- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101121253
作品紹介・あらすじ
ある夏の朝。時速2、3キロで滑空する物体がいた。《飛ぶ男》の出現である。目撃者は3人。暴力団の男、男性不信の女、とある中学教師……。突如発射された2発の銃弾は、飛ぶ男と中学教師を強く結び付け、奇妙な部屋へと女を誘う。世界文学の最先端として存在し続けた作家が、最期に創造した不条理な世界とは。死後フロッピーディスクに遺されていた表題作のほか「さまざまな父」を収録。
感想・レビュー・書評
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素敵すぎる!最高です!
未完成だけどそこも含めて「完成」ととらえる
独特な世界観と斜め上から見下ろすような描写
なのになぜかリアルで映像が脳内に溢れる
ほどよいカオス感が大好物! -
文庫化してなかったんだと今更のようにビックリ!
単行本で読んでいるから、悩むところでもあるけど、解説読みたさに手にとると思うσ(^_^;)-
猫丸さん、おはようございます。
そうでしたね。
『笑う月』との関りは私も大いに気になるところですね。猫丸さん、おはようございます。
そうでしたね。
『笑う月』との関りは私も大いに気になるところですね。2024/02/08 -
ロカさん
安部公房生誕100年フェアで「芸術新潮」3月号にも何か載るみたいで、猫は其れが気になってる。ロカさん
安部公房生誕100年フェアで「芸術新潮」3月号にも何か載るみたいで、猫は其れが気になってる。2024/02/08 -
2024/02/08
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安部公房さんの作品に久々に再会しました。砂の女、箱男をかなり前に読んだ記憶があります。いずれも設定が突拍子もなく一気に興味を惹かれる。この作品も最初から現実とは思えないものの、即イメージできる情景描写がおかしな場面を想像できた。
解説が福岡伸一さんでした。生物と無生物のあいだ は難しいけど、理解できる説明でわかりやすかった。今回の解説の中でも「内側の内側は外側になる」は、細胞の動きの説明でクリアに理解できた。
話の内容に戻る。明らかに動力がなくて戸建の少し上くらいの高さを飛んでる人から電話がくるとは、起きてることもその先もなかなか予想出来ず、先が気になった。更に別の角度には撃ち落とそうとしている人が居るなんて。まだ書いている途中のようで、叶わぬ願望ですが結末まで読んでみたい。 -
未完は惜しいが、それでもしっかり陶酔できた。
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彼女は、いまでも安部公房を読んでいるのだろうか。彼女とは、僕の大好きな俳優の松岡茉優さんのこと。高校生当時の彼女の有名なエピソードから、僕は安部公房に興味を持ち、読み始めた。この本で3冊目。『砂の女』『カンガルーノート』に続き、ようやく3冊目を読み終えた。
安部公房の物語は、読み始めると、あっという間に読み切ってしまう。今日も18時頃から読み始め、19時半に夕食を摂り、その後21時過ぎに再開して23時には読み終えてしまった。先に読んだ2冊も、こんなペースだった。読書の話題を共有する職場の同僚に話したら「読むの速いっすね」と返された。そんな自覚はないけれど、想像力を刺激され、集中力が高まる物語、素直に面白いから止まらなかった、と言ったほうが、しっくりくる。
さて『飛ぶ男』
先に読んだ物語よりも、明るい印象だった。未完ゆえか。安部公房の物語に立ち込める、ほの暗さというか、束縛感というか、何かしら付き纏う重しのような感覚が一切なかった。純粋なエンターテイメント、というのかな。どうやら物語は、きっと、まだ序盤なのでしょう。終盤の空白のあるページが唯一、不穏な空気を醸していた。
