてきた。この作品では機会が未来を人間に与えている。行っていることに対して違いはないと思うが、この割り切れなさは何故なのか。もしかすると、この神々も我々人間が作り出した存在であるかもしれない。そうするのなら、立場は機械と同等のものだ。
     なぜこうもやるせなく感じてしまうのだろうか。
     それはおそらく我々人間を超越した存在であると思っているか否かという判断があるからである。自然や宇宙など我々を遥かに凌駕する存在を神としてきた。我々は支配下の存在だ。機械となればそうではない。しかし、未来という甘美な存在にあてられ、自ら支配下に置かれようとする人間の浅ましさがある。運命というのは確かにあるのかもしれない。だがそれを生きる責任を転嫁させてはいけない。
     上手く言葉にできないが、それだと楽しくないではないか。そう思った。

  • 難しすぎてよくわからなかった。
    なぜ、予言機械が死体を喋らせることができるのかという理屈も私には理解できず、<私>が私を殺すという、決まった未来へのカウントダウンも理解できたなら面白いんだろうなーと残念に思いながら。。。

  • SF作家としてこの年代にこれだけの未来を見据えられている点が非凡なる才能を感じる一冊である

    だが、前半と後半のつながりが分かりにくく読みにくい

  • 50年前に書かれたものとは思えない。
    圧倒的心理描写はあるが公房の他作品比べると読みやすい分、登場人物達の複雑な心理変化が少なくネタに頼り切っている印象で、もうちょっと練れたのでは?と思ってしまった。

  • 安部公房版終末論。これは進化なのか、退化なのか。暗澹とした読後感。

著者プロフィール

安部公房
大正十三(一九二四)年、東京に生まれる。少年期を旧満州の奉天(現在の藩陽)で過ごす。昭和二十三(一九四八)年、東京大学医学部卒業。同二十六年『壁』で芥川賞受賞。『砂の女』で読売文学賞、戯曲『友達』で谷崎賞受賞。その他の主著に『燃えつきた地図』『内なる辺境』『箱男』『方舟さくら丸』など。平成五(一九九三)年没。

「2019年 『内なる辺境/都市への回路』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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