友達・棒になった男 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.56
  • (38)
  • (87)
  • (135)
  • (9)
  • (1)
本棚登録 : 910
レビュー : 62
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101121192

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 安部公房の作品は変だ。読み進めていくうちに迷子になる。ちゃんと舗装された道路を通ったはずなのに。

    『友達』の展開は訳が分からない。それなのに納得してしまう。そして、そら恐ろしくなる。闖入した一家が、例えばこんな論理で説得してくるのだ。

    "兄弟は他人の始まりっていうじゃないか。つまり、他人をさかのぼって行けば兄弟になるということでもある。"(19頁、『友達』より)。

    これを劇場で見た観客は何を思っただろうか?

    『榎本武揚』は、安部公房先生にしては珍しい歴史・人物モノである。とはいえ展開がシュールなのは変わらない。幕末ファンかつSF好きには興味深い一品なのではないだろうか。

  • 安部公房の戯曲はスラスラ読めてグッド。
    「友達」は善意の集団リンチ
    「棒になった男」は鞄・棒と化した人・・・
    「榎本武揚」はABEへの批判w
    棒になった男のボクシングの部分は寺山修司ワールドを感じさせてくれるような。でも別に無くてもよかったような・・・
    マルクスとともに、快楽のラーメン。
    榎本武揚は榎本武揚が榎本武揚ではなく榎本武揚に化けた現代人なのかしらね?

  • 「友達」のみ読了。安部公房の世界観は抽象的で分かりにくい。それでいてどこまでも不気味だ。この男は私で、家族は社会だ。社会はいつだって正しい顔をする。優しく微笑みながら毒の入った牛乳を飲めという。彼女はそれが私のためだと信じて疑わず、だから私は死ぬしかしない。けれども私が孤独に耐えられなくなった時、私もまた知らずのうちに誰かに牛乳を差し出しているのだろう、と気付いて絶望した。

  • とりあえず友達だけ…舞台で見たい。

  • 話が通じない人と話してる時のイライラ感が味わえる

  • 戯曲3編を収録。表題作のひとつ「友達」は限りなく不気味だ。ある日突然ひとつの家族が自分の家に押し入ってくる。“隣人愛”を説く彼らは自分たちが正しいと信じて疑わないようなそぶりで主人公を追い詰めていく。是非とも舞台で見たい作品だ。「棒になった男」は小説という体で読んで見たい作品。2013/249

  • 「友達」怖し。
    非現実世界の中にいるようでいて、そこには確実に現実世界の様相が多分に含まれており、
    序盤では可笑しさに機能していたユーモアも、
    終盤に差し掛かるにつれ徐々に恐怖感を助長し、不安をも煽る事に。

    父「一般的に狂人は自分の事を正気だと言い張るものらしいじゃないですか」
    …一家の「善意」に戦慄が走った。

  • 「友達」
    面白かった。小説形式でやってもらいたかったな。友達一家の浮かべる「親切な笑顔」は、はたして…。二女の行動から察するに、武器としての笑顔なんだろな。あの一家はわざとやってたはず。

    世間の繋がりがバラバラになった現代の都会人は、病気なのだろうか。孤独は弱さなのだろうか。
    覆いかぶさってくるしがらみこそが人類の病巣のような気がする。

    「棒になった男」
    鞄、時の崖、棒になった男の三作。「鞄」は「家」の変形版。「時の崖」はそのままで、「棒になった男」は同名の短編を改編した戯曲。
    鞄、くたびれたおっさんであることがとってもユーモラス。そのおっさんを挟んだ女二人のやり取りが笑いを誘う。
    時の崖、あっと言う間に崩れていく。
    棒になった男、小説形式より分かりやすかった。大量に生産されていく、汎用性の高い棒、優秀につまんない棒。でも男の子にとっては、大事な棒。

    「榎本武揚」
    日本史に疎いのでノーコメントで…。

  • 安部公房の戯曲集を初めて読んだけれど、やっぱり安部公房であって、現実の中の非現実、日常の隣にある非日常に誘う作品です。このなんともいえない不思議な世界観にいつも感嘆するばかり。素敵です

  • デヴィット・リンチのような、村上春樹っぽいような
    小林賢太郎的な…。

著者プロフィール

安部公房(あべ こうぼう)
1924年3月7日 - 1993年1月22日
東京府北豊島郡滝野川町生まれ、満洲で少年期を過ごした。
1948年『終りし道の標べに』(「粘土塀」)により単行本デビュー。1951年「壁 - S・カルマ氏の犯罪」で芥川賞を受賞。その後は劇作も手がけた。1958年「幽霊はここにいる」で岸田演劇賞、1963年『砂の女』で読売文学賞、1967年『友達』で谷崎潤一郎賞、1975年「緑色のストッキング」で読売文学賞をそれぞれ受賞。他、受賞作多数。国内外に大きな影響を及ぼしており、ノーベル文学賞の候補者としても名前が挙がっていた。
主な代表作として『壁』『砂の女』『他人の顔』『箱男』など。

安部公房の作品

ツイートする