密会 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 988
レビュー : 91
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101121178

感想・レビュー・書評

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  • ジャンプシューズの存在がそこはかとなくシュールだった。

  • ある日急に救急車がやってきて、健康な妻が救急車に乗せられていった。
    その妻を探しに行った男は、病院で妻が行方不明になっていることを知り、妻を探し回ることになる。
    病院には、あまたの盗聴器がしかけられているという。また、患者を「連れ出す」ための貸衣装にも盗聴器がしかけてあり、それらはどこかで行われている情事を盗聴するためなのだ。

    病院の副院長は、インポで、どうにかして性的な刺激を得ようと怪しげな試行を繰り返し、盗聴器を仕掛けた技術者でもある警備主任は、馬のような性器を持っている。その主任に、副院長の秘書は強姦されたことがあると告白し、病院に入院中の、主任の幼い娘は男を誘惑する。

    人間関係が錯綜し、閉塞感と、エロチックなキーワードが飛び交う。
    一度読んだだけでは、なかなかすべてを把握することができず、他の小説と比べると非常にわかりにくいお話だ。ぜひ、時間をおいて再読したい。

  • 舞台は病院。主人公の妻が早朝に救急車に拉致され、エリート営業マンである主人公が妻の行方を捜して病院にたどり着く。そこで副院長に命じられるがまま、病院の警備長として病院のどこかにいる妻を捜して病院中を盗聴するうちに体の骨が解けていく色情狂の少女と出会う。
    性が全面的に押し出されていて、苦手な人は苦手だと思う。異常なほど性に固執する登場人物の中で、唯一主人公だけがそういった性とは少し切り離されている。最後には妻ままでも色情狂と化しているのだけど、全てを失った主人公が、骨が解け、肉塊になってもなお色情狂であり続ける少女と二人きりで閉じ込められたにも関わらず、彼女を抱きしめてどこか満足そうなのは何故だろう。
    性に関する問題は私の生涯のテーマだと思うのだけど、それは安部公房にとっても同様だったのかもしれないと思った。しかし何故人間は性に異常なほど固執するのか

  • 何なのよ、これ
    今半分まで読み進んだところ
     
    安部公房はよく読者を混乱に陥れるけど、
    今回も救急車で拉致された妻を捜しに来たものの、
    病院のある所や、守衛や副院長、どうなってんのかさっぱりわからん。
    読者を混乱に陥れて、どうだと言わんばかり 

    でも、僕には、
    その混乱を楽しんでいる節がないでもない。
    ああ、やっぱり安部公房なのだ、と

  • なんかもうもはやエログロに片足突っ込んでる。安部公房の作品で一番官能的な作品だと思う。
    私には難しすぎたよ…。

  • 布団になった母、膀胱の括約筋がイカれておしっこ垂れ流しの看護婦、勃起したまま意識不明の医者、そのぺニスを玩具にする看護婦。私は読み終わり三日間連続で最低な夢を見た。

  • 淫乱の溶骨症の少女、ヒステリックでわがままな女秘書、仮面女となってしまった彼の妻(?)、あまりに身勝手且つ魅力的すぎる女たちに振り回される主人公。
    溶骨症の少女については、そういう風に愛されていつか溶けてしまいたいと思った。
    パテ状の肉塊になってしまった娘を男は懸命に人間の形に戻す。声のしている辺りに耳を寄せると「さわってよ……」幾層にも肉や皮がたるみどこが股間の襞なのか区別もつかないが、男は襞という襞をさぐってはさすり続ける。娘はやがて眠ってしまう。男は地下をさまよいながらときどき電池を抜いてはこっそり娘を抱きしめる。

    ―いずれは盗聴器の電池も切れ、ぼくは誰にも気兼ねなしに娘を抱きつづけることになるのだろう。ぼくは娘の母親でこさえたふとんを齧り、コンクリートの壁から滲み出した水滴を舐め、もう誰からも咎められなくなったこの一人だけの密会にしがみつく。いくら認めないつもりでも、明日の新聞に先を越され、ぼくは明日という過去の中で、何度も確実に死につづける。やさしい一人だけの密会を抱きしめて……。―

  • ぶっ飛んだカルト・ムービーのようでいて外れ過ぎないというか押さえているという稀有な作品。アングラっぽさが漂うもそこに逃げていない。この世界造形はさすが安部公房という感じ。小説表現の自由や可能性が感じさせる。巻末の平岡先生の解説もいい。

  • 壁や箱男に比べたら段違いに読みやすかったです。
    負けず劣らず節々にディストピアというか絶望感のパノラマを満喫できる感じ。

  • 失踪した妻を探していくと病院の内部の人間にさせられようとする。その病院は盗聴されて監視されている。性を題材に独特な世界観を描いている。しかし、理解し難い。

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著者プロフィール

安部公房(あべ こうぼう)
1924年3月7日 - 1993年1月22日
東京府北豊島郡滝野川町生まれ、満洲で少年期を過ごした。
1948年『終りし道の標べに』(「粘土塀」)により単行本デビュー。1951年「壁 - S・カルマ氏の犯罪」で芥川賞を受賞。その後は劇作も手がけた。1958年「幽霊はここにいる」で岸田演劇賞、1963年『砂の女』で読売文学賞、1967年『友達』で谷崎潤一郎賞、1975年「緑色のストッキング」で読売文学賞をそれぞれ受賞。他、受賞作多数。国内外に大きな影響を及ぼしており、ノーベル文学賞の候補者としても名前が挙がっていた。
主な代表作として『壁』『砂の女』『他人の顔』『箱男』など。

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