密会 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1983年5月27日発売)
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本 ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784101121178

感想・レビュー・書評

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  • 著者の作品は『砂の女』『箱男』『第四間氷期』と読んで、この作品が4冊目であるが比較的、世界観に入り込むことができる。妻が連れ去られたとされる病院へ行く主人公、病院での会話は逐一録音されているというなか、阿部公房作品おなじみの一風変わった人物たちと関わっていくが、いつの間にか主人公もその奇妙な病院に絡めとられてしまうところが恐ろしかった。
    2本のペニスを持った馬人間、女秘書、溶骨症の少女といった、個性的という言葉では形容できない人物が出てくるのも阿部公房ワールドが炸裂していて、安心感さえ感じてしまった。
    今回の話は救いようがなく、終始暗い雰囲気の物語ではあったが、著者の独特の滑稽ささえも感じさせられる文体により、そこまでの暗さを感じることはなかった。

  • 性的なテーマなので好みが分かれるかもしれないが、不条理な状況で緊迫するシーンが続き、知らないうちに読み進めてしまう一冊。
    安部公房は久しぶりの一冊だったが、やっぱり面白い。
    簡単に日常を忘れさせてくれる。
    非日常をすぐに感じたい方は、是非。

  • これほど豊かな肉体が、これほど孤独だというのは、不公平すぎるような気がする。
    同時になぜか似合っているような気もした。

  • 箱男ぶりの安部公房なので、箱男の見る・見られるというトピックから考えてこちらは聴覚的な切り込み方が魅力だった。
    理解と難解が交互にやってくる感じで読むのに時間がかかったけど、最後の一文での締め方が好きだった。


  • 内容や登場モチーフは面白い部分多く、ゴチャっとした世界観も嫌いでは無いが、読者への配慮というか純粋に読みにくさが許容超えてた気がした。安部公房作で唯一しんどくなってしまったかもしれない。

  • 救急車に拉致された妻を追って、逢い引きと盗聴と関連ビジネスが蔓延した病院にきて、様々な性癖を持った人物と出会ってみたいな話。まだ半分位しか頁が進んでない。無理だな。諦める。

  • ジャンプシューズの存在がそこはかとなくシュールだった。

  • ある日急に救急車がやってきて、健康な妻が救急車に乗せられていった。
    その妻を探しに行った男は、病院で妻が行方不明になっていることを知り、妻を探し回ることになる。
    病院には、あまたの盗聴器がしかけられているという。また、患者を「連れ出す」ための貸衣装にも盗聴器がしかけてあり、それらはどこかで行われている情事を盗聴するためなのだ。

    病院の副院長は、インポで、どうにかして性的な刺激を得ようと怪しげな試行を繰り返し、盗聴器を仕掛けた技術者でもある警備主任は、馬のような性器を持っている。その主任に、副院長の秘書は強姦されたことがあると告白し、病院に入院中の、主任の幼い娘は男を誘惑する。

    人間関係が錯綜し、閉塞感と、エロチックなキーワードが飛び交う。
    一度読んだだけでは、なかなかすべてを把握することができず、他の小説と比べると非常にわかりにくいお話だ。ぜひ、時間をおいて再読したい。

  • 舞台は病院。主人公の妻が早朝に救急車に拉致され、エリート営業マンである主人公が妻の行方を捜して病院にたどり着く。そこで副院長に命じられるがまま、病院の警備長として病院のどこかにいる妻を捜して病院中を盗聴するうちに体の骨が解けていく色情狂の少女と出会う。
    性が全面的に押し出されていて、苦手な人は苦手だと思う。異常なほど性に固執する登場人物の中で、唯一主人公だけがそういった性とは少し切り離されている。最後には妻ままでも色情狂と化しているのだけど、全てを失った主人公が、骨が解け、肉塊になってもなお色情狂であり続ける少女と二人きりで閉じ込められたにも関わらず、彼女を抱きしめてどこか満足そうなのは何故だろう。
    性に関する問題は私の生涯のテーマだと思うのだけど、それは安部公房にとっても同様だったのかもしれないと思った。しかし何故人間は性に異常なほど固執するのか

  • 特殊な方法で失踪した妻を探して男は病院へと潜り込む。盗聴という監視ネットワーク、医者という要望の権力者会の縮図の内外を出入りし、男は存在すらも怪しい目的を求めて彷徨い続ける。

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著者プロフィール

安部公房
大正十三(一九二四)年、東京に生まれる。少年期を旧満州の奉天(現在の藩陽)で過ごす。昭和二十三(一九四八)年、東京大学医学部卒業。同二十六年『壁』で芥川賞受賞。『砂の女』で読売文学賞、戯曲『友達』で谷崎賞受賞。その他の主著に『燃えつきた地図』『内なる辺境』『箱男』『方舟さくら丸』など。平成五(一九九三)年没。

「2019年 『内なる辺境/都市への回路』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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