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本書との出会いは書店の新刊書コーナーで。安部公房の新刊書?お亡くなりになってから大分経つのに。新しい作品が発掘されたのか?裏の帯を見たら今年は安部公房生誕100年とのこと。新潮文庫では新刊を2か月連続で刊行するとの気合の入れ方。これまで単行本で文庫化できていなかった2冊だ。芸術新潮でも特集記事が組まれていた。もう、新潮社の鼻息が荒い。新潮社は既に、1972~1973年に全15巻、1997~2009年に全30巻と2回全集を刊行しているが、さすがにもう全集は出ないだろう。それよりも、生誕100年ということで、古本の全集の値段が急に吊り上がりはしないかと恐れている。でも、来年には読破を挫折した人が大量に発生し、どんどん古本屋に引き取ってもらって値崩れを起こすのではないかと期待している。全集の購入は来年以降が狙い目だ。
若い頃は安部公房の新刊書・文庫本が出る度に買っては途中で投げ出しの連続だった。悲しいことに、最後まで読んだのは「砂の女」のみ。哲学的な面がある一方、意味不明な展開が見られるため断念したのだと思っている。今は時間があるので、過去に断念した作品をもう一度腰を据えて読んでみるつもり。思い切って古本屋で新しい方の全集を大人買いしようかとも思ったが、多分それは再び断念の道に向かって進みそうなので、きちんとした読破計画を立てる予定。取り敢えず、3/28に発売の「題未定」を読んで、芸術新潮で特集記事を読んで、古本で昔の新潮文庫を数冊読んで、これは行ける!と思ったら10万円くらいかけて古本で全集を買うところまで行けばベスト。でも、途中で挫けそうな予感もする、まあ半分半分だな。そのうち、新潮社では筒井康隆のXdayの翌年には再び全集(多分、全60巻くらいになるのでは?全部買うと50万円くらいかかる?)を出すだろうから、そちらに意識が流れてしまうと、安部公房の全集を読破できるかは不透明。気合を入れて両者のバランスを取りつつ真剣に取り組みたい。
さて、本書「飛ぶ男」については、未完の小説なので、そのことを踏まえて読み進めた。特に後半は未推敲と思われる文調が目立ち始める。そして133ページ辺りからカオスに突入する。追加で「さまざまな父」が収載されているが、もしかしたらこの他にもスピンアウト的な作品を沢山書きたかったのではなかろうか。そしてその後で「飛ぶ男」(完成版)に仕上げるつもりだったかもしれない。途中、性的表現も含まれているが、何か筒井康隆に一部感化されていたのではと推測している。
さあて、3/28に発売の「題未定」を読むぞ!月末が待ち遠しい。 -
本屋をぶらっと見ていたら何と新刊に安部公房が!!!一番好きな作家と言っていいくらいに好きなのでとても感激!
未完ながら、この精緻で堅牢な構造物のようにかっちりとした文章は正に安部公房。飛ぶ男というのも安部公房らしい。最初未完と知らずに読み始めたので、途中から文字が欠けていたので印刷ミス?と一瞬思ったがそうではなかったみたい。あの微妙な空白は何の空白なんだろうか?
とはいえしっかり安部公房の世界を感じれてよかった。「さまざまな父」も同じモチーフのようなのでこれらがひとつの作品として纏まればかなり面白い作品になるだろうな、と空想するのもまた楽しい。
安部公房、また全部読み直そうかな、と思って家にある新潮文庫をみたら字が小さくてちょっと辛い…(まだカバーの背中も今の銀じゃなくて青いやつ)落ち着いて読めるように書い直そうかな…
安部公房を全部読んだ人は是非!そうでない方はまずは他の完成作品から読むことをお勧めします。 -
面白かった。公房の作品の世界観に毎回ずるずると引き込まれてしまう。未完なのが惜しい…それゆえの味わいみたいなものも楽しめるので良いですが
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未完の作品ということで結末は無いけれど、都会の不思議で独特な閉鎖的世界観にジリジリと引き込まれる感覚を味わえた。
写真が趣味のひきこもりである保根治、保根の弟を名乗り空気銃で狙撃される空飛ぶ男、保根の隣に住み弟を狙撃する発酵研究員の小文字並子。現実感の無い登場人物たちと不思議でとりとめの無い会話に掻き乱される感覚がたまりない。
一行目から飛んでるってのがいい